※本稿は、頼藤太希・高山一恵『「経済的自由」を最速で手に入れる! ぴったりの投資プランが最速で見つかる! マンガと図解 はじめてのFIRE』(宝島社)の一部を再編集したものです。
教育費の捻出を計画に組み込む
子どもを育てるのは、お金と時間がかかるもの。FIREを実現するには節約しながら投資資金をつくる必要があるため、子どもができたらFIREはむずかしいと考えられがちです。しかし、そうしたなかで不労所得を得ながら、ある程度働いて収入を得ていくサイドFIREを実現しようとする場合はどうすればいいのでしょうか。
基本的には支出を抑えながら(節約しながら)、収入を増やし、投資資金をつくっていくことに変わりありません。子どもが生まれると、家族が1人増えるわけですから単純に支出は増えますが、そのなかでも大きなカギを握るのが教育費です。
そのため、子どもがいる・いないで収入=働き方が変わってきます。経済的な自由の獲得を目的にサイドFIREを目指しているわけですが、子どもができたら、子どもの将来も踏まえて、サイドFIREへの道筋を考えるべきです。
そもそもサイドFIREの問題以前に教育資金の捻出は頭を悩ませるもの。サイドFIREをするなら、より具体的に教育費の支出を把握しておきましょう。
夫婦で協力してお金を稼ぐ
子どもができた場合、共働きであれば、できる限り二人とも正社員として働きましょう。退職して、その後パートで復帰するというかたちは避けましょう。可能な限り社員として働き続けるべきです。
理由はまず社会保険にあり、加えて年金の受給額も増やせます。職場の健康保険に加入していると、出産育児一時金はもちろん、出産手当金や育児休業給付金がもらえます。
育児休業給付金は、条件によって子どもが1歳6カ月、さらには2歳になるまで、父親、母親いずれにかかわらず給付されます。出産後に退職して、3~4年休んであらためて別の企業に正社員として就職するのは、ややハードルが高いのが実情です。
パートとなると時給単価は下がりますから、育児で時間がとれなくなるようなら、時短勤務やフレックス勤務などで働き続けるか、夫が育児休暇をとるなどして、夫婦ともに正社員として継続できる道を探りましょう。
教育費は毎月の家計でやりくりする
大学の教育費に関しては18歳までにサイドFIRE資産とは別に貯める、それ以外の教育費は毎月の家計でやりくりするのがおすすめです。
とはいえ、都内では中学受験をする子が多く、塾や受験にかかる費用が大きくなりますし、中学校から大学まで私立に行く子どもが増えています。
また、公立でも中学3年生や高校3年生は、入試を控えて塾に通うことが多くなるため、学習費が増える傾向にあります。いずれにしろ、教育費に出る分はサイドFIRE資産に回せないことを押さえましょう。
データによれば公立の場合、小学校が2.7万円、中学、高校では4万円前後のお金がかかります。私立の場合は、小学校・中学校は12万円前後、高校は8万円が毎月かかります(※学校外の学習費用や塾、習い事なども含む)。この金額が、毎月の家計でやりくりする金額です。
大学は20万~30万円の入学金、授業料は半年ごとの前払いとなるため、月々の家計で捻出するのは不可能です。つまり、4年間の学費300万~500万円は事前に準備しなければなりません。
教育支援の制度を利用しながら本当に必要な教育を選ぶ
家計において教育費の負担は大きいですが、支援制度を利用することで軽減できます。
安直に「支出を切り詰めるために子どもには公立に通ってもらう」ではなく、子どもにとって最善の選択肢をとりながら、サイドFIREできる道を探していきましょう。
金銭的な負担の大きい私立高校への通学においては、「私立高校の授業料実質無償化」の制度があります。公立と私立の差額分が援助されるもので、年収910万円未満の世帯で利用できます。また、自治体ごとにも就学援助制度があります。所得制限のハードルは高くはないので、漏らさずに利用しましょう。
ここで示した教育費は学校外学習費用、塾や習い事を含めた平均の金額です。
子どもに必要な教育は一様ではありません。習い事は予算を決めて、子どもに本当に必要と思うものを選ばせるなどするのが、家計上も教育上も大事なことだと思います。教育支援制度をフル活用して子どもの教育の選択肢を広げつつ、サイドFIREの実現を目指しましょう。
「教育資金」はFIRE資産の準備とは別に必要となる
教育に関しては、国や自治体からさまざまな支援がありますが、サイドFIREを目指すなかでは、少なくとも大学の奨学金の給付はかなりむずかしいことを知っておくべきでしょう。大学在学中に支給される奨学金は、親の年収や資産額を明記して申請することになります。
サイドFIREを目指す時期によりますが、子どもが大学に入学しようとするころには、それ相応の資産が形成されているはずです。その資産があると奨学金の審査には通らない可能性があります。
利息が伴う奨学金であれば、親の年収、資産の条件は緩和されますが、それでも子どもから見れば「資産があるのに、なぜ?」という気持ちになり、親子関係に影響を与えかねません。
FIREを目指す以上、子どもの学費は親が用意することになります。教育費の支出は小学校から高校までの12年間続きますし、大学費用の貯蓄も必要です。それに加えて、生活費、FIREのための投資資金を、それぞれどの程度捻出できるのか考える必要があります。
児童手当は使わずに貯めておく
子どもがいる世帯は、毎月児童手当が自治体から支給されます。現行制度では3歳未満が月額1万5000円、中学校卒業まで月額1万円支給されます(第3子からは小学校修了まで月額1万5000円)。共働きで子ども1人の家族では、所得制限が660万円(収入額の目安は875万円)となり、その場合は月額5000円です。
所得制限にかからない場合、子どもが1人の場合、毎月貯蓄に回すと約200万円になるので、この金額には手を付けずに大学入学資金などにとっておくようにしましょう。大学4年間で300~500万円ほどの教育費がかかりますが、この金額をあてられるとおおよそ半分は確保できることになります。
また、(子どもから見て)祖父母の支援もあるでしょう。親族間でも110万円を超える金銭受け渡しは贈与税が発生します。しかし、教育・結婚・出産などの目的であれば、贈与税はかからず、そのまま受け取ることができます。
まずは本業で昇給 年収アップのためにすべきこと
子どもの教育資金がかかるため、一時的に投資に回すお金が減ります。早くサイドFIREを実現したいのであれば、節約・節税だけでは限界があるので収入を増やす必要があります。
サイドFIRE達成を目指す道中の前半戦は収入アップのために仕事をがんばり、その過程で一生続けられる好きな仕事を見つけるというのが本筋でしょう。そのためであれば、転職も視野に入れておきたいところです。
サイドFIREのために、まず念頭におくべきはスキルアップです。スキルアップすれば給与が上がり、資産づくりがしやすくなるのはもちろんのこと、サイドFIREを達成した後も有利な条件で働けます。
これからの時代に押さえておきたいスキルとは、プログラミングとデザイン。この2つは職種、業界関係なく、重宝します。かつ、少なくとも向こう50年は必要とされるでしょうし、結果、働き続けることができ、かつ労働単価も上げることができます。
無理せずに副業で稼いで収入を増やす最適な方法
収入アップには、副業が確実な手法です。働いた分だけ手取り収入が増えるので、取り組みやすく計算もしやすいです。ただし、極端な節約で支出を削っても長続きしないように、無理な働き方をして収入を増やしても長続きしません。効率的に稼げるように、仕事選びが重要となります。
まず検討したいのは、スキルを売る仕事です。ココナラやタイムチケットなど自分のスキルを売れるサイトがあるので、積極的に活用しましょう。
ランサーズなどのクラウドソーシングサービスもありますが、「安くて依頼できるから利用する」という人がいるのも実情で、直接受注できるようにならないと高単価は見込めないでしょう。
ココナラやタイムチケットで稼げるようになれば、専門スキルはもちろん、自ずとマーケティング能力も身につきます。TwitterなどSNSの活用も必須になってきます。
副業収入は年間20万円の所得(収入-経費)を超えなければ、所得税はとられません。収入がそのまま手取りとなるので効率がよいと言えます。
昇進以外の選択肢もある
サイドFIREには働き方のフェーズがあり、ある程度資産が形成されるまでは一生懸命働いて稼ぎ、資産運用の資金がある程度つくられたところで働く量を減らし、勤労収入を下げていく方向に切り替えることになります。
社員として会社に勤務していれば、管理職になる、ならないといった問題が発生します。管理職になったほうが給与は上がりますが時間もとられることになり、働くのはほどほどでよいと考えれば、昇進しないという判断もできます。
さらには時短勤務などで就業時間を減らすという手もあります。その分給与は減り、昇進も難しくはなりますが、そうした働き方の選択肢をもてることが、サイドFIREの利点です。その際、給与より働きやすい環境を優先して転職したり、独立して個人事業主になったり、副業と組み合わせるなど、さまざまなパターンの選択肢があります。
また、収入アップのために取り組んでいた副業が楽しければ、そのまま力を入れていき、サイドFIRE時の勤労収入とすることもできます。
価格競争に巻き込まれない仕事を選ぶ
副業で効率的に稼ぐなら、得意なジャンルを選びましょう。たとえば、楽天ルームなど、楽天が提供するアフィリエイトサービスを活用する人が増えています。また、アンケートモニターやレビューは、細切れの時間を使って月1万~2万円ほど稼げて、かつ負担なく続けられます。
ほかにも、クラウドワークスやランサーズでライティングの仕事を受注することもメジャーになりました。ライティングで月に3万~4万円ほどの収入を得ている人が多いようです。スキルを売るという点では、動画編集の需要が増えており、手掛ける人も増えてきました。ただし、参入する人が増えすぎたため価格競争が始まっています。
本来は、ひとつのスキルを身につけて高単価の案件を受注したいところです。Webデザイナーも人気のある副業ですが、スキルが十分でないうちは、稼働の割に収入が少ない状態も起こり得るため、スキル習得と受注のバランスを考えましょう。図表3に副業の探し方や金額の相場をまとめました。副業選びの参考にしてください。