たるみ、シワ、凹みやシミは見た目年齢をグンと上げ、第一印象を左右するもの。スキンケアでは補えない肌悩みの解決法を、皮膚科専門医に聞きました。

筋膜や脂肪、皮下組織から肌を若返らせる

加齢によるシワやたるみ、そしてニキビ跡の凹みは、皮膚の構造自体が変化して起こるもの。そのため化粧品で解消することは困難です。

イラスト=榎本マリコ

例えば、ニキビ跡の凹みは毛穴周囲の激しい炎症を契機に、真皮全層のコラーゲン線維が変性・萎縮して生じたもの。この炎症は紫外線や喫煙、加齢に伴う酸化ストレスでも発生します。また、表情ジワは皮膚のヒアルロン酸の減少や表情筋の過剰な動きによる拘縮こうしゅくで生じるもの。たるみは皮膚、皮下脂肪、さらに深部にある顔面靱帯じんたいや筋膜のコラーゲン線維が劣化して弱くなり、皮膚と脂肪を支えられずに下垂することが原因です。同時に、30代半ばから脂肪と骨が萎縮してボリュームが減るため、ますますシワが寄りやすくなり、ほうれい線やマリオネットライン、ゴルゴ線など深いシワと輪郭のくずれが目立ってくるのです。

顔の筋肉を鍛えれば、たるみを解消できるとよくいわれますが、筋肉は鍛えすぎると拘縮し、シワが深くなって逆に老け顔になることも。また、くすみと肝斑以外のシミは細胞の変性が原因。セルフケアで改善するのは難しいでしょう。

こうした状態を解消するのがポイント美容治療です。メスを使って外科手術を行う美容整形とは異なり、ヒアルロン酸の注入、ボトックス注射、レーザー照射、ニードルなどにより皮膚、皮下脂肪、筋肉、筋膜、靱帯に働きかけ、シワやたるみを解消。肌のハリと弾力を蘇らせます。なかには肌深部からコラーゲンやエラスチンの産生を促し、1回で効果を感じる治療も。

シワ、たるみ、凹み、シミには、それぞれ適した治療法がありますが、40代以降の肌は皮膚のたるみや筋肉の拘縮、脂肪の下垂など、さまざまな問題が混在。そのため、ひとつの治療で解決することは難しく、いくつかの治療を組み合わせるといいでしょう。

美容治療のメリット・デメリット
人生の勲章は不要です!
シワ

“シワによって治療法も変わる。見極めが大切です”

たるみや脂肪萎縮によるシワには、皮膚にふくらみをもたせる「ヒアルロン酸注入法」を。一方、眉間の縦ジワや額の横ジワなど、筋肉の拘縮によってできた表情ジワには、筋弛緩しかん作用のある「ボトックス注射」が◎。効果は4~5カ月持続するが、シワが寄り始めたら再度注射をする。そして、ちりめんジワには「スカーレットS(ニードルRF)」がおすすめ。25本の針刺激による創傷治癒効果で新しいコラーゲンが増えると同時に、高周波によってコラーゲン線維が太くなり、シワが浅くなる。

シワ
老け見えの最たる元凶!
たるみ

“年齢が上がると、治療回数も必要になります”

たるみには、伸びてしまった筋膜や皮膚の奥にある靱帯などを立体的に縮め、強固なコラーゲン線維に置き換える治療を行う。「ウルセラリフト」は超音波のエネルギーを点状に集約した強い熱でコラーゲンを収縮させてリフトアップ。6~12カ月と効果がもっとも持続する。「サーマクールFLX」は高周波の熱でコラーゲンを収縮させ、強力に引き締めるもの。口元のダブついた脂肪や輪郭のくずれなどに効果を発揮する。一方、「タイタン」は近赤外線の熱でコラーゲンを収縮。30代までは、「タイタン」1回で満足するケースも多い。

たるみ
凸凹やシミをなくして滑らか若肌に
凹み・シミ

“ニキビ跡の凹みやシミにもレーザー治療が適しています”

ニキビ跡による肌の凹みは、凹みを修復して新しい皮膚に置き換える「フラクショナルCO2レーザー」を。シミと肝斑には、レーザーを1兆分の1秒単位で照射する「ピコレーザー」がベスト。境界のはっきりしたシミはかさぶたにして取る「ピコスポット照射」を。顔全体の美白とハリアップには、メラニンを微細に粉砕し排出させる「ピコトーニング照射」と、点状に照射して皮膚の自己再生機能を促す「ピコフラクショナル照射」を同時に。

凹み・シミ

※料金はすべて、銀座ケイスキンクリニックでの治療価格です。