絶対に儲かる投資法って、あるの?
ファイナンシャルプランナーを名乗っていると、「藤原さん、お金の仕事やっているんだってね、株ってアレだろ……」などと、親しい友人から、さほど親しくない知人に至るまで、プライベートの場で、投資についていろいろと聞かれます。
これが仕事がらみであれば、聞いてくる人は、ある程度は投資の知識・経験があるので、その内容は「相場の見通し」や「投資方法」等と、非常に明確です。
しかし、プライベートとなると、その多くは投資未経験者ということもあって、投資に対する漠然とした思いを、本音で、率直にぶつけてくることも多いのです。
今回は、そんなプライベートで私がよく聞く、投資未経験者の質問に答えてみたいと思います。
「絶対に儲かる投資法って、あるの?」
残念ながら、いわゆる投資必勝法は、ありません。
もしあれば、私が教えてほしいです。
しかし中には、「でも、この投資法では100%儲かっているみたいだが」などと、雑誌やネット記事等を持ち出してきて、さも証拠を突き付けるかの如く、迫ってくる人もいます。
初心者が騙されやすい投資詐欺の常套手段
ただ、それらの多くは、「一定の限られた条件(相場環境など)のみで通用した手法」、すなわち再現性のないものです。たとえば、「不動産バブル時の不動産投資」や「円安時の外貨投資」など、都合の良い一部分を切り取ったものであるケースがほとんどです。
もしくは、超人的な才能を持った人(それは、ごくまれに存在する)による投資実績のケースです。
それをあたかも、誰でも、いつでも、通用する投資法かのごとくうたっているものは少なくありません。
そしてそれは、投資詐欺の常套手段とも言えます。
なので、そのようなものを見て、「投資必勝法があるかも」と興味を抱いてしまうような人には、「美味しい話には気を付けてください」と言っています。
「投資必勝法があればいいよね~」などと冗談めかして聞いてきながらも、中には、目は本気みたいな人もいますので。
国が勧めてくるものには、何か裏があるのか
国が勧めている(お得な)制度や商品について、何か裏があるんだろうと、訝る人もいます。
たとえば新NISAについては、「これは財政難の国が、非課税をエサに、国民の資産を吸い上げるためだ」と言ってくる人がいました。
また、かつて個人向け国債が発売された際には、「借金まみれの国の国債なんて、もはや金融機関が買ってくれないから、個人に押し付けるための商品だ」と言っていた人もいました。
ネットの陰謀論などを漁ってきて、国家破綻やハイパーインフレなどを絡めて、アレコレ邪推する人もいるわけです。
そして、それを鼻息荒く、議論をふっかけてくるのです。
国家破綻やハイパーインフレ等の議論については、世間でもいろいろと意見があるところですが、あまりにも鼻息が荒い人の場合には、あまり突っ込んだ反応を示すと火に油を注ぐことになるので(それは面倒)、そこそこに話を合わせてやり過ごしております。
ただ、国家破綻やハイパーインフレ等のワードは、(不安を煽って勧誘してくる)投資詐欺の常套手段とも言えます。
なので、そのようなワードに食いついてしまうような人にも、「美味しい話には気を付けてください」と言っています。
「国家破綻の可能性もあるよね~」などと冗談めかして言ってくるも、中には、目は本気みたいな人もいますので。
投資をしない人の言い訳とは
株は、まとまったお金が必要だから……(だから、やらない)。これは、私が今までで、一番よく聞いてきた声かもしれません。
ちなみに、これとよく似た声に、「株は、お金持ちがやるものだろう」があります。これらについては、結論から言えば、「いいえ」です。
たしかに、ニトリやキーエンスのように数百万円を必要とする銘柄もありますが、そのような銘柄はほんの一部です。
たとえば、野村ホールディングスは約9万円、ENEOSホールディングスは約7万円、そして日本電信電話(NTT)は約2万円と、数万円程度から購入できます。
実に、全銘柄の3~4割(1500銘柄程度)は、10万円以下で購入できるのです。
また、積立であれば月1万円程度から可能ですし、多くのネット証券では1株単位(通常の売買代金の100分の1)で購入できる制度もあります。
この最低投資額については、ちょっと調べればわかることです。
でも、それをしないで、「株は、まとまったお金が必要(だから、やらない)」と言ってくるということは、投資をしていない自分に対して、投資をしていない言い訳を与えているわけですね。
でもそれは、投資に興味があることの裏返しとも言えますが(まったく投資に興味なければ、何も言ってこないはず)。
投資で失敗すると自己破産するのか
株で失敗したら、自己破産や、路頭に迷うことになるかも……(だから、やらない)という人もいます。
たしかに、株式投資では、投資資金は最悪ゼロになる可能性もあります。
しかし、投資資金がゼロになったからと言って、「生活資金のすべてを株に突っ込む」「身の丈以上の借金をして株を買う」といった無茶なことをしていない限り、自己破産や路頭に迷うようなことは、まずあり得ないはずです。
そして、そんな無茶なことをする人は、ほとんどいないはずですね。
これはおそらく、株式投資について、かなり(面白おかしく)誇張された話を、もしくは小説・ドラマなどを、断片的に見聞きした人の持つイメージでしょう。
実際、「株=ギャンブル」のイメージで描かれていることは、よくあることです。
そして、これも少し勉強すれば、相当無茶な投資でもしない限り、自己破産などはあり得ないことは分かるはずです。
やはり、前述の「株は、まとまったお金が必要だから……」と同じで、投資に興味があるのに、投資をしていない人ほど、(投資をしていないことを正当化するために)投資をしていない言い訳を見つけるものだなぁ、と感じております。
意外に多い「NISAを買ってみたいんだけど……」
NISAを買ってみたいんだけど……。
NISAのことを、株や投資信託のような、何らかの金融商品と思っている人もいます。なので、「新NISAを買ってみたい」となるわけですね。
NISA(少額投資非課税制度)とは、「株や投資信託等からの収益が、一定範囲まで非課税となる」制度であって、金融商品ではありません。なので、新NISAを買うことはできません。
投資経験者からすれば、思いもよらない勘違いだと感じるかもしれませんが、投資未経験者からすれば、わりと普通に感じることのようです。
これは、新NISAが話題となり始めた昨年あたりから、よく聞く勘違いです。
そんなプライベートでの声(勘違い)をよく聞くようになってからは、とくに投資未経験者向けのセミナー等では、
NISAとは「入れ物」であって、そこに株や投資信託等の商品を「入れる」ものである。
NISA「を」買うのではなく、NISA「で」買うものである。
と、NISAの制度内容以前に、まずはNISAの位置付けをしっかりイメージとして理解してもらうよう、心がけております。
お金のプロがモヤモヤしていることとは
それでは最後に、プライベートの場で、私自身、少しモヤモヤしていることについて書いておきます。
それは、聞けば何でも教えてくれるとばかりに、頻繁に、情報のタダ取りをしてくる人です。
もっとも、「ちょっと聞きたいんだけど……」と、たまに聞かれるくらいであれば、こちらも頼られて悪い気はしませんし、できる限りはお答えするようにはしています。
しかし、明らかに度を過ぎての頻度で来られると、困ってしまうわけです。
先日も、「週1回くらいで投資の情報交換をしないか?」と言われました。
情報交換と言っても、その人は投資経験ゼロなので、これはどう考えても、私が一方的に情報を提供するだけなのは、目に見えています。
もともと、そのような人の存在にはモヤモヤしていたのですが、ここ最近、プライベートでの投資絡みの話題が増えるに伴い、そんな情報タダ取りに直面することが増えてきたのです。
情報をタダ取りする人へ、お金のプロの対処法
そのような(頻繁な)情報のタダ取りは、ほぼ間違いなく、プライベートの場で発生します。
お金が絡むビジネスの場では、情報も有料ということは広く認識されているせいか、仕事関連ではほとんど発生しません(例外もありますが)。身内・友人・知人が相手のプライベートだと、ついつい油断してしまうのでしょうか。
コンサルタント業の方など、とくに無形のサービス提供を生業とされている人の中には、「ちょっと教えてよ」と、頻繁に友人や知人から言われて、(無下に断れないケースも多くて)モヤモヤしている方も多いかと思います。
そんな情報タダ取りにうやむやに対応していては、ずっとモヤモヤしたままです。そして、私もずっとモヤモヤしておりました。
ただ、最近は、プライベートでの投資談義が増えてきたこともあり、度を過ぎるような場合には、「普段、有料で投資相談などをやっていて、もし、無料でやってしまうと、他のお客様に怒られてしまうので、残念ながらできない」といった文句で、ハッキリと断るようになりました。
今のところ、この当たり障りのない断り文句で、上手く断ることができています。