「40歳からのインナーウエア講座」
「管理職をめざす女性たちが印象アップを考えるとき、スーツやメイクばかりに気を取られ、下着は『どうせ見えないから……』とおざなりにしていませんか? しかし、40代は体の肉質がやわらかくなり、体形の変化を感じはじめる頃。昔のサイズや好みを引きずったまま下着を選ぶと、洋服のシルエットに響いて実年齢よりも上に見られたり、だらしない印象を与えたりすることも。特に自分では見る機会が少ない後ろ姿は、下着による段差やボディラインのくずれが目立ちます。
かといって、ボディラインを美しく整えるためには、きついガードルやボディシェイパーで締め付けなければいけない、というのは間違いです。締め付ける下着によって今までになかった段差が出現するだけでなく、呼吸が浅くなり肩こりや頭痛、腹痛などの原因にもなるからです。さらに、体に合わない下着や間違った着け方も同様に不調を招きます。体に正しくフィットする下着は、決して息苦しく感じないもの。むしろ、着けていたほうが心地よく、健康的に過ごせます。
年齢を重ねてやわらかくなった体こそ、慎重に選べばその中に収まりやすく、美しい形に近づけることが可能。それに応えるように、下着も日々進化し続けているので、ぜひこの機会に見直してみてください。正しいインナーウエアの知識を学ぶことで、凛とした佇まいや仕事での信頼を手に入れられるだけでなく、心に自信を持つこともできます。体形の変化を遅らせてボディラインをキープすることは、ビジネスシーンにおいてもプラスになるはずです」(インポートランジェリーショップオーナー 國保和子さん)
ブラの洗い方や干し方で、替え時が変わる!?
ワイヤー入りに限らず、ブラジャーは手洗いが基本。専用の洗濯ネットに入れても型くずれや変形する場合があるので、洗濯機洗いはNG。正しい方法は、おしゃれ着洗い用洗剤溶液に5分ほどつけ置き、ためすすぎを2~3回。乾いたタオルにはさんで水気をとった後、ストラップのよじれやカップの形を整えて陰干しする。理想は平置き干しだが、力が均等にかかるようにブラのアンダー部分を数カ所はさめば吊し干しでもOK。イラストのように1カ所にテンションをかけると型くずれの原因に。丁寧なケアでブラの寿命は約1年。メンテナンス方法で雲泥の差が。
ブラの正しい着け方&試着のポイントを知ろう
美しいバストラインは、ブラジャーの着け方で決まる。試着中にチェックすべき点も解説。
「試着の際、フィッティングルームには3枚のブラジャーを持って入るのが効率的。同じデザインのサイズ違いを試着し、体へのフィット感を比べることで、ベストな1枚を見つけられます。1枚目はいつも自分が着けているサイズのもの。2枚目はカップのみワンサイズ上のものを。3枚目はアンダーがワンサイズ上で、カップはワンサイズ下のものを選びます。つまり、ふだんがC70だとしたら、D70とB75の計3枚。
カップのサイズ違いだけでなく、大きめのアンダーを試してみると、肌あたりや着用感の違いがはっきりとわかります。C70とB75は、一見かけ離れているように見えますが、実際の差はカップをワンサイズ上げるよりも小さいので、サイズ信仰にとらわれず試してみてください。
体に合ったブラジャーを正しく着けると、バストラインは驚くほどきれいに整います。カップに収まったバストの丸みは美しく、デコルテは女性らしくふっくらと輝きます。ブラジャーの正しい着け方と試着のポイントさえマスターしてしまえば、美しいバストを毎日自分の手でつくり出すことができるので、そのメリットは計り知れません」(國保さん)
大人にふさわしいブラのタイプを知る
ハリのある肉質では味わえない、40代のやわらかさを味方に付けたブラジャー選びを実践。
「40歳を過ぎても、若い頃と同じデザインの下着を着用すれば、違和感があるのは当然。たとえ体重や見た目の変化はなくとも、体つきや肌質は変わっています。運動などで鍛えていても、ホルモンバランスが変化しハリを失ったバストは年齢とともに下垂してくるので、しっかり包み込みながら支える必要があります。ボリュームアップや谷間づくりなど、無理して不自然なボディラインをつくるよりも、特徴を生かしつつ整えるのが、美しいバストラインへの近道。
ブラジャー選びに重要なのは、まず“はみ出し肉をつくらない”こと。バストにボリュームのある人には、深めのカップでバスト全体をやさしく包み込み、すっきりと収めてくれるフルカップのブラジャーがオススメ。ボリュームダウンや横への広がりが気になる人には、脇への肉流れを防いで美しいシルエットがつくれる4分の3カップのブラジャーで補整することが可能です。贅沢でマチュアなデザインなど、今の年齢だからこそ似合うブラジャーもたくさんあるので、自分のバストにふさわしいタイプの中からチョイスして、気持ちが華やぐおしゃれを楽しんでみてください」(國保さん)
「揺れ」は、バストを老けさせる!
バストの下垂&横流れを加速させる一番の原因は、乳腺や脂肪を吊り上げるように支える“クーパーじん帯”というコラーゲン線維の束が、揺れや重力などの外部刺激によって伸びやすくなること。美しいバストラインをキープするためには、ジャストフィットのブラジャーでバストを固定し、揺らさないことが何よりも大切。カップのサイズが小さい場合は、ブラの上辺にバストがはみ出し、大きい場合はカップとのすき間でバストが揺れる。同じサイズ表記でもメーカーやブランドによって違いがあるため、必ず試着することが重要。
大人のインナーウエア Q&A
ブラジャーをはじめインナーウエアに関する読者のお悩みに、國保和子さんがアドバイス!
Q:ストラップが必ずずり落ちます。解決方法はありますか?
なで肩の人は、ストラップの位置ができるだけ内側にデザインされているものや、背中側でクロスされているものなどを選ぶのがオススメ。手持ちのブラでも、ストラップの位置を内側に移動させるお直しをすれば、ストレスなく着用できます。
Q:ブラを着けると、肩こりがひどくなります……。
バストアップのつもりでブラジャーのストラップを短くしすぎると、背中側のベルトがずり上がり、ブラが前傾します。それにより姿勢がくずれ猫背になると、肩こりを含め体調不良の原因になることも。長さを調整してみてください。
Q:授乳後にバストラインがくずれたような……。ブラで解決できますか?
急激なサイズ変化のある卒乳後こそ、ブラジャーの見直し時。左右のバストの大きさの違いやそげたデコルテなど、ブラジャーで解決できるお悩みは多いので、お店で相談してみてください。正しく着ければバストラインも美しく変わります。
Q:40歳を過ぎたら、締め付けが苦痛になりました。
ゆるい下着でもいいですよね?
ホルモンバランスの影響で、締め付けにストレスを感じる人が増える年代。でもバストの下垂を防ぐにはノンワイヤーやカップ付きインナーばかりでは心もとないので、苦しくないワイヤー入りブラと併用しつつ、TPOに合わせて使い分けて。
Q:40代です。ブラ、ショーツ、ガードルのラインと、カラダに段々が……。
どうしたらいいですか?
きつい下着による締め付けは、見た目が悪いだけでなく健康にも大敵。下着選びの基本は“無理なくキレイ”でいられること。今の自分に合った下着を身に着けることが大切なので、行きすぎた補整下着はやめて、定期的にサイズ感の見直しを。
温感ジェルパッドでバストも温めケアして健やかに
手や足だけでなく、バストの冷えも女性の大敵。キープブラをカップの内側に入れるだけで、天然鉱石の遠赤外線がバストエリアをじわじわ保温。パッド全体に鉱石が行き渡るように配合された、オリジナルジェルがやさしくフィット。
もっともっと“ブラ”にこだわりたい人へ
女性の体は千差万別。既製品でジャストフィットするブラを見つけられなかったら、自分の体に合わせた特別なブラジャーを試してみて。編集部が、オススメ4ショップをセレクト。
オーダー&お直しでジャストフィットを手に入れる
最後に紹介するのが、働く女性のライフスタイルに寄り添う、ジャストフィットのブラジャーが手に入るおすすめの4ショップ。さまざまなニーズに応えた自分好みのオーダーメイドから、細かい調整が利くお直しまで、理想の着け心地を追求できる。
独学で自分に合う下着の知識を得ようとすると、たくさんのブランドを巡って接客を受ける必要があり、膨大な手間と時間がかかってしまうが、ランジェリーに精通したプロのカウンセリングを受けながら、効率的に自分の体と下着についての知識を学べることが何よりのメリット。これからの下着選びの基準をつくることができるので、セレクトに失敗することも減り、ストレスなく下着と付き合っていける。今までの下着に納得していない人ほど、価値のある時間となるはずだ。
実用と美しさを兼ね備えたランジェリーは、日々驚くほど進化している。自分の体の特徴を知り、TPOに合わせて身に着けることで、セルフプロデュースの実現が可能となる。デザインや素材によってそれぞれ特性は違えど、共通して言えるのは、下着には“女性を輝かせる力”があるということ。自分の体へのこだわりを持つことは、年齢を重ねていくうえで重要な活力となる。新しい自分に出会いたくなったら、ぜひ試してみて。
インポートランジェリーショップオーナー
体調不良の一因に「合わないブラ」があると感じ、下着の勉強を始める。1990年、「ブティックシーン」をオープン。以来、多くの女性に助言を行う。著書に『大人女子はブラ・ショーツで体形を変える』(主婦の友社)など。