「宗教色が強く公費を支出すべきでない」

大嘗祭(だいじょうさい)は宗教色が強いので公費を支出するべきではない。天皇家の私的費用で執り行うべきだ――。秋篠宮さまが誕生日を前にした11月22日の記者会見でこうした趣旨の発言をされ、波紋を広げている。

大嘗祭とは皇位の継承にともなう一代一度だけの儀式で、新しい天皇が五穀豊穣と国家の安寧を祈るものだ。神道的な色彩が強いことから国事行為の「即位の礼」とは別に、皇室行事として皇居に建設される大嘗宮(だいじょうきゅう)で行われる。来年11月14日から15日に実施される予定だが、平成の前回も皇室の行事として実施され、22億円を超す公費が充てられた。

同じ秋篠宮さまの記者会見でも、週刊誌やテレビのワイドショーは「婚約にあたる納采の儀は行えません」と長女の眞子さまと小室圭さんについて語ったことを繰り返し取り上げていたが、沙鴎一歩は大嘗祭発言に焦点をあてたい。

2018年11月30日、半蔵門から皇居に入られる秋篠宮さま。53歳の誕生日を迎えられた。(写真=時事通信フォト)

「言ってみれば話を聞く耳を持たなかった」

秋篠宮さまは記者会見で次のように話された。

「宗教行事と憲法との関係はどうなのか」
「大嘗祭自体は絶対にすべきものだと思います。ただ、身の丈に合った形で行うのが、本来の姿ではないかなと思いますし、そのことは宮内庁長官などにはかなり言っている」
「ただ残念ながらそこを考えること、言ってみれば話を聞く耳を持たなかった」

「聞く耳を持たなかった」との苦言は、厳しい指摘である。この発言を受け、宮内庁の山本信一郎長官は記者会見で、「大嘗祭は様々な議論を経て(天皇家の私的生活費の)内廷費ではなく、(公費である)宮廷費を充てることが決まったと、秋篠宮さまには説明してきた。つらいが、聞く耳を持たないと受け止められたのであれば申し訳ない」と述べた。

だが、本当に秋篠宮さまにきちんと説明し、秋篠宮さまの理解を得ていたのだろうか。大いに疑問である。理解されていないから記者会見という公の場で「聞く耳を持たない」とまで批判されたのではないだろうか。