タレントで漫画家でもある中丸雄一の不倫疑惑がスクープされ、元アナウンサーと結婚したばかりということもあって、世の女性に衝撃を与えた。恋愛、婚活、夫婦関係についてのカウンセリングを行う川崎貴子さんは「一般でも“サレ妻”は傷ついて人間不信に陥ったりガリガリにやせてしまったりする。離婚するかどうかは、その夫婦によって事情が違うが、結婚を継続する場合、夫に対して『次はない』と釘を刺すのは大切だ」という――。
夜の繁華街で手をつないで歩く男女
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中丸雄一のかなり苦しい「アパホテル不倫疑惑」で考えたこと

世間がパリオリンピックで盛り上がっている最中、あまりにもノーマークだったKAT-TUN中丸雄一の「アパホテル不倫疑惑」を知らされる羽目になるとは、「暑さにぼーっとしてる場合じゃないな」と何の関係者でもないのに思った夏。暑中お見舞い申し上げます。

「なぜまたアパホテル?」とかつて「アパホテル不倫」で離婚した俳優の袴田吉彦を懐かしんでいたら、「最近は事前にクレカ決済しておくとチェックインもチェックアウトもマシンでできて、フロントの人と話さずに済む」と先日大阪出張で同ホテルを使用した友人がそう教えてくれた。それは確かに不倫にはもってこいである。

「いいひと」キャラとの落差がありすぎてギャップ蛙化

さて、話がそれたが、中丸雄一と言えば、「シューイチ」や「旅サラダ」での良い意味での「下っ端感」がウケてるというか、「トークの軽妙さ」や「いいヤツ感」で老若男女から好感を持たれていたタレントだと私は記憶していた。そんな彼が新婚だというのに不倫? それもお相手は女子大生で1年前にナンパした? には、ファンの女性たち含め世間は「柔道・阿部詩ちゃんの敗退」ぐらい驚いたに違いない。実際にSNSを調べたら、オリンピック選手の功績や、地震速報に並んでトピックに上がり、あれやこれやと騒がれていた。

念のため、「不倫」ではなく「不倫疑惑」とされているのは、二人ともホテルに入ったことは認めているものの、肉体関係は否定しているからだ。なかなか苦しい言い訳だが、ホテルがアパホテル(安価?)、渡したタクシー代が7000円だったというのも「芸能人にあるまじきせこさ」という点でこれまた苦しい。

どうしてもわれわれは「対象者のイメージ」と「起こったことの乖離」があればあるほどショックを受ける習性があるため、かつては国民的人気者だったベッキーの不倫や、美人女優を妻にして、食通タレントとしての地位を築いていた渡部の「多目的トイレ不倫」には、そのギャップが激しかったゆえ、高アレルギー反応を起こしてしまったという過去がある。結局、ベッキーも渡部にも十分な禊時間を経た今も、かつてのように第一線では活躍していない。

問題はホテルでの不倫行為があったかどうかではない

中丸雄一は現在、公式ホームページを通じて謹慎を発表しているそうだ。

私自身はこの連載で何度も「不倫は良くないが犯罪ではない」「裁けるのは配偶者のみ」と書いてはいるが、タレントというのはイメージ商売で、スポンサーやら番組の方向性やらに左右される仕事なので、自粛するのも、この後レギュラー番組を降板したりするかもしれないのも、ある意味しょうがないことなのかもしれない。ただ、正直な所それに関してはあまり興味がない。

それよりも私は、今年1月に彼と結婚した元日本テレビアナウンサーの笹崎里菜さんの今後が気になっている。

彼女もわれわれと同じような「好青年中丸」と思い込んで結婚までしていたのだとしたら、結婚前から女子大生を何度も口説き、結婚後もホテルで密会していた夫に対して「ギャップによる蛙化現象」は起きていないのであろうか? それとも、彼女だけは「中丸の悪い癖」を知り(疑い)ながら、結婚生活を続けていたのだろうか?

で、けっきょく彼女はそんな中丸と結婚生活を続けられるのか? というところに今ひたすら注目をしている。

夫婦喧嘩をして悲しむ妻
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「サレ妻」に甘んじる女性タレントはマイナスイメージ?

夫が不倫や事件を起こした報道の後、超スピード離婚した女性有名人と言えば、私の記憶では藤原紀香や竹内結子、MEGUMIや高垣麗子や三浦瑠璃など。彼女たちは他人事ながら、「夫婦でちゃんと話し合いとかした?」と心配になるレベルの速さで離婚を発表していた。

逆に、件の「多目的トイレ不倫」の妻である佐々木希や、夫が麻薬で捕まっているのにずっと離婚しなかった高島礼子(のちに離婚するが復縁の噂も)、4WD不倫原田龍二の奥さんは一緒にCMに出ていたし、宮崎謙介の不倫を許した当時衆議院議員の金子恵美も夫婦共演、古い所だと奥田瑛二の妻でタレントの安藤和津らは、離婚を回避した、もしくは回避しようとした派だ(蛇足だが、奥田瑛二夫妻のケースは、女性問題を起こした奥田ではなく妻の安藤が謝罪会見を開くという前代未聞の対処だった。あの会見を見た時「お母さんかよ……」と思ったのは私だけじゃないはず)。

私はこれを単純に、愛とか金とかの問題の前に彼女たちのタレント性というか、「ファン層の違い」から来るものだと思っていた。もちろん、夫のダメージを防ぐという戦略が先走ったケースもあるとは思うが、それ以上に、テレビやCMに出るタレントやモデル、コメンテーターや議員の場合、何よりもイメージが大切なので、女性ファンが多ければ「サレ妻」に甘んじているのは潔くないというか、カッコ悪いというか、とにかくイメージ的にはマイナスである。

一般人の女性も浮気されて、結婚生活をどうするか悩んでいる

しかし、男性やシニア層がファンの場合、浜ちゃんの奥さんの「芸人はモテないとダメだからOK」と浮気を不問にした事が賞賛されたように、結婚を継続することが逆にプラスに働いたりする。彼ら彼女らいわく、「古き良き器のでかい女性」という訳だ。

女性タレントが浮気するとそのカップル(双方有名人)は大抵離婚になるので注目してこなかったが、夫が問題を起こしたカップル(双方有名人)の場合、色々な思惑や計算が交錯した結果なのだろうなぁと、不純な私はそう分析していたものだった。

なぜそんなに不倫された女性たちが「離婚するのかしないのか?」に関心があるのかと言えば、私の所には「夫に浮気された」という妻たち(一般人)から多くの相談が寄せられるからだ。彼女たちは、「許せない」「夫が気持ち悪い」「もう夫を信用できない」「夫の言葉が全て嘘だと思ってしまう」という慟哭と、「子供から父親を取りあげることになる」「離婚したら経済的に不安」「周囲には一度ぐらい許せと言われる」「普段はとても良い夫だから」という迷いを行ったり来たりしている人が殆どで、離婚するか否かを「自分が決めなければならない」というストレスをも抱えている。

彼女たちはタレントじゃないから「イメージの物理的損害」はない。とは言え戸籍にバツが付くことや世間体、親兄弟を心配させたり、子どもがいれば悲しい思いをさせたりするわけで、その重圧は計り知れない。

離婚届を前に喧嘩をする夫婦
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「うちの夫に限って、不倫なんて絶対にありえない」

ある女性は、「堅物で真面目」「嘘が下手なタイプ」だと思って結婚した夫に、愛人が3人もいたことがわかり、すっかり人間不信に。

ある女性は、学生の頃から10年間猛アタックを受けた上で結婚し、妻も周囲も彼の「妻一筋」っぷりにはあきれる程だったのに結婚2年目で不倫が発覚。まさに青天の霹靂で「うちの夫に限ってそんなこと絶対にありえない」と証拠が揃っているのに現実を受け止められず、食事が喉を通らなくなり、ガリガリに痩せてしまった。

中には「夫が不倫したのは自分が妻として至らなかったからではないか」と自分を責め、精神に不調をきたしてしまった女性もいる。

そんな彼女たちは答えが欲しくて私や、他の相談機関に行くのだが、私たちは離婚した方がいいとか、別居がいいとか、再構築するべきである、というような方向性を示してあげることは絶対にできない。その女性個人の性格や夫である人の性格、二人の関係性、子どもの有無、金銭的な問題、などなど、夫婦の数だけ事情があるからだ。私やカウンセラーは彼女たちが前を向けるまで話を聞き、寄り添い、問題や感情を整理する手伝いをするにすぎない。

離婚しない場合、夫に「次に浮気したら終わり」と釘を刺す

ただ、私個人に関して言えば、離婚を決めて相談にきている女性に対してのみ、「協議離婚はお勧めしませんよ」と言っている。特にお子さんがいる場合、離婚後、継続的に養育費を支払う夫は全体の3割と言われている。協議書を作成したとしても強制執行力はないため、弁護士を入れたり、公正証書を作成したりすることはとても重要だからだ。

子育てを心配する母親
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再構築を選んだ人のケースでも、夫に対して「次はない」と釘を刺すのは大切だ。その場合、言葉だけではなく、「誓約書」という形で浮気の事実や妻を傷つけたこと、「今度同じことをしたら慰謝料を○○円」と言った約束事を作り署名捺印させる、更には離婚届に署名捺印をもらい、「また浮気したら問答無用で離婚する」という意思表示、妻側の強い意志を示しておくのも一つの手だと、ケースによってはお伝えしている。

でも、一番大切なのは、どうして夫婦関係が壊れたのかを夫婦がしっかり話し合うことで、当然浮気した方が圧倒的に悪いのだが、中には夫婦のすれ違いやセックスやコミュニケーション不足が浮気を引き起こしたというケースもあるので、再構築を選んだのなら「夫婦の新しいルール」を作るなどの工夫をして再出発してほしいとアドバイスしたりしている。

結婚を続けても最愛の人に裏切られたという思いは消えない

離婚をしたって、再構築したって、不倫された方は辛い。どちらを選んでもハードな道だと思うし、最愛の人に裏切られたという思いは消えないから。

それでも、決めなければならないのだ。

自分の人生をどうしたいのか? 夫と話し合いながらも最後は「された妻」が決めなければならない。自分の人生、どっちに舵を切るのか?

なので、正直なところ筆者は、中丸雄一の今後のことはどうでもいいのだが、結婚を機に仕事を辞めたという新妻の笹崎さんが今後どんな答えを出すのかに注目している。

そして、彼女がどちらの道を選んだとしても、前を向いて歩いて行ってほしいし、陰ながら応援したいと思っている。