オンラインのほうが有益な情報が得られる
一見、オンラインよりも直接会うほうが人脈づくりには有利に見えますが、オンラインはオンラインならではのよさがあります。
ある社会学の研究で、こんな研究結果があります。
ある人が就職活動をしていて「どこかいい会社はないですか」と周りに聞きました。そうすると、家族や友人などの強いつながりの情報よりも、知り合いの知り合いといった弱いつながりのほうが自分にとって有益な情報が多かったというのです。
これは結局、弱いつながりのほうが、利害関係がないので人を紹介しやすいということ。会社というのは、まさにつながりの強い人たちの集まりです。当然、転職の相談もできないし、利害関係もあるので、有益な情報は得られません。たこつぼ化しているわけですね。
この弱いつながりをつくることができるのがオンラインです。ふだん飲みに行かない人とつながることで、自分にとって有益な情報を得ることができるのです。
私は「文化財を使った地域活性化」に取り組んでいるので、それをテーマにした勉強会のFacebookグループに入っています。そういうグループに参加している人たちは、まさに弱いつながりですが、自分と同じ興味関心を持っている人たちなので、すごく有益な情報共有ができるのです。
人脈を将来役立つかどうかで判断しない
自分の興味関心がマニアックなほど、コミュニティは活性化します。たとえば単に「旅行好き」ではなくて「城好き」。さらに城好きのコミュニティでは、ベスト3が「姫路城」「松本城」「犬山城」となっています。「なぜ犬山城がベスト3なのか」など、自分の好きな領域をとことん追求できます。
その際に、この関係を深めておけば将来役に立つかなと考えるのはNG。最初からビジネスチャンスありきで考えると、お付き合いが打算的になるので、利害をからめないことが重要です。そこからたまたまビジネスチャンスが生まれることもあるので、そういった偶然を待つという順番が正解です。
また遠くに住んでいる人と簡単にコミュニケーションをとれるのも、オンラインのメリットです。オンラインでは、ぜひ会社とは違うつながりをつくるのに活用してほしいですね。
オンラインだけでは信頼関係は育たない!?
もちろんオンラインにもデメリットがあります。
その最たるものは、感覚的な情報を得られないこと。霊長類研究の第一人者として知られる京都大学総長の山極壽一先生は、「人と人の信頼関係はオンラインでは生まれない」とおっしゃっていますが、やはり新しい人脈を広げていくときは、オンラインだけでなく直接会って、その人を見たほうが圧倒的に早いのは確かです。
またオンライン飲み会も流行っていますが、居酒屋でみんなで飲んでいるように身体感覚を共有していないので、聞き手に回っている人は、なんとなく疎外感を覚えてしまうということがあります。
ですから、コミュニケーションを深めるときなど感覚的にやりとりしたいときは、オンラインだけでなく、リアルで会うことも必要です。
セミナーなど情報をインプットするだけなら、オンラインだけでOK。オンラインで趣味を始めるのもおすすめです。それぞれの特性を意識して使い分けをしていくことが大切です。
会いたい人に会うためのすごいテク
オンラインで人脈を広げる方法として、オンラインセミナーを活用する方法もあります。
私は今、月に4、5回、「Zoom対談」を実施し、一般の方に公開しています。対談相手は、ふだんあまり関わりのない人。あえて「対談しませんか?」と声をかけています。
ふだんあまり関わりのない人とは、コミュニケーションをとりたくても、なかなかとれません。「元気ですか?」と急にメッセージを送るのもおかしいですよね。でもこういったZoom対談という名目があれば、その壁が一気に突破できる。実際、会いたい人に会うための口実に、Zoom対談をしているといっても、過言ではありません。
昔ならこういったセミナーを開催しようと思ったら、会場はどこをおさえるか、集客はどうするのか、いろいろと考えなければいけないことが多かったけれど、オンラインなら場所もいらないし、集客も簡単。誰でもできますよね。これからはますます個人がイベントを実施しやすい時代になっていきます。
キャリア女性におすすめなのは、まずはオンライン上で勉強会のグループをつくって活動し、30人ぐらい人数が集まったところで、会いたい人をゲストとして招いて話してもらうという方法です。
グループとしても人脈が広がるし、会いたい人にも会える、とっておきのオンライン人脈アップデート術です。ぜひトライしてみてください。