都心の土地や住宅価格は高止まりしており、一般人には手が届きにくい価格となっているが、比較的所得の高いパワーカップルが積極的に購入しているといわれている。『プレジデント ウーマン』編集部では、キャリア女性約400人に、住宅に関するアンケート調査を実施。そこから浮かび上がってきたのは「女性たちが選ぶ」最先端の住まいの実態だった――。
朝焼けに照らされる住宅街
写真=iStock.com/jimfeng
※写真はイメージです

都心の新築マンション価格は、3カ月連続で1億円超え!

東京都内の新築マンションの平均価格は、3カ月連続で1億円超え(不動産経済研究所発表)。千代田区や新宿区の2億円超え高級マンションが、平均価格を押し上げたという。一般的には都内23区の新築マンションは、高嶺の花になっているとも言えるが、それでも都心部ではいわゆる高所得の共稼ぎ、いわゆるパワーカップル層が後押しをして高額物件が人気だという。多くの人にとって人生最大の買い物は家だが、既婚未婚関わらず、可処分所得の高いキャリア女性が増える中、稼ぐ女性ならではの住宅事情、そして将来的の住まいへの期待はどのように変化しているのだろうか?

そこで、2023年6月、『プレジデント ウーマン』編集部では、三菱地所ホームとともに、キャリア女性約400人への、住宅に関するオンラインアンケート(※)を実施した。

まずは、現在の住宅事情を見てみよう。全体の持ち家率は70.1%と高い(図表1)。住まいの形態は、持ち家、賃貸含めて、戸建てが29.1%、マンションが70.6%(図表2)。回答者の大半は40歳以上の役職者・管理職で、個人年収は比較的高く、約7割が700万〜1000万円、約3割が1000万円以上。うち3000万円以上も存在するが、こちらは企業役員または経営者だ。

(※)「住宅に関するアンケート」(実施期間:2023年5月26日〜6月1日。「プレジデント」と「プレジデント ウーマン」メールマガジンに登録する年収500万円以上の女性読者へオンライン調査。有効回答者数:412人。うち、73.6%が役職者・管理職)

【図表】現在の住まいのタイプは?
【図表】現在の住まいの形態は?

マンション需要高し。戸建ては注文住宅が建売の約2倍に

現在の住まいは「持ち家」と回答した人のうち、その物件を新たに購入した人は90.3%、親などから相続した人は、8.7%だ(図表3)。購入または取得したタイプは、新築マンションが43.3%(図表2)ともっとも多い。東京都内在住、もしくは都内近郊圏の回答者が多いことも影響すると考えられる。勤務先への通勤時間との相関を見ても30分以内が35.7%、31〜60分以内が41.3%となっていることから(図表4)、通勤に便利な駅近、駅上などのマンション人気を反映しているとも言えそうだ。

一方、新築建売住宅を購入した人は11.5%。新築注文住宅を建てた人は19.5%(図表2)と大差は見られない。首都圏では実家を建て直したり、敷地内に別棟を建てたりすることもあり、注文住宅の需要につながる要因だといえそうだ。

購入または建築した際の価格は、3000万〜5000万円が41.1%ともっとも多く、次いで5001万〜8000万円が30.7%(図表5)。年齢から考えると多くの人が10〜25年前に取得していると予想されることから、現在の感覚で言えば比較的リーズナブルな価格で購入しており、都区内、特に、人気エリアであれば購入時より4割程度は価格がアップしていると推測できる。「購入時より相場が上昇。売却で残債処理を検討」「子どもが独立したので家が大きすぎる」など、家族構成が変わった人は、現在の中古住宅市場活況の波に乗り売却を検討している様子も見られた。

【図表】現在の住まいは新たに購入しましたか?
【図表】自宅から勤務先までの通勤時間は?
【図表】持ち家取得時の価格は?

現在、賃貸住宅で暮らす人で、住宅の購入を検討しているのは2割弱と少なめだ。うち、中古、建売、注文住宅を含めて戸建てを希望する人は34.6%、マンション希望者は65%とマンション人気が高い。やはりある程度年齢が上がると、集合住宅のほうが暮らしやすいと考える人が増えるのだろうか。「フルリノベーションで、自分たちらしい部屋にしたい」というように、中古マンションを希望する人はリノベ前、リノベ済みを合わせて30.6%に上る。画一的な間取りと内装よりも、その家にしかない新たな付加価値を求めている人も増えてきていることがうかがえる。かつては「夢の一戸建て」と呼ばれていたが、今や「都心のマンション」のほうが、現実的には「夢」に近いようだ。とはいえ、新築の注文住宅を希望する人も22.4%いる(図表6)。

戸建て、マンションともに、購入予算は、3001万〜5000万円が32.7%。次いで5001万〜8000万円が24.5%(図表7)。現実的な予算だが、先にも述べたように、現在都内の住宅価格は高騰中。希望金額内では、郊外もしくは、中古、または平米数と間取りを減らして検討する人が増えているのかもしれない。

【図表】購入を希望する住宅のタイプは?
【図表】希望住宅の購入予算は?

今の住まい、3割の人がとにかく収納を増やしたい

では、現在の住まいへの悩みはどんなことだろうか。悩みがあると回答した55.3%の人にその内容を尋ねると、「エレベーターがなく、年齢を重ねた際に不安」「老朽化している」「設備の劣化」など、長く住み続けるほど建物や設備の老朽化・劣化を気にする人も多くなる傾向が見て取れる。全般的には「狭い」「子どもが成長して手狭」と狭さへの悩みが多いが、「子どもに残すには家が大きすぎる」という声も。また「庭の手入れが大変」「屋根や壁のメンテナンス費がかかる」といった戸建て特有の悩みも散見する。さらに、「収納が少なすぎる」「モノが多い」「動線が悪い」といった悩みも。集合住宅の悩みでは「上階の騒音」「居住者のモラルが悪い」など、戸建てでは「隣の家の騒音」「ゴミ出しルールが守られない」などご近所への不満なども挙げられた。

現在の住まいに住み続けるのであれば、住宅そのものの広さは解消できないものの、間取りを変更したり、機能的な設備に替えるなど、リフォームで暮らしやすさはグンとアップすることは多くの回答者が理解している。しかし、すぐにでも改善したい部分はあるものの(図表8)、「費用面でなかなか踏み切れない」「子どもが成長するまではがまんする」という声も。これは、近頃の物価高も少なからず影響していると考えられる。

喫緊で改善したいことは、「収納」が第1位。これは造り付けの収納が少ないという意味だろう。実際、「収納さえあれば……」と悩む女性の声はそこかしこから聞こえてくる。収納が少ないほど室内にモノがあふれ、住まいは乱雑になる。断捨離を考え、スッキリと暮らしたいと望む女性は多いものの、現実はそこに至るまでの道のりは長い。だからこそ、大容量の収納が欲しいのだ。「自由設計で建てたのに、収納が足りずモノがあふれて自宅で安らげない」といった切実な声も聞こえた。

注文住宅なら比較的思いどおりの収納の設計が可能だが、建売住宅や賃貸ではすでにある収納に収まらなければ、収納家具を新たに購入する必要があり、さらに部屋が狭くなるという悪循環に陥り、本来、くつろぐための部屋が、窮屈で落ち着かない部屋になってしまうことに……。次いで「洗面・浴室」「キッチン」と続く。また、昨今の気候変化と光熱費の高騰に伴い、「窓の断熱化」が5位にランクインした。快適な暮らしには、使い勝手のよさと低エネルギー化が重要だと考えているようだ。

せっかく注文住宅で家を建てたが、後悔の残る人もいる。「設計時にもっと将来的なアドバイスが欲しかった」「高齢化を視野に、あらかじめホームエレベーターを設置しておけばよかった」など、将来的な状況を鑑みたプロのアドバイスがあればもっと快適に長く暮らせると若干後悔の声も聞こえる。住宅メーカーに丸投げするのではなく、施主自ら積極的に調べる・聞く・意見を出すことが、満足できる家を手に入れるコツでもある。

【図表】現在の住まいで今すぐ改善したいと思う場所は?(複数回答)

悩みとは別に、現在の住まいで快適または満足している機能は、「マンション1Fにスーパーがある」「コンシェルジュがいる」「駅近なのに静かな環境」「立地、交通の便がいい」「緑が多い」など、生活環境に関する回答が多く寄せられた。

既婚女性の4割が住まいを買う・借りる際の決定権を持つ

では、住宅に関する決定権は、誰にあるのだろうか。一般的に既婚者の場合は、インテリアなどの内装は妻、購入に関しては夫が主導権を握ることが多いと言われているが、妻の個人年収が比較的高いキャリア女性家庭の傾向はどうだろう。

購入や賃貸に関しては、全体で69.7%の人が自身、つまり女性にあると回答。家族構成別に見ると、既婚者で子がいる場合では、44.2%、既婚者で子がいないケースでは41.8%。既婚家庭でも、実に約4割が女性(妻)に決定権があることがわかった。独身では自身で決定することがほとんどだが、独身(離婚)で子どもがいる人は、元夫や、親などに相談する人もわずかではあるものの存在する(図表9)。内装に関しては、全体で77.4%と圧倒的に女性に決定権があることがわかった。

【図表】住宅購入(または賃貸)の際に決定権のある人は?

コロナ禍で一気に進んだリモートワーク。在宅リモートワークの経験がある人は、全体の約8割に上る。では、住宅事情は在宅リモートワークに適しているのだろうか? 回答で特に多かったのが「通信環境」の悪さ。中でもマンション住まいの人から、「光回線速度が遅い」「Wi-Fi環境がよくない」との声が多い。リモート会議中にビデオが固まったり、音声が途切れたりするのはビジネスでは致命傷だ。古いマンションでは高速光回線化など、IT環境整備が追いつかないケースもあるという。また、部屋数の少なさにより、夫婦ともに在宅の場合は、「個室の争奪戦になる」「同部屋で作業するしかなく、集中できない」「家族の声が入って困る」などの問題があり、仕方なく「近くのカフェに移動して仕事をする」人も少なくないことがわかった。

こうした状況をベースに、住環境の改善点に、間取りを増やしたい人、さらにリモート環境を整えるために必要な住宅機能では「防音機能を備えたスペース」「個室(狭くていい)」「コンセントの増設」を希望する人がいるのは当然とも言える。

「住宅購入は一生に一度」は過去のもの

今は家事負担を軽減するために、電器調理器など時短家電をフル活用する人も多い。アンケートでは、約5割の人が活用しており、あまり活用していないという人も合わせれば、約8割の人が時短家電を所有していると思われる(図表10)。さまざまな種類の時短家電が発売され、便利ではあるものの、難点は「大きすぎる」こと。「大きすぎてスペースに余裕がなく、台所が狭く見える」「収納するにも重くて、キッチンの床に置いてある」など、置き場所に困っている人や、出しっぱなしにしている人も。時短家電の活用は、これからもますます伸びると考えられるため、今後の住宅設計では、「大きさがまちまちの家電が丸見えになっていると、気分が落ち着かない」の声も踏まえて、時短家電をスマートに収められ、スッキリ隠せる広めのスペースをキッチンに設けることが必須のようだ。

【図表】時短のためのキッチン家電は利用している?

「住宅購入は一生に一度」と言われ続けて久しいが、年齢やライフスタイル、同居人数の変化などにより、いったん購入しても住み替えを考える人が増加している。

共に暮らす人の構成を見ると、現在の住まいに同居者1人がもっとも多く、配偶者(またはパートナー)との二人暮らしが約7割に上った。回答者の年齢と家族構成から推測すれば、すでに子が独立し夫婦二人の生活に戻っている人も多いと考えられる。

家族の変化により、駅近のマンションへの住み替えを視野に入れるのはもちろん、持ち家に限らず、今の住まいを終の棲家とするならば、さらなる高齢化と介護を見据えて、バリアフリー化を考えたことのある人は、約6割に上る(図表11)。

【図表】バリアフリーを意識したことはありますか?

今回のアンケート調査では、キャリア女性の持ち家率は高い一方で「一生この家で暮らす」という強い意志ははっきりと見えてこない。人生はますます長くなり、家族構成やライフステージによって生活が変化していく時代、賃貸でも持ち家でも、人生の後半に向けてより快適に、より自分らしく暮らすため、住まいに対して変化を見据えている女性たちが多いことが見て取れた。