お昼過ぎ、仕事中にどうしても襲ってくる睡魔。なぜ私たちは午後に眠くなるか。栄養睡眠カウンセラー協会の前野博之さんがその原因を3つ挙げる。中でも眠気以外の重大な症状も現れる低血糖症とは——。

※本稿は前野博之『成功する人ほどよく寝ている』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。

魚焼き定食
写真=iStock.com/Hiromi Kudo
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なぜ人は、午後に眠くなるのか

ビジネスパーソンが最も困っているであろう睡眠の問題であり、アンケートでも第1位だった「午後に睡魔に襲われる」に関しては、筆者もサラリーマン時代に本当に苦しめられた。睡魔に襲われるタイミングで会議などがスケジュールに入っていたら、まさに生き地獄だ。なぜ、人は午後に眠くなるのか? その原因は大きく分けると次の3つだ。

1 祖先から受け継ぐ生体リズム
2 満腹で覚醒物質が働かない
3 昼食の糖質で血糖値が乱れる

この中でも血糖値の乱れに関しては、現代社会に生きるわれわれの睡眠と健康状態にさまざまな影響を与える原因となっているので、しっかり理解してもらいたい。

1 祖先から受け継ぐ生体リズム

祖先の時代は、夜の睡眠以外に、午後に30分〜1時間程度昼寝をする「二相睡眠」だったことがわかっており、午後に眠たくなるのは遺伝的性質だと言える。

昔からのライフスタイルを守っている狩猟採集民は現在も二相睡眠であり、地中海の周辺諸国に残るシエスタ(昼食後の昼寝)も遺伝的なものと考えられる。乳幼児の昼寝の習慣はその名残と言えるだろう。

もし、あなたが寝不足により睡眠負債がたまって辛いときには、昼寝も積極的に活用するようにしよう。昼寝によって睡眠負債のリスクがすべて解消するわけではないが、一時的に集中力が回復し、午後からの仕事の効率を上げることができる。

ただし、長時間の昼寝は夜の睡眠のリズムを狂わせるので、影響が出ないように、午後2時までに20分以内の昼寝をとるようにしよう。20分以上寝てしまうと、睡眠深度が下がってしまい、起きるのが辛くなったり、起きてから頭が働かなくなってしまうので注意が必要だ。