お金を貯めたいのに、ついネットショップで散財してしまう。そんな女性はどうすればいいか、ファイナンシャルプランナーの藤川太さんに聞きました。お金持ちは、ほとんど衝動買いをしないそうですが、実は買い物の手順に秘密があるとか。いったいどんな方法なのでしょうか。
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※写真はイメージです(写真=iStock.com/VioletaStoimenova)

3人に1人がストレスで衝動買い

また、やってしまった――。朝起きて、前夜の衝動買いを後悔した経験を持つ人も少なくないだろう。やめたいと思いながら、なかなかやめられないのは、日ごろのストレスとも関係がありそうだ。

メディケア生命の「ビジネスパーソンの疲れとストレスに関する調査2018」によると、7割以上が「最近、ストレスが溜まっている」と感じている。そして、ストレスが限界を超えたときに、思わず取ってしまった行動として、3位(女性)に挙がっているのが「買い物で散財しすぎた」(27.6%)だ。3人に1人が衝動買いを経験している。

【図表1】ストレスが溜まりすぎたときに、思わずやってしまったこと

衝動買いで使ったことがある1回当たりの最高額の平均(女性)は、ネット通販が約4万円、ネット通販以外では13.6万円となっている。いずれにしも大金だ。ストレスを解消するためには「多少の衝動買いは仕方ない」と自分を納得させている人もいるかもしれないが、「1億円貯める女性は違う」とファイナンシャルプランナーの藤川太さんは言う。

お金を貯められる人が持っている“執念”とは

「お金持ちの人は、何か買うときには徹底的に比較検討します。その執念はすごいですよ」

ネットを利用すれば簡単に商品の比較ができる。類似商品と比べてどちらが自分の希望にあっているか、同じ商品の場合は、購入先によって価格がどう違うかを徹底的に調べる。いいものを少しでも安く買うために、労力を惜しまないのだ。

「時間をかけてリサーチすることで、どうしても欲しいと盛り上がっていた気持ちがおさまり、冷静に判断できるようになります」

とくにネットショップは、いつでも利用できるし簡単に注文ができるので、衝動買いにつながりやすい。ネットショップはできるだけ利用しないほうがいいのだろうか。

「食料品や日用品などは、ディスカウントショップのほうが安価で手に入る可能性が高いですが、計画的に購入することを重視する人はネットショップを活用したほうが出費は抑えられると考えます。店舗へいくと、必要のないものまで買ってしまうことを警戒しているのです」

ディスカウントショップでは、目玉商品を用意して客を呼び込み、他の商品もついでに買ってもらう戦略をとっていることが多い。店舗に出向けば、おすすめ商品に目を奪われ、買う予定のなかったものまで買ってしまいがちだ。必要なものを注文するネットショップではそれが起きにくい。

「私自身もペットのえさなどは、ネットで定期購入しています」と藤川さん。

アマゾンなどの定期購入を利用すれば、その都度の注文も必要ないので、時間の節約にもつながる。

衝動買い常習犯がお金持ちに近づく第一歩

一方で資産1億円を達成しているお金持ちは、「そもそも物欲がない」ように見えるのも特徴だという。

「お金はあるので、買おうと思えばいくらでも買えるのですが、買いたいものが無いようですね」

それは価値観の違いに通じていそうだ。そもそもお金持ちになる人は、「お金を使うこと」よりも、「お金を稼ぐこと」「お金が貯まること」に満足感を持っている。衝動買いをすると無駄にお金が減る。そんな自分は許せないから無駄遣いはしないのだ。

とはいえ、お金持ちを見習って、すぐに価値観を変えるのは、簡単ではない。

「衝動買いの常習犯の人にお薦めしているのは金額制限です」と藤川さん。

ネットショップで使うお金を「1カ月に1万円」などと、あらかじめ決めてしまう方法だ。いきなり「ネットで一切買い物をしない」と決めてしまうと、それがストレスになって、どこかで反動買いをしてしまう可能性がある。すべてやめるのではなく、金額制限することで、物欲をある程度満たしながら、買いすぎを抑えることができる。

衝動買いを阻止するもう一つの方法

「もう一つ、既婚者であれば、夫婦の承認制にするのもいいですね」

1万円以上あるいは3万円以上など、あらかじめ金額を決めておき、それを超える買い物をする場合には、互いに承認を得るようにする。認めてもらうには、買う目的や金額の妥当性などを相手にプレゼンしなければならない。こうしたルールを決めておけば“勢い”で高いモノを買ってしまうようなことは避けられるだろう。

それが手間であれば、お互いの出費をチェックできるようにしておくのもいい。

「マネーフォワードやZaimのような家計管理アプリで出費を管理すれば、夫婦でチェックできますから、衝動買いを抑える効果がありますね」(藤川さん)

家計管理アプリは、サブスクリプションの無駄遣いを防ぐ効果もあるという。

「コロナ禍で家にいる時間が長くなり、ネットフリックスなどのサブスクサービスを契約した人が少なくありません。しかし、その後仕事が忙しくなって、使わなくなっている人もいるのではないでしょうか。忘れていると、永遠に料金を請求されてしまいます」

サブスクリプションもネットで簡単に手続きできるので、つい契約してしまうことが多い。使わなくなっても契約をしていることを忘れてそのままにしてしまう。

Zaimなどの家計簿アプリには、契約しているサブスクリプションサービスのリストを表示する機能がある場合もあり、忘れる心配がないのだ。

1億円貯める人に三日坊主は少ない

また、前述のように衝動買いはストレスが原因になっていることも多いが、お金持ちにはストレスの解消が上手な人が多いとか。

「お金持ちの方はジムに通っている人が多いのですが、これは体力づくりのほかにストレスの発散にも役立っているでしょう」

ジムに入会しても「三日坊主になってしまった」というのはよくある話だが、お金持ちに三日坊主は少ないという。

お金を貯めるのはダイエットと同じ。「自分との戦いに勝てるかどうか」が成否を分ける。お金持ちになる人は自己管理ができるので、一度決めたことはコツコツと続けられるのだ。

お金が貯まる人の最強の好循環とは

さらに、お金持ちには家族仲が良いケースが多いと藤川さんは指摘する。

「そもそも家族仲が悪いとお金はたまりません」

家族関係がうまくいっていないと、お金の使い道にしても話し合いをしないので、お互いに無駄遣いが増えてしまうのだそうだ。

「一方、1億円以上貯まると、生活のためだけに働く必要はなくなります。好きな仕事を選べるようになるので、ストレスが少なくなりますよね」

ストレスを上手にコントロールすることでお金持ちに近づき、お金持ちになれば、さらにストレスが減る。好循環が生まれているわけだ。

お金持ちの仲間入りをするには、上手なストレス解消法を見つけることが第一歩と言えそうだ。

【図表2】お金が貯まる人の好循環