新年の挨拶で今後の人間関係に差がつく
一年の仕事の始まりといえば、新年の挨拶。新年の挨拶は、昨年中の感謝と新年も良い関係性を築いていきたいことを伝える大切な節目となります。ビジネス現場では、何げない挨拶も、今後の人間関係やチャンス獲得に大きく影響します。
あなたの挨拶は、相手に今年もあなたと一緒に仕事をしたいと思わせていますか? せっかくなら印象に残る挨拶で、幸先よく一年のスタートを切りたいところです。そこで、本記事では、オフィスや取引先で差をつける「新年の挨拶」について見ていきましょう。
オフィスでの新年の挨拶は、定番フレーズ+ひとこと
同じ職場で気心が知れた相手だと「新年おめでとうございます」とあっさり挨拶を済ませてしまいがちです。
しかし、ここは一年の始まりにふさわしく「(明けまして/新年)おめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします」と正月の定型挨拶が基本です。親しい間柄であっても節目の丁寧な挨拶は、相手を大切に思っていると伝える尊重表現だからです。
ただし、これだけでは味気ないので、新年の定番挨拶に、ひとことをプラスしてみましょう。例えば、趣味のスポーツ観戦や、観劇、帰省など正月休みの過ごし方について「○○はいかがでしたか?」など話題を振ると会話が弾んで、「コミュニケーションが取りやすい人」という関係性づくりができるでしょう。
印象づけには、今年の抱負をプラス
業務をスムーズに回すためには普段から職場で広く関係性をつくっておきたいのですが、最近はリモートワークも増えたこともあり、なかなか社内全体で集まる機会も少なくなっています。
だからこそ新年の挨拶は、社内の関係づくりを兼ねて積極的に行いたいところです。直属の上司はもちろん、他部署や役員、そして普段はちょっと苦手な相手にも「新年のご挨拶に参りました」と話しかけてみましょう。
その際、印象づけにおすすめなのが、今年の抱負をプラスすること。相手に協力や支援をお願いするフレーズとセットで、「昨年の感謝+今年の抱負+助力のお願い」というフレーズで伝えます。
例)「○○さん、今年もどうぞよろしくお願いします。本年は、もう一段上の目標を達成したいと考えているので、今度また相談に乗ってください」
ただし、喪中の方がいらっしゃる場合もありますので、もし判断に迷った時には「おめでとう」は付けず、「おはようございます」にプラスして「本年もよろしくお願いいたします」とご挨拶するのが無難です。
また、新年の挨拶は明るく祝う言葉を選びます。例えば、「去年」は、「去る」という意味があるので、新年の挨拶には使いません。「去年はありがとう……」と無意識に使ってしまいますが「昨年は」と言い換えましょう。
新年の挨拶回りは上司・部下を紹介するチャンス
営業職の場合、仕事始めで最も大事な仕事は、大切な取引先を中心とした新年の挨拶回りではないでしょうか。
日頃の感謝の意を伝え、「今後の取引もよろしくお願いします」という意味も込めての営業活動の一環で、ひと昔前は、お取引先を直接訪問するのが習慣としてありました。しかし、コロナ後は挨拶回りを自粛する企業もあります。
正直、挨拶回りは、具体的な商談をするわけではなく、儀礼的になっていて不要だという人もいますし、当たり障りのない雑談をしなくてはいけないので何を話せばいいか気を使って面倒という声も聞きます。
一方で、メールやリモートのやり取りが多く、対面のアポイントを取りにくいご時世だからこそ、あえて面談の絶好の機会である新年の挨拶で、対面でのコミュニケーションを大切にしたいという意見もあります。
また、新年の挨拶回りは、上司や部下を取引先に紹介できる貴重な機会です。
忙しい取引先に、わざわざ紹介するためのアポイントは取りにくいですが、挨拶回りなら自然な流れで紹介できます。この機会に、名刺交換だけでも上司や部下の名前と顔を知ってもらえれば、商談の際に、(自分)「部長の○○も申しておりまして」(取引先)「ああ、あの新年の挨拶に来てくれた○○さんね」と話が通じやすくなります。
雑談ネタを盛り込んで挨拶だけで終わらせない
さて、年始は忙しい時期なので、顔を見せることに挨拶の意義があるといわれ、基本的にはビジネスの話はしません。訪問時間は、5~15分。長くても30分以内には切り上げるのが一般的です。とはいえ、せっかく時間をいただくので、お互い無駄な時間とならないように、有意義に過ごしたいところです。そこで、訪問する時にはしっかり雑談ネタの準備をしておくことをおすすめします。
オフィスの項目でご紹介したお正月の過ごし方の雑談も、普段仕事の話しかしないお客様の意外な一面を知ることができる、という効果があります。
ただ、新年の挨拶回りは仕事の一環であることには変わりません。そこで、ワンランク上の新年の挨拶回りでは、今年の事業予定や今後の動向を確認するなどの工夫をしてみましょう。
例えば、雑談の流れの中で、
「ところで、今年はどんな事業予定があるんですか」
「今年の新作も注目しています。発表会はいつごろを予定しているんですか」
などと振って話を引き出せると、良いスタートダッシュが切れるかもしれません。
長々と打ち合わせのように話し込むのは避けたいですが、相手も自分の会社や事業に関心を寄せてくれていると思えば、嬉しいものです。
今年一年の業界キーワードを話題にしてみる
また、年頭に興味がある話題といえば、やはり経済や業界の見通しです。
そこで、業界展望や取引先に関係ある話題について、セミナーやWeb記事、元旦の新聞等でネタを仕入れておくのもおすすめです。
そして、
「今年は、○○がテーマの一年になりそうだとニュースになっていましたね」
「今年は○○がキーワードになりそうですね」
等、話題を振ってみましょう。
また知見がある相手なら、「○○さんは、今年の見通しについてどのようにご覧になっていますか」など質問をしてもいいでしょう。
このように、単に挨拶だけで終わらせず、先方が興味ありそうな話題を用意していくと「そういえば……」と、思わぬ話や次回のアポイントにつながる情報を得られるかもしれません。
そして切り上げる時間となったら、
「今年は昨年以上に○○さんのご期待に応えることができるよう精進致します」
「まだまだ至らない点ばかりですが今年も変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」
「今年もご期待にお応えし、より一層業務に努めて参ります」
と丁寧な挨拶で締めると好印象が残ります。
特に年配の方には、正しい挨拶ができるとより良好な関係性を築けます。少し固いかなと思う場合には相手に合わせた挨拶表現を選んでOKですが、その場合でも普段よりややフォーマルな挨拶で締めることをおすすめします。
デジタル化が進む昨今でも、一年の始まりに挨拶を大切にする人は多いようです。ワンランク上の挨拶で、お互い気持ちよい関係をつくり、好スタートを切りましょう。