まずは自分自身を知り、克服方法を考える

自分自身に潜むアンコンシャス・バイアスを克服するには、まずは「自分がどんなバイアスを抱いているか」を知ることが第一歩。その中身は一人一人異なり、克服のためのアプローチも違ってきます。セルフチェックシートは、そのための重要な手がかりとなるものです。

アンコンシャス・バイアスを知るセルフチェックシート

自分を理解したら、克服に向けて努力しましょう。ゴールは、内面にあるバイアスが取り除かれる=理性的な内容に書き換えられることです。表面的に書き換えるだけなら、それほど難しいことではありません。しかし、長年抱いてきた考えを、心の底から改めることは難しいもの。自分を変えるには、どのような刺激を与えたらよいのか。

診断結果では、そんな視点から4つの性格タイプごとにアドバイスを記していますので、ぜひチェックして日ごろの仕事に生かしてください。

【A】環境順応タイプ

素直で受容性が高く、周囲の環境にすぐに溶け込んでいけるタイプ。協調性も高く、周囲の人と円満な人間関係を築くことができます。物事の考え方はコンサバティブで、世間の常識に従って、現実的な選択をしようとします。

このタイプの人は、そもそも昇進に興味を持っていない可能性があります。女性管理職の先輩に話を聞いたり、リーダー体験をしたり、無意識の思いこみを克服し、管理職への関心の向上につなげましょう。

環境順応タイプ
イラスト=井内 愛、以下すべて同じ
▼気をつけたいアンコンシャス・バイアス
・管理職は男性のほうが適している
・家庭では家事はやはり女性の役目である
・女性はリーダーよりサポート役が適している
▼克服のためのトレーニング
1. 身近な“反例”を探す
2. リーダー体験をする

【B】自信不足タイプ

「自分は未熟である」と感じる謙虚なタイプ。周囲の意見に耳を傾ける一方、あまり自己主張はせず、集団の中では目立たない存在となりがちです。自信のなさから、安全志向に固まり、自分の役割を限定してしまう面もあります。

管理職に求められる能力を過大視する一方、自分の能力を過小評価することから、昇進意欲が低下しがちです。成功体験を振り返ったり、キャリア資産を棚卸しして、自分に自信を与えましょう。知り合いに、自分に対する評価を聞くのも手です。

自信不足タイプ
▼気をつけたいアンコンシャス・バイアス
・自分は他人より劣っている
・管理職は何でもできないといけない
・自分は誰からも尊敬されていない
▼克服のためのトレーニング
1. 成功体験を記録する
2. キャリア資産を洗い出す
3. 他人の評価を聞く

【C】変化回避タイプ

現状維持を好み、変化を避けようとするタイプです。仕事に対する態度は真面目で、定められた役割はきちんと遂行しますが、自分からはあえて範囲外のことに手を出そうとしません。慣れた環境で、マイペースに働くことを好みます。

ただし現状を守ろうとする気持ちが、自分の可能性を否定する思考につながっている可能性があります。後輩育成に取り組んだり、他部門の人と対話したりして視座を高めると、管理職の魅力が見つかるでしょう。

変化回避タイプ
▼気をつけたいアンコンシャス・バイアス
・不慣れな仕事は避けるべきだ
・管理職は魅力のない仕事だ
・女性は管理より実務のほうが適している
▼克服のためのトレーニング
1. 後輩育成に積極的に取り組む
2. 他部門の人と話をする

【D】リスク過敏タイプ

仕事熱心で常に真剣に物事を考えるタイプですが、そのためにまだ起きていない将来の問題で不安やストレスを感じるなど、過敏すぎる面があります。また先々のリスクを先回りして考えすぎ、行動が消極的になってしまう傾向も。

このタイプの人は、管理職になる前から発生する問題を考えて、昇進意欲がわかないということになりがち。目標を立てる、女性上司に話を聞くなどして、モチベーションを上げる努力をしましょう。

リスク過敏タイプ
▼気をつけたいアンコンシャス・バイアス
・女性上司は部下から歓迎されない
・女性はハードな仕事に耐えられない
・管理職はプライベートを犠牲にせざるをえない
▼克服のためのトレーニング
1. 成し遂げたいことを考える
2. 先輩にインタビューする
3. 会社の支援体制を知る