SNSは自社ファンをつくるコミュニケーションツール。炎上を防いで上手に活用しましょう
検索はSNSで行う時代に。アカウント運用のコツとは?
多くの企業がSNSの公式アカウントを運用しています。投稿はSNSを通じてシェアされたり検索されたりして多くの人に伝わり、投稿内容がメディアで取り上げられれば、それを見たユーザーがSNSで話題にするといった循環も生まれます。SNSは情報発信ツールであり、検索ツールであり、コミュニケーションツールでもあります。
しかし「周囲がやっているから」とやみくもに企業アカウントを開設しても成果は出にくいもの。5つのポイントを明確にしましょう。まずはSNSマーケティングのゴールを決めます。「若年層の認知度向上」がゴールなら、10〜20代がアクティブなSNSを選び、インフルエンサーの活用やキャンペーンの実施などが施策になります。
さらに、具体的な目標を決めます。「認知度向上」がゴールなら、「いいね!」や「フォロワー」の数を、「売り上げアップ」がゴールなら、「サイトへの誘導数」などを目標に設定し、進捗を確認します。各SNSが得意とする施策やユーザー層は異なるので、特徴を理解しましょう。多くのユーザーと接点をつくるなら、複数のSNSを運用するのがおすすめです。
2022年最新 SNSの気になる動向をCheck
企業のInstagram活用が加速
ユーザーのFacebook離れで、企業公式アカウントをInstagramやTwitterへと移行するケースが増えている。特にInstagramの企業アカウントは増加中で、ファッションやコスメ企業のみならず、BtoB企業がブランディングや人材募集に活用する例も。
若者の間で進むFacebook離れ
Facebookの特徴は、実名登録が原則であるという点。リアルな人間関係が反映されるため、つながりが重く感じられて敬遠する人も。特に国内では、若年層のFacebook離れが進んでいる。一方でアクティブユーザーである40〜50代以上への影響力は大きい。
検索エンジンからハッシュタグ検索へ
検索の手段は検索エンジンからSNSへとシフト。15〜24歳の83%がInstagramで検索をするという(※)。ハッシュタグ検索のほか、地図検索も人気。発見タブの地図アイコンをタップすると、位置情報をつけた投稿とともに人気スポットが地図上に表示される。
※SHIBUYA109 lab.
宣伝ばかりではNG! SNSで最大の効果を出す7つのポイント
ユーザーと接点を持ち、ファンを育てることもできるSNSは効果的に活用すればイメージアップや売り上げにつながる。SNSマーケティングで最大の効果を出すポイントを紹介。
見る人が楽しめる投稿でユーザーと関係を深めよう
企業がSNSを導入する最大のメリットは、ユーザーと直接つながって情報を届けたり、生の声を集めたりとマーケティングに生かせること。公式アカウントの投稿で新製品やキャンペーンを告知する、インフルエンサーを活用する、アクティブサポートにつなげる、SNS広告を出すなどの方法があります。しかし、思うように効果が表れないということも。ありがちな失敗例としては、一方的な宣伝ばかりになってフォロワーが離れてしまうこと。
SNSとは本来、インターネット上で友人・知人同士が交流する場です。企業アカウントとしても、見る人が楽しめるようなコンテンツを意識してユーザーとの関係性を深め、最終的に自社製品やサービスのファンになってもらうことをめざしましょう。
今、もっとも勢いがあるSNSといえるのがインスタグラムでしょう。ユーザー数の伸びが著しく、新機能も続々と搭載されています。検索タグが人気で、表示される投稿はユーザーの好みをAI(人工知能)が分析してパーソナライズされています。多くのユーザーに好まれるような投稿を発信していくことが、今後ますます求められていくでしょう。
1. ハッシュタグを有効活用する
ハッシュタグはTwitterでは3個前後、Instagramでは最大数の30個をつけて活用しましょう。大・中・小テーマでつけるのがコツ。パンケーキ店の投稿なら、大テーマは「#パンケーキ部」、中テーマは地名を加えた「#銀座パンケーキ」、小テーマは「#店名」といった具合です。
2. Instagramのストーリーズ、フィードを使い分ける
フィード投稿はアカウントの世界観が伝わる統一性のある内容にしましょう。ストーリーズはユーザーと交流を深める場として、親しみやタイムリーさを感じさせる内容にします。例えば、アンケートや新製品のキャンペーン、企業の舞台裏といったコンテンツが適しています。
3. インフルエンサーは自社との親和性で選ぶ
インフルエンサーはフォロワー数だけでなく、得意ジャンルやフォロワー属性などを参考に、自社商品やサービスとの親和性で選びましょう。フォロワー情報は管理ツールから、アカウントを持つ本人が確認可能。インフルエンサーは代理店を介して探してもらうこともできます。
4. アカウントの「中の人」がインフルエンサーになる
社員自らが企業名や実名を明かしてインフルエンサーとして発信するケースも。自社製品やサービスについて、説得力のある発信ができるのがメリットです。また、「中の人」のキャラクターを立たせ、ユニークな投稿でフォロワーと友好的な関係を築いている企業もあります。
5. 宣伝ばかりの発信はNG。共感できる投稿を
企業アカウントとはいえ、宣伝ばかりではフォロワーが離れてしまいます。企業として発信したい内容だけでなく、ユーザーのためになる投稿も心がけましょう。Twitterのトレンドに便乗した投稿やアンケート、役に立つ豆知識、商品開発の舞台裏など飽きられない工夫を。
6. アクティブサポートで顧客満足度を高める
自社サービスや製品に関して、SNSで不満や意見を述べている人を探し、リツイートやコメントで能動的にアプローチするカスタマーサポートの手法があります。顧客満足度の向上に加え、こまめに不満を拾い上げていくことで、炎上のリスクを軽減する狙いがあります。
7. ステマは黒に近いグレーゾーン。対策を万全に
インフルエンサーを使った訴求は新規ファンの獲得に適していますが、ステマにならないことが重要。違法ではないものの、モラルの観点から反感を買いやすく、炎上につながることも。「#Sponsored」などをつけ、投稿者と企業との関係を明確にすることが大切。
炎上・なりすまし・風評被害……SNSトラブルを回避する
不適切な投稿が火種となってあっという間に拡散・炎上してしまうのがSNSの怖いところ。予防策と対処法を決めて備えよう。
炎上は完全には防げないが予防と早期消火で備えよう
総務省の調査によると、日本人の4人に1人が何らかのSNSトラブルを経験しています。個人情報の流出や誹謗中傷などさまざまですが、企業アカウントが気をつけたいのが、なりすましアカウントと炎上です。
「なりすましアカウント」とは、ユーザー名や投稿内容などを公式アカウントそっくりに装ったもの。フォロワーから個人情報を聞き出すトラブルがツイッターやインスタグラムで多発しています。本物の証しである認証バッジを取得して予防し、偽アカウントを探す巡回と、発見したらホームページで注意喚起をして、被害を食い止めましょう。
SNSを慎重に運用していても、炎上を100%防ぐのは難しいもの。社員のリテラシーを高め、投稿前に校正・校閲を行うことである程度防げますが、第三者による誤解やデマが拡散する「巻き込まれ炎上」も起こりえます。炎上には「予防」と「早期発見・早期消火」の2本立てで備えて。炎上してしまったら再発防止策をチームで共有し、ミスを繰り返さない仕組みづくりが大切。日頃からフォロワーと友好的な関係を築いておくと、炎上時にも味方になってくれる場合があります。
【STEP1】運用のルールを整えて炎上を予防
“炎上さしすせそ”と炎上危険日を回避
さ→災害・差別、し→思想・宗教、す→スパム・スポーツ・スキャンダル、せ→政治・セクシュアル(含むLGBTQ・ジェンダー)、そ→操作ミス(誤投稿)の投稿は炎上しやすいので注意。過去に災害などがあった炎上危険日(1/17、3/11、8/6、8/9、8/15 など)には無神経な投稿内容になっていないかも注意を。
投稿前にダブルチェック
公式アカウントの運用にはチーム体制とダブルチェック体制を導入しましょう。チームにはSNSのトレンドやリスクに詳しい人を加え、投稿案を作成した人と属性が離れている人によるダブルチェック(場合によってはトリプルチェック)を行い、不謹慎な内容でないか、誤字脱字がないかなどを確認しましょう。
OKとNGの境界をアップデートする
ここ数年、特に増えているのがジェンダー炎上。「以前は大丈夫だったから」という古い価値観は、思わぬ炎上を招きます。OKとNGの境界線は日々変わっていることを肝に銘じ、炎上事例を定期的に確認しましょう。危機管理意識を養うための研修なども活用して、社員全員のモラルやリテラシーを高めましょう。
【STEP2】炎上は早期発見・早期消火
モニタリング監視で炎上を発見、1次対応
炎上は放置している間に拡大し、手がつけられない状態になることも。自社名を検索する「エゴサーチ」や、モニタリングツールで炎上の火種を検知しましょう。見つけたら「炎上に気づいており現在対応中です」というメッセージをいち早く発信することが大切です。
炎上投稿は消さない。謝罪は適切に
炎上した投稿を黙って消すと、さらなる炎上を招きます。炎上のパターンに応じて対応ルールと対応フローを事前に決めておき、適切に対処しましょう。謝罪文をPDFや画像で出すと、「検索逃れ」と指摘されかねません。謝罪文は自社のホームページにテキストの形で掲載します。
ミスを社内で共有して再発を防止する
炎上につながる恐れのあるミスを発見したら、上司に報告するとともに、再発防止ミーティングを行うことをすすめます。当事者が詳細に報告し、改善ポイントをチーム全員で話し合います。「ミスの共有=仲間の役に立つ」という意識で行い、隠蔽や報告の遅れを防ぎましょう。
実際にあった企業の炎上事例
行政がツイートした小冊子がジェンダー炎上
とある県の公式Twitterアカウントが「働く女性応援よくばりハンドブック」を紹介したところ、小冊子で家庭と仕事の両立を「よくばり」と表現されていることや、パパ(夫)も「配慮」の対象となっていることに対し、「仕事と育児の両立のどこがよくばり?」「時代錯誤」などと疑問の声が集まり炎上。従来の固定的な性別役割分担にとらわれた表現は炎上しやすく、配慮が必要。
巻き込まれ炎上で苦情殺到&売り上げ低下
焼肉店で悪ふざけをしていた動画を客自身がSNSに投稿。それを見たユーザーに「◯◯(店名)じゃね?」と臆測で書き込まれて炎上。名指しされた店は自身の店ではなかったため放置していたが、SNSで拡散されて苦情と売り上げ低下の被害を受けた。最終的に社長がテレビに出演して釈明する事態に。すぐに否定しておけば、被害は最小限に抑えられたはずで、初期対応の遅れが被害拡大を招いた。