糖尿病を改善するには、どのような食事をすれば良いのか。医師の水野雅登さんは「タンパク質をとることが最優先だ。タンパク質は身体の土台なので、不足すると他の栄養素が吸収されにくくなる」という――。

※本稿は、水野雅登『糖尿病の真実』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

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医師が気づいた「慢性疾患の患者の共通点」

色々ある栄養のうち、最も大切なものは何かというと、タンパク質です。ところが、現代の食生活の中では、タンパク質が非常に軽視されていると医師として感じることが多々あります。なぜなら、糖尿病などの慢性疾患の患者さんを診ると、ほぼ確実にタンパク質が不足しているからです。

「野菜は健康にいいから食べるべき」「ごはんやパンを食べないとエネルギー不足になる」という見当違いの考えが一般的ですが、肉や卵や魚を食べる意識はさほど強く持っていないことが多いようです。

その自覚があまりないことが多く、「タンパク質を十分にとっていますか?」と質問すると、必ず「はい、しっかりとってます!」という答えが返ってきます。顕著なタンパク質不足がある人も、BMIが18.5を切っている「痩せ」に分類される人も、そう答えます。

これは、患者さんたちだけに問題があるのではなく、一般的な医師も管理栄養士も、そのほとんどが栄養に関して正しい知識がないことも影響しています。専門家たちも、国が定めた食事摂取基準にのっとった「炭水化物6割、タンパク質2割、脂質2割の食事」という低タンパクで高糖質な食事を指導しているからです。

日本人のほとんどが、無自覚なタンパク質不足です。身体を構成している成分は、重さでいえば、7割程度が水で、2割程度がタンパク質です。つまり、水を除くと、最も多いのがタンパク質ですから、最も補給すべき栄養素だと考えてください。