※本稿は、頼藤太希『そのままやるだけ! お金超入門――貯金ゼロから100万円を最速でつくる超実践ガイド』(ダイヤモンド社)の一部を再編集・加筆したものです。
自己負担金2000円でお礼の品が受け取れる公的制度
ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄付ができる制度。寄付を行うと、2000円を超える金額について、所得税や住民税から控除(差し引く)ことができます。なお「ワンストップ特例」を利用する場合は、所得税からの控除はなく、住民税から差し引かれます。
ふるさと納税では、多くの自治体からは、ふるさと納税をしてくれたことへの感謝の気持ちとして、お礼の品を受け取ることができます。
肉、魚、果物、お酒、雑貨、工芸品など、返礼品の種類は多岐にわたります。豪華・お得な返礼品のニュースを目にしたことのある方も多いでしょう。普段はなかなか手が届かないような高級食材を味わう方もいれば、洗剤やティッシュペーパーといった生活必需品を受け取って家計の足しにする方もいます。
寄付金をポイントにして繰り越せる自治体もある
また、寄付金の使い道も指定できます。災害復興支援、自然保護、地場産業活性化、子供の教育などさまざまです。つまり、ふるさと納税とは、自己負担金2000円で返礼品を手に入れることができ、政治にも参加できる(寄付金の使い道指定もできる)、というわけです。
寄付金をポイントにして繰り越せる自治体もあります。ポイントをためて、より高額な返礼品を目指せます。ポイントの有効期限は2年間としているのが一般的です。
なお、2000円を超える部分は全額戻るといっても、上限があるので注意が必要です。
寄付できる目安は住民税の2割。できるだけ上限額で申し込んだほうがお得です。上限は、その人の「年収」や「家族構成」などによって異なります。総務省のサイトにも、目安が分かる一覧表があるので参考にしてみてください。
ふるさと納税の寄附金控除を受ける方法
ふるさと納税を行い税金の寄附金控除を受けるには、「確定申告」と「ワンストップ特例」を利用する方法があります。
●確定申告
確定申告は、1年間に得た所得から収める税額を計算して、国に伝えて納税する手続きのこと。原則毎年2月16日〜3月15日の間に、前年1年間分の確定申告を行います。
収入が給与のみの会社員や公務員などは原則として行う必要はありませんが、「ワンストップ特例」を利用せずにふるさと納税で寄附金付金控除を受ける場合は、確定申告が必要です。
ふるさと納税をした場合の確定申告の手順は、次のとおりです。
②自治体からお礼の品と寄付金受領証明書が届き、特定事業者(ふるさと納税サイト)から「寄附金付金控除に関する証明書」が届く
③「寄附金受領証明書」または「寄附金控除に関する証明書」を添えて確定申告を行う
以上により、寄付した年の所得税が還付され、翌年度の住民税が安くなります。
●ワンストップ特例を利用する方法
ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告をしなくても控除が受けられます。
なお、ワンストップ特例制度を利用するには条件があります。
「年収2000万円を超える給与所得者ではない」「給与を複数から得ていない」「確定申告をしないこと」「1年間のふるさと納税の寄付先が5自治体以内であること」を全て満たす場合にワンストップ特例を活用できます。
ワンストップ特例制度を利用する場合の手順は、次のとおりです。
②自治体からお礼の品と「ワンストップ特例申請書」が届く
③ワンストップ特例申請書に必要事項を記載して、返送する
以上により、寄付した翌年度の住民税が安くなります。
なお、「住宅ローン控除の手続きをする」「医療費控除を利用する」など、別件で確定申告が必要な方はワンストップ特例が利用できません。仮にワンストップ特例を申請していても、確定申告を行うと「ワンストップ特例はなかったもの」とみなされます。確定申告する場合は、ふるさと納税の寄附金控除の申告を忘れずにしましょう。
2021年分から確定申告が簡素化
これまで、確定申告で控除を受ける際に必要になる「寄付金受領証明書」は、寄付ごとに自治体から発行されていました。ということは、寄付をすればするほど、郵送されてくる寄付金受領証明書が増えてしまっていたわけです。
2021年分からは、国税庁長官が指定した「特定事業者」が発行する「寄附金控除に関する証明書」を添付すればいいことになりました。
国税庁長官が指定した特定事業者は、2021年9月15日時点で次のとおりです。
上記のポータルサイトでふるさと納税を行うと、「寄附金控除に関する証明書」を発行してくれます。これを確定申告の書類に記載し、寄附金控除に関する証明書を1枚添えて提出すれば確定申告完了です。
なお、複数サイトで寄付した場合は、そのサイトの数だけ「寄附金控除に関する証明書」が必要ですので、ご注意ください。
ふるさと納税のおすすめ返礼品はコレで決まり!
ふるさと納税の返礼品は実にさまざまあります。
ふるさと納税サイトでは、返礼品の内容や寄付金額などで、寄付先を検索できます。人気のふるさと納税サイトは、「ふるさとチョイス」「楽天ふるさと納税」「さとふる」などです。
ふるさと納税の返礼品の中にはブランド肉や豪華な魚介類などもあり、とても人気です。しかし、「生活費を節約する」という観点でふるさと納税を考えると、高級食材はおすすめしません。ふるさと納税がなかったら買わなかったものをもらうのでは、実質ムダ遣いと同じだからです。
楽しみとして少しだけもらう分にはまだいいかもしれませんが、全額を高級食材に回すのはやめましょう。
ふるさと納税の返礼品のおすすめは、日持ちする食品や日用品です。たとえば、10kgで4000円前後するお米を1回、ふるさと納税でもらえば、単純に4000円の節約になります。
また、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、洗剤などをもらえば、数カ月は買わずに済む量が届きます。それだけ、節約に役立つというわけです。
高級食材でも日持ちする食品・日用品でも、寄付する金額が同じならば節税できる金額も同じです。ですから、ふるさと納税は節約に活かしましょう。
ふるさと納税をさらにお得にするには「クレカ決済」が必須
クレジットカードでふるさと納税をするときは、専門のふるさと納税サイトが便利です。多くのサイトでは、クレジットカードでの支払いに対応しているので、手続きもかんたんです。さらに、条件を満たすと、もらえるポイントが増えるサイトもあります。
たとえば「楽天ふるさと納税」の還元率は通常1%ですが、楽天グループのサービスを利用したり、特定のポイントアップの日に寄付金を支払ったりすることで、もらえるポイントが2%、3%……と増えます。
また、楽天ポイントはたまったポイントをふるさと納税の支払いに使うことができるので、使えるポイントが多ければ、自己負担分はその分少なくて済みます。仮に1万円を寄付する際、1万円分を楽天ポイントで支払っても、1万円の現金で寄付したのと全く同じ扱いになります。
さらに、ふるさと納税で支払った代金は、所得税還付・翌年の住民税が減税されますので、1万円の寄付の場合、自己負担2000円を引いて、8000円が節税できます。楽天ポイントを使うことでも節税ができるので、楽天のサービスで支出をまとめる“楽天経済圏”を活用している人は、是非とも利用したいところです。