手に入れるお金を増やすにはどうすればよいか。金融・投資コンサルタントの永田雄三さんは「お金持ちになりたいなら、まずは『収入源を3個に増やす』ことを目標にしよう。たとえば、給与所得、利子所得、雑所得を得るようにするといい」という――。

※本稿は、永田雄三『1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト』(日経BP)の一部を再編集したものです。

「副業」は人生最大のリスクヘッジ

私の主宰する教室に参加した女子のうち、1000万円貯金を果たしたり、もう少しで1000万円に手が届きそうな「富女子」たち100人にアンケートを実施しました。

一般的に「やるといい」といわれている事柄の中から、「1000万円を貯めるためにやったこと、やめたこと」を聞いたところ、1000万円貯めた女性たちのやったことリスト5位は「副業」でした。

女子の意見
● 自分の仕事で精いっぱいだったけど、会社が副業を解禁してから、土日だけ趣味でライターの仕事を始めた。収入もスキルもどちらも得られるのは大きいと感じる
● インスタ投稿の副業を始めたら、いつの間にか本業よりも稼ぎが多くなった。自分の自信にもつながるし、本業をやめてもいいという心の余裕にもつながった

「お金を増やす」とひと言でいっても、大きく2つの方向性があります。

「使うお金を減らすこと」と「手に入れるお金を増やすこと」です。

私は女性たちに、「収入源を増やしなさい」という話をよくします。この理由は単純です。使うお金を減らすのには限界があって、どんなに減らしても収入以上にはなりません。一方で、手に入れるお金を増やすほうは、天井はないからです。

自宅で撮影する女性
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給料は増えなくとも収入源は増やせる

“でも、お給料は全然増えないし、収入も増えません”

そうですね。月収20万円が、急に40万円に増えるのは無理な話です。

でも、ちょっと待ってください。私が言ったのは、「収入、もしくは収入源を増やせ」ということです。けっして給料の額の話ではありません。

“え? 会社員の収入は、給料ですよね?”

いえいえ、違うんです。

ここでは、そんな勘違いをしている方のために、「所得とは何か」というところからお話ししていきましょう。

収入は、税法上でいうと「所得」といって次の10種類があります。

10種類の所得
利子所得 …… 貯金していると入ってくる利子のこと。
配当所得 …… 株の配当など、投資信託の儲けのこと。
不動産所得 …… 賃貸マンションの賃料。
事業所得 …… ものを売って得た儲けのこと。たとえば、自作アクセサリーのネット販売で得た儲けのこと。
給与所得 …… 給料や賞与のこと。これはおなじみですね。
退職所得 …… 退職金。
山林所得 …… 持っている山の木を売って得た儲け。
譲渡所得 …… 持っていた不動産や、株などを売って得た儲け。
一時所得 …… クイズの懸賞金や満期保険金など。
雑所得 …… 公的年金や原稿料、印税、講演料など。他の所得に属さないもの。

だいたいみなさんは、「給料でしか稼げない」「収入源は1つしかない」と思い込んでいるでしょう。でも、今挙げた10個すべてが、あなたの収入源になり得ます。

お金持ちになりたいなら収入源を3個に増やそう

お金持ちになりたいなら、まずは「収入源を3個に増やす」ことを目標にしましょう。たとえば、「給与所得」「利子所得」「雑所得」のようにする、ということです。収入源を3つに増やすのは、豊かさへの王道です。

増える金額自体は少額でいいでしょう。額にこだわっているといつまでも動き出せません。

「収入源といえば給料しかない」。その思い込みをまずは突破してほしい。

だから、額にこだわらず、給料以外の収入を持ってください。

植物とコインと電球
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会社に依存せず自由な人生を歩む

なぜ収入源を増やすことが大切か。ここには2つの理由があります。

①本当の意味で自立した、自由な人生を歩む。
②「お金を使う」と「お金を増やす」のバランスを取る。

まず①から。多くの方は、社会人になって働いて、お給料で生活していますね。親元を離れて、あるいは同居しているとしても、経済的には親から自立していますよね。

でも、私から見ると、ほとんどの方は本当の意味では自立しているとは思えません。

なぜなら、ほとんどの方が「会社」に依存しているように見えるからです。

その会社が倒産したり、何らかの理由であなたが辞めなければいけなくなったら、途端に生活が立ち行かなくなる。

あるいは、職場環境が急にブラックになったり、配属された部署の上司と気が合わなくて働いていることがツラくなったとしても、多くの人は、その会社に居続けることを選ぶ。なぜなら、「ここしか働ける場所がない」と思っているから。

これが、会社に依存しているということです。

私のところにアドバイスを求めに来る女性たちにも、こういう考え方の方は大勢います。

でも、一人ひとり、じっくり話を聞いていると、みなさん個性があり、考え方があり、やりたいことがある。それなのに、「この会社しかない」と思い込んで、ガマンしている。

これでは、社会人として「自立している」とは、いえません。親からも、会社からも、自立する。会社も生き方も自由に選ぶ。それこそが真の「自立」です。そのために収入源を増やすのです。お金を稼ぐために、やりたいことをガマンして、嫌いな人の言うことを聞く必要はありません。

お金持ちほど、いろいろな事業をしている

収入源を増やすべき理由の②は、「お金を使う」と「お金を増やす」のバランスを取るため、です。

みなさんは、今、「お金が自分のところに入ってくる日」は月に何日ありますか。

きっと多くの方が、「給料日のみ、1日」だと思います。しかし、お金を使う日は何日ありますか? きっと「ほぼ毎日」でしょうね。お金が入ってくるのは、年に2度のボーナスの日を入れたとしても年間でたった14日、使う日は365日。それでお金が貯まると思いますか?

貯まったとしても、ものすごく大変、というのは想像できると思います。実は、所得の数を増やすのが、お金持ちになるいちばんの近道なのです。

「1つの会社に勤めたほうが偉い」「副業したらダメ」という風潮があります。でも、周りを見回してみてください。

お金持ちほど、いろいろな事業をしていると思いませんか? 会社の経営者でも、たった1つの事業だけではなくて、いくつかの事業を掛け持ちしていませんか?

たった1つのことを頑張っているだけでお金持ちになれるのは、スポーツ選手や芸術家など、本当にひと握りの人だけです。ぜひ、お金持ちの働き方の真似をして、事業の掛け持ちをしてみましょう。

今日まで給料一本で生活していた人が、いきなり「会社を辞めても大丈夫!」となるのは難しいかもしれません。

でも、収入源を増やすことが、お金持ちになるため、そして将来、自分で自由に選んでいくための大きな一歩になることは、ぜひ覚えておいてください。

日本円マークの実を持つ木
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副業禁止でも「投資」はできる

“収入源を増やすということは、副業をやれってことですよね? うちの会社、副業禁止なんです”

いえいえ、違います。副業はたしかに収入を増やす1つの方法ですが、副業禁止の会社員でも収入源を増やすことができます。ですからまずは、「収入は給料のみ」という思い込みを外して、可能性を探っていきましょう。

ここからは、みなさんが「会社勤め」という前提で、それでも増やせる収入源を案内していきます。もちろん、すべて私がアドバイスしてきた会社員の女性たちが実行できたものです。

①「投資」をする

まずは、iDeCoを始めたり、ゴールドを買ったり……は、収入源を増やすためにすぐに始められることですね。ある程度、お金の勉強をした人ならばNISAも有効な手段です(ただし、インサイダー取引など、お勤め先や仕事の内容によっては規則でできないこともありますので、その点はご自身で確認してください)。

「やれば必ず収入になる」と言えないのはツラいところですが、副業禁止の会社でも投資はOKなことが多いですし、ひとまず収入源を増やすためには有効です。

お金になる技術を磨くことはできる

②お金になる技術を磨く

これは、端的にいえば副業ということでもありますが、副業禁止の職場にお勤めの方のために言い換えるならば、会社に依存せずに収入を得られる能力を磨いておく、ということです。副業としてお金を得るところまでいってしまえば就労規則違反、という方でも、能力を磨くだけなら、何の文句も出ないはず。

たとえば、私が運営している「富女子会」は、「ライター部」を持っています。ここに所属する女子たちは、文章のライティングを勉強して、WEB記事の制作、テープ起こし、講演を聞きに行って記事にまとめる、などちょこちょこ書く仕事をしています。すでにプロのライターとして活躍している人も出てきました。

書く仕事は家でできるので、収入源を増やす方法としてはやりやすいみたいです。

あるいは手先が器用な人なら自分で何かをつくって売るとか、日本語を学びたい外国人と会話してお金を得るとか……今の時代、できることはたくさんあります。

まずは実際に行動し始めましょう。「収入源は1つの会社からお給料をもらい続けるだけ」という思い込みを完全に破壊しないと、絶対にお金持ちにはなれません。

フリマサイトで売る側になる

③「売る」名人になる

普段は消費者として使っているメル○リ、ラク○とか、ヤフ○ク!で、ものを売ってみるというのもいいですね。友人から売りたいものを募って販売代行をして、手数料をもらってもいい。それなら、お休みの日にもできそうですよね。

最初は300円、500円かもしれません。いいんです、それで。額は関係ありません。「収入源が複数ある」ことが大事です。今日は給料日、明日はメル○リの入金がある日、というように、お金の入る日を少しずつ増やしていく。

朝9時から夕方6時まで働いて月に20万円もらって、10年経っても、数万円しか上がらない。ずっとその収入源に頼っていたら、いつまで経ってもお金持ちになれるわけがありません。発想を変えることが大切です。

仕事を時給でとらえない

収入源を増やすにあたって、みなさんに覚えておいていただきたいことがあります。それは、「時給いくら」で仕事をとらえない、ということです。

時給換算で収入をとらえた場合、稼げる金額は、かけた時間によって左右されることになります。反対にいえば、「時間をかけないと、稼げない」ということ。「お金を稼ぐ=働く時間を増やす」というふうにとらえてしまったが最後、お金持ちへの道は閉ざされることになります。

お金持ちになることは、仕事や時間の奴隷になることではありません。そうしたものから自由になることです。

ですから、給料以外の収入源を増やす際には、ぜひ、時給換算を前提にした選択はやめてほしいと思います。

ドル紙幣と古い時計
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収入も、自己肯定感もアップする「転職」

この項目の最後に、転職もまた、収入源や収入を増やす方法であることをお伝えしておきます。

給料の水準は、業種である程度決まります。たとえば一般の会社の受付事務とか、栄養士、美容師、アパレル関係。こうした仕事が悪いと言っているわけではないけど、そうした業界でものすごく努力しても、収入の天井には比較的早く到達してしまうでしょう。

お金が本当にほしいなら、基本は営業です。

私がアドバイスした人の中には、栄養士をやっていて年収数百万円だった女子が、外資系の保険会社に転職して1000万円になった、というケースもあります。彼女はそれでアパートを買って、不動産所得も増やしました。その友だちの栄養士だった子は、営業ではありませんが、看護師に転身して、給料がかなり増えたと言っていました。

人生、お金がすべてじゃない。それよりもやりたいことをやりたい。

その気持ちはわかります。でも、いくらやりたいことでも年収が300万円を切っている方は、転職を真剣に考えてほしいと思います。年収が300万円ということは、社会保険料や税金が引かれるとだいたい手取りが250万円です。これが、毎年100万円以上貯金するための最低ラインだと思います。

やりたいことが本業とは限らない

やりたいことは、本当に本業でやらないといけませんか? お金は別のところで得られるようにして、豊かな気持ちでその「やりたいこと」をやってもいいはずです。時給換算から解放されれば、本業にしていないことでも、やれる時間は確保できるはず。

永田雄三『1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト』(日経BP)
永田雄三『1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト』(日経BP)

実際に転職した人の中には、

“年収の高い会社に転職するということは、忙しくなったり、頑張らなきゃいけないことが増えることだと思っていました。でも、違ったんです。正直に言うと、なんでこの仕事でこんなにもらえるんだろうというくらいもらっていますが、周囲の人もみんな同じ水準でもらっているので、こういうことなんだなーと。年収=自分の実力、というわけではなかったです”

と言う人もいました。

年収2000万円稼いでいる人が人間的にすごくすぐれていて、300万円の人がすべて劣っているかというと、絶対にそんなことはありません。

自分で自分の価値を決めつけず、収入や収入源を増やす方法を試してみてください。

副業で収入を得る場所、得る回数を増やす