個人投資家のまつのすけです。2021年は約8カ月で1億544万円の利益確定を達成しました(評価益を加えるともっとプラス)。今回は私が実践しているイベント投資の一つで、勝率が高い手法をご紹介します。
イベント投資とは、過去の実績では勝率が高い事象については、今後も同じことが起きる傾向があると考えて投資する手法です。勝率を上げるためには、過去のデータを分析して、統計的に優位性があるか、再現性があるかを分析して実践していくことになります。
こう申しますと、「過去のデータの分析なんて面倒でやっていられない」という方もいらっしゃるでしょう。そこで、簡単に実践できる方法を一つご紹介します。
長期連休明けの上昇傾向に投資する
アノマリー(相場でのよく的中する経験則)の一つとして、“長期連休明けは、株価が上昇する傾向にある”とのデータがあります。連休中は長い休場時間が発生するので、短期売買を行う投資家・ヘッジファンド等の中には、リスクを回避するために保有株式をいったん売却して、連休明けに買い直す人がいることが影響していると考えられます。
長期投資をおこなう投資家には理解できないでしょうが、安心して眠るために、保有株式の持ち越し(オーバーナイト)を避けたいという投資家も多い状況なのです。
2021年12月21日に公開した記事では、12月30日に買って1月4日に売ると勝率が高いことをご紹介しました。
実際に2021年12月30日の引け(取引終了時)で日経平均を買って2022年1月4日の寄り(取引開始時)で売れば、約1.06%の利益が出ました。普通預金の金利は0%に近い低金利ですから、たったの6日間で1.06%という数字は満足できるものでしょう。
過去30年間のトータルでは22勝8敗で、勝率が約73.3%、4回に3回近くはプラスリターンとなっており、累積リターンも大局的には右肩上がりの傾向となっています。
GW戦略は過去30年で3回に2回はプラス
年末年始ほど強い傾向ではありませんが、日経平均株価に連動する金融商品をゴールデンウィーク(GW)の連休前の5月2日の終値で買って、GW明けの5月6日の初値で売るのも有効な傾向となっています。
4月末と5月初旬に連休が2分割されており、休み日数が同じ場合は、「昭和の日」「土日」を挟むときはパスし、「憲法記念日」前に買い「こどもの日」明けに売るパターンのみが勝率が上昇します。
過去30年では19勝11敗となっており、勝率は約63.3%です。およそ3回に2回はプラスだったことになります。ただし、2010年代はあまり調子がよくありませんでした。日本株・米国株にはセル・イン・メイ(5月に売れ)という相場格言があり、4月にピークアウトする年が多いことが影響しているかもしれません。
ひと工夫してリスクを抑えるなら、25日移動平均線の乖離率がマイナスであれば避けたほうが無難です。右肩下がりが続いているダウントレンドの際には、連休明けも下がってしまうことが多くなります。
逆にGW前に上昇トレンドが続いているような場合、連休明けも堅調な傾向があり、終値の方が高くなることもあります。上昇トレンド時のみGW前の終値で買い、GW明けの終値で売るという選択肢もあります。
過去の傾向にもとづいた投資で稼ぐには継続が大事
GWのオーバーナイト投資は知名度が高くありませんが、年末年始のオーバーナイト投資は知名度が高いです。すでに幅広く知れ渡っていても、依然として有効性を維持しています。
注意点としては、「ダメな年もある」ことです。100戦100勝の戦略ではなく、あくまで“上昇する傾向にある”ということですから、カジノの経営のように反復継続的に施行する必要があります。挑戦した年がたまたまダメで、それで止めてしまうというケースが多いです。
したがって、過去の傾向にもとづいて売買する戦略は、ダメな年があってもメンタル的に継続できるか否かを判断し、継続できる金額に投資金額を抑えることが重要です。
過去の実績で勝率が高い場合、つい一攫千金を狙って多額を入れてしまいがちですが、コケた時にめげずに継続できる範囲に抑えるのがおすすめです。そうでないと大きな損失が出た場合、コリゴリして投資を止めてしまう可能性が出てくるからです。
この辺はダイエットに似ているかもしれません。続けられない程の極端なダイエットをすると、一時的には痩せるかもしれませんが、途中で挫折してしまいリバウンドしがちです。自分が継続できる範囲で投資して、着実に成果を出すというスタンスがベターです。
時系列データをエクセルで分析して期待値を検証
私は株式を買いたくなった場合、同じ条件が該当する銘柄に過去に投資していたらどうなっていたのかを分析しています。
Yahoo!ファイナンスや楽天証券のマーケットスピード2等のツールで、過去の時系列データをエクセルに落とし込み、統計的に期待値が高いかを検証した上で投資しています。
売買ルールをいくつか検証し、さらに必ずドローダウン(最大の減少幅)もチェックしています。勝率が高くてもドローダウンが大きいと、メンタル的に途中で耐えられなくなるリスクがあるためです。
全体的に過去実績が良好な場合、次にリターンが出ている銘柄に共通している属性・状況は何なのか、損失となったケースは何がダメだったのか、プラスの場合とマイナスの場合の違いは何なのかといった角度で分析します。
リターンが出やすいポイントが見えて勝率が上がる
こうして要素分解をして掘り下げていくと、「こういう銘柄、こういう場合はリターンが出やすい」というポイント・傾向が見えることがあるので、勝率を上げることが可能になります。
また、投資手法に内在する特性・弱みも見えてくるので、不用意な売買を避けて、トータルリターンを高めることができます。
例えば勝率は低いけれども勝てるときは大勝でき、トータルではリターンを出せる投資手法の場合、勝率は低いことを事前のデータ分析で認識していれば、負けが続いてメンタルが萎えてきて、この投資手法はダメだと考えて止めてしまう事態を回避できます。また、損小利大を心掛けるなど重要な点を認識することが可能です。
ドローダウンがきついけれども最終的には勝てる傾向がある売買の場合、過去の傾向を掴むことで途中での一時的な評価損を我慢する心構えができます。投資の途中で訪れるマイナスに対する心構えができず、途中で慌ててクローズしてしまって損失に終わるといった落とし穴にハマることを回避できます。
過去のデータを分析すれば資金管理もうまくなる
投資で成功するには資金管理とメンタルも重要になってきます。多額を投資すると大儲けの可能性が生じる反面、裏目に出ると大損するリスクも出てきます。常に勝利するのが理想ですが、株式投資は上手くいかないケースも多々あり、敗戦処理も重要です。
「自分の精神力を超える大きなリスクのポジションが逆行してしまい、評価損に耐えられずに投げたところが大底で、そのまま持っていれば大きなリターン」という落とし穴にはまらないように、しっかりと資金管理することが重要になってきます。
過去のデータ分析でリスク・ボラティリティを把握していたら、自然と資金管理も上手にできるようになります。
自分の性格に適したスタイルを選ぶのも成功のコツ
教科書的な株式投資とは、企業に資本を投じて、当該会社の経済活動の果実を享受する投資となります。ウォーレン・バフェットに象徴される長期投資が王道です。
株価=EPS(利益)×PER(評価)、もしくはBPS(資産)×PBR(評価)と表現でき、株価上昇は、利益・資産の増加、投資家の評価の改善、特殊需給の発生などの要因があります。
投資家ごとに投資手法は多種多様であり、ファンダメンタルズが王道ではあるものの、モメンタム、値動き、テクニカルなど幅広い切り口があります。
期待収益率(期待値)が高い状況で適切な金額を投資できると、収益を獲得できる確率が上昇します。人それぞれ得意分野・性格が異なるので、期待値が高い投資手法は人によって変わってきます。
企業分析が得意な方はバリュー投資やグロース投資、売ったり買ったり取引するのが苦手・値動きを追うのが苦痛という方は、投資信託の積立が最適解でしょうし、一日中パソコンで板や値動きを追うのが好きな方は短期トレーダーに向いています。
ファンダメンタルズを分析して割安な企業に投資するバリュー投資、企業業績の拡大する銘柄を選定するグロース投資、値動きに波乗りして順張りするモメンタム投資、過去の値動きの分析に基づいて利益が出るシグナルを発掘して勝率が高い局面で投資するシステム投資、株価指数と連動する投資信託やETFを購入するインデックス投資など多様な投資手法があります。
時間軸も数秒で完結するスキャルピング、数時間程度で結果を出すデイトレ、数日~数週間のスイング、数カ月~数年の中期投資、数年~数十年の長期投資まで千差万別です。
同じ局面でも投資家によって期待値は異なるので、大切なことは自分の性格にあった投資手法・投資スタイルを磨いて、大きく勝てるポイントを増やすことです。