※本稿は、まつのすけ『33歳で1億円達成した僕が実践する一生モノの億超え投資法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
衆議院解散と同時に買い、投票日の前日に売る
イベント投資は定期的に起こる出来事に対して、今後も同じことが起きると考えて投資をする方法です。勝率を上げるためには、過去の傾向を分析して統計的な優位性があるかどうかを確認することが大事です。
たとえば衆議院議員選挙がある場合、衆議院が解散した時点で日経平均株価に連動するETFなどを買って、投票日の前日に売ると勝率が高いことが過去のデータからわかっています。
なぜ、このようなことが起きるのか。政治家は選挙を前にするとバラ色の未来を語るため、「これからいいことが起こるかもしれない」と考えて株式を買う人が増えるのかもしれません。
12月30日に買って年始の1月4日に売るだけ
あるいは、東京証券取引所は毎年12月31日から翌年の1月3日までが休日となりますが、年内の最終日の12月30日に日経平均株価に連動する商品を買って年始の1月4日に売るのも勝率が高くなります。
年末年始は長い休日になるため、何が起きるかわかりません。リスクを回避するために保有している株式をいったん売却して、年が明けてから買い直す投資家が多いことが影響していると思います。
長期投資の投資家からすれば理解できませんが、短期で利益を狙っている投資家は保有したまま年を越したくないと考える人が多いのです。また、最近では、月末最終日に日経平均株価が下がる傾向があります。
このように「明白な傾向」があるなら、「それに便乗して利益を狙おう」というのがイベント投資です。
日本株も米国株も10月末から翌年4月にかけて上がる
株式相場にはシーズナリティ(季節特性)もあることが知られています。たとえば、10月末に買って4月末で売ると、勝率が高いことが知られています。逆に8月から10月中旬までは調整が起こることが多い傾向にあります。
実際に日経平均株価で季節特性を調べてみましょう。過去20年間の日経平均株価のデータを基に月別の騰落率を計算し平均すると図表1のようになりました。5月から10月は明らかに株価が低迷しているのがわかります。
1月の騰落率もマイナスですが、それを除くと11月から翌年4月までは大幅にプラスになっています。
2020年から21年にかけてはまさに季節特性通りの展開でした。20年の8月末から9月初めに一時的な調整局面があった後、10月ぐらいから年明けの5月ぐらいまではきれいに右肩上がりになりました。それに乗って僕も全力モードで投資をしました。
これは日本株だけでなく米国株にも当てはまります。
理由はわからない
なぜなのか、理由はわかりませんが、勝率が高いのであれば「10月末に買って4月末に売る」ことを基本にしながら、全体の投資を進めるのが有利です。もちろん、当てはまらない銘柄・時期もありますが、過去のデータを分析して当てはまる状況であれば、より強気となってウェイトを高めるなど、臨機応変に投資できます。
季節特性を意識する人が増えると、その傾向がより強まります。8月か10月の間に下落し始めたら、投資を減らすなど微調整に使うのも効果的でしょう。反対に季節特性通り、8月から10月に5%から15%の下落があった後、反発し始めた場合は、投資を増やすのがいいでしょう。
連休前に買って連休明けに売るだけで利益が得られる
同じく連休前に買って連休明けに売る方法も有効な傾向です。日経平均かTOPIXかどちらでも好みの指数に連動する商品で構いません。
リスクを抑えるなら、4連休以上のときは25日移動平均線の乖離率がマイナスであれば避けたほうが無難です。それは右肩下がりが続いていることを意味し、そのような時期は連休明けも下がってしまうことが多くなります。
3連休の場合、とくに直前に大きく下落している場合、あるいは大きく上昇している場合は連休明けも強い傾向にあります。上昇・下落の両方でトレンドが強い場合は、連休前にポジションを落とす動きがあるのか、連休明けの成績がよい傾向にあります。
連休明けの4営業日程度は同じ傾向が続きますが、それ以降は関係がなくなりますから、連休明け4営業日以内ぐらいで上がったタイミングを見て売却するといいでしょう。もちろん連休明けに下落する場合もあるので、あくまでそのような傾向があるという認識のもとでトレードに活かしましょう。私は緩やかな上昇トレンドが続いている時期や、連休前に大きく下落した場合は、積極的に連休明けの上昇を狙っています。
権利確定日の2~4カ月前に買う、優待先回りで9勝1敗も
優待先回り投資もイベント投資では人気の手法です。株主優待は権利確定日に株式を保有している人が受け取ることができます。そのため、人気の株主優待のある銘柄は、権利確定日が近づくにつれて購入する人が増えます。それを利用して利益を狙うのです。
一般的には権利確定日の2〜4カ月前に買って権利付最終日に売却します。過去10年間で8勝2敗あるいは9勝1敗の確率で利益が得られる銘柄が多くあります。いまでも通用する非常に確率の高い手法です。
イベント投資で大事なことは、過去のデータを集めて傾向を探ることです。ですから、データを収集することや分析することが好きな人にはとても向いています。過去のデータを集めれば、エクセルで分析ができます。優待先回りで利益が狙える銘柄は、板がすかすか(取引量が少ない)で、大きな注文を入れられないような銘柄が多く、悪材料の勃発などのリスクを考慮すると、買えたとしても100万円か200万円くらいです。
こうした銘柄にヘッジファンドや機関投資家は手を出せません。得られる利益にしても、100万円の投資で5万円程度ですから、個人投資家にはメリットがあってもプロには誤差の範囲になってしまいます。時間の無駄ですから、優待先回りなどには興味を示さないのです。
優待先回り投資で稼ぐには継続が大事
優待先回りは、10年以上前から話題になっていますが、大口の投資家が入ってこないことでいまだに有効な手法となっているのでしょう。今後も株主優待の人気が衰えない限り、有効な手段だと思います。
注意点としては、「ダメな年もある」ことです。株式市場の全体の市況がとても悪い年などは、優待銘柄の株価も下がってしまうことがあります。あるいは、何かの理由で大口投資家が見境なく買ってしまい、優待先回りで買う以前に割高な状態になってしまっていることや、業績の下方修正といった悪材料が出たケースも例外になります。そのような場合は、権利確定日に向けて下落していくこともあります。
対象の銘柄に悪材料が出た場合にも、株価は下がる可能性があります。過去のデータを検証して9勝1敗あるいは8勝2敗だったとしても、絶対に勝てるわけではないことを知っておいてください。
その意味では、優待先回り投資で成果を出すには、継続することが大事です。1回だけ挑戦してうまくいかずにやめてしまう方が多いですが、それでは利益は得られません。さらに、銘柄も投資金額も分散して挑戦するのがお勧めです。
優待先回りなら毎月チャンスがやってくる
優待先回りが有効な銘柄は、毎月5銘柄くらいはあります。5分の1ずつの金額で5銘柄に分散すれば、トータルで利益は確保できるはずです。一銘柄に集中してしまうと、何か悪材料が出たときに全滅してしまいます。
また、優待先回りに限らずイベント投資は、同じことを実践する人が増えると勝てなくなります。そのため、利益を出している人は、細かな手法までは公表していません。勝率を上げるには、自分で試してノウハウを蓄積していくしかないのです。
少なくとも過去5年、できれば10年程度のデータを取って勝率が高い銘柄を探すといいでしょう。たとえば、楽天証券のツール「マーケットスピードⅡ」は、過去の株価データをCSV形式で入手できますから、エクセルで分析がしやすくなります。口座を開設すれば誰でも無料で利用できます。