3人に1人が給与に不満
キャリアアップや収入アップを目指すには、転職も大きな手段となります。転職情報会社のエン・ジャパンがユーザー1万人にコロナ禍での転職活動について調査したところ、転職活動を始めたきっかけとして最も多かったのは「将来のキャリアが見えない」(34%)で、「給与に不満がある」(32%)が2位でした。
転職で収入アップを目指す際には、個別企業の給与水準も大事ですが、自分が目指している業界が「どのくらい稼げるか」を知っておくことも重要です。図は厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」のデータですが、女性の平均賃金(月額)は、教育、学習支援業の約31万7000円から宿泊業、飲食サービス業の20万6000円まで11万円以上の差があります。企業の規模も影響します。大企業と小企業の給与差は50~54歳がピークで約6万円。生涯賃金で考えると大きな差です。人事や財務など、職種によっては現在のキャリアを生かしながら、別の業界へ転職することも可能です。転職活動の際には、産業別の給与水準を頭に入れておくといいでしょう。
「いまの会社には学ぶことがなくなった」と感じたら
同じ調査では、年齢階級別の賃金も公表されています。たとえば、女性の賃金額がピークを迎える年齢は、宿泊業、飲食サービス業が40~44歳、製造業は45~49歳ですから、転職する年齢によっては、入社してすぐに賃金が下り坂に入ってしまうかもしれません。一方で教育、学習支援業のピークは60~64歳です。40代後半で転職しても、十分に賃金アップが期待できます。
年齢階級による賃金差も公表されています。20~24歳を100として各年齢の賃金水準を指数化したもので、たとえば、50~54歳を見ると、製造業では126.0であるのに対し、金融業、保険業は150.2、情報通信業は176.0などとなっています。年齢差の大きい産業は、経験値が高くなればそれに見合った賃金が得られるのかもしれません。
いずれも統計上の数字ですから、企業差や個人差などはあります。一概に判断はできませんが、転職先を検討する際の参考にしてください。
コロナ禍で求人が減り、転職の環境はよいとはいえませんが、「いまの会社には学ぶことがなくなった」と感じたら、次の職場へステップアップする時期です。私自身も23歳で単身渡米してさまざまな職場を経験した後、日本に戻ってファイナンシャルプランナーの仕事を始めたのは、40歳のときでした。チャレンジに遅すぎることはありません。