丁寧にやろうとしてつい……
上品な人が陥りがちなNGアクションは、実は食事シーンに多く潜んでいます。
よくやってしまうのが「手皿」といわれるもので、箸を持っていない反対の手を、食べものがこぼれないように受け皿のようにして添えること。これは見た目になんとなく丁寧に見えるため、正しいマナーとしてやっている人が多いのですが、実は間違い。和食の場合なら器を持ち上げるか、フォーマルな場所であれば懐紙を持ち歩くのもいいそう。
ちなみに懐紙は少しハードルが高いように感じますが、ものを包んだりちょっとしたメモなどにも使えるので、この機会にデビューしてみるのもいいかもしれません。最近は素材にひと工夫していたり、美しい絵入りのものもあったりと、バッグの中に入れておくだけでなんとなく気分も上がりますよね。汎用性が高く、いざというときに役立つはずです。
自分でも気づいていないクセに注意
食事をする前、すべてにおいて香りを確認するクセのある人も要注意。
ワインなどは別ですが、お皿ごとに香りを確認してから食べ始めるのは、見た目にも美しくありません。これは、自分では気づいていないけれど、ついやってしまう人がいるので習慣の問題。もちろん料理は香りも楽しむものですが、お皿に顔を近づけて……はちょっとやりすぎ。
「咀嚼音を立てない」や「口に食べ物が入っているときにおしゃべりしない」というのはよく言われることですが、素敵に感想を述べようとして、必要以上に香りを確認するのは美しい所作ではありません。自分の食事マナーを客観的に見て、日頃から気をつけるようにしましょう。
「失敗しない」よりも大切なのは、その後の対処
万が一、フォークやナイフが落ちてしまったときにもマナーがあります。
うっかり落として大きな音が出てしまったことに動揺し、何事もなかったかのようにササッと拾ってしまいたい気持ちもわかります……が、そこは落ち着いてサービス係りのスタッフを呼びましょう。落ちてしまったカトラリーやナプキンは、自分で拾ってはいけません。同席する人が落とした場合も同様です。
いちばんいいのは落とさないことなのですが、誰しもうっかりすることはあります。仕事同様、問題はその後の対処。そっと手を挙げて新しいものに交換してもらいましょう。たとえ落ちたのが椅子やソファの上でもお願いしましょう。それがレストランや食事相手への敬意にもつながります。
料理の取り分けを率先してやるのは、時と場合による!?
また、料理の取り分けについても同じ。ひと昔前は“気が利く女性”というイメージがあり、率先してやったほうがいいことのように感じますが、そこも落ちついて。取り分けも基本はスタッフにお任せしましょう。洋食はとくに、美しく完成された見た目も楽しむのがマナーです。
カジュアルなお店であれば食事の相手によって、タイミングを見ながらどちらかがスムーズに行います。「女性だからやるべき」「男性が気を配るべき」という考えは時代遅れ。そして、なかには気を遣われたくないと感じている人もいるでしょうから、素直に、かつ、やんわりとコミュニケーションをとりながら臨機応変にするといいでしょう。それこそが質の高いマナーです。
箸置きがないときにやりがちなのは……
箸をお皿やお椀の上に置く「渡し箸」もよくやってしまいがちなマナー違反。皆がやっていて一見問題のないように見えますが間違いです。
箸置きがない場合にやりがちですが、その場合は器のふちやお盆の左側に箸の先を乗せるように置くとよいでしょう。また、箸袋がある場合は、軽く折って簡易的な箸置きをつくるのもいいですね。
箸は持ち方や食べものを取るときの仕草が注目されがちですが、食べていない間も美しくあるのが理想です。
きれい好き、片付け好きにありがちなマナー違反
良かれと思ってなのか、テーブルの上をきれいに片付けようとしてなのか……たまに見かけるのが外食で食べ終わった器を重ねてしまう行為。これは家での食卓と同じノリでやってしまう人もいるかもしれませんが、正直ギョッとされてしまうマナー違反です。
お店によっては器も大変高価でこだわっている場合が多々あります。うっかり重ねてしまうと傷がついてしまう場合も。もしも食事が終わってお皿を下げてほしい場合には、これもお店の方にお願いしましょう。むやみに重ねるのはかえって迷惑だったりするものです。
これらのような目を見張るマナー違反を万が一あなたがしていたとしても、マナー違反を指摘すること自体が品のないこととされているため、きちんと指摘してくれる大人はなかなかいないでしょう。マナーは規則と違い絶対のものではありませんが、基本を知らなければ臨機応変に振る舞うことはできません。一度正しいマナーを心得て、その場その場に合ったエレガントな振る舞いができる大人が理想です。