「毎日使うとは限らない」から、そこに素が出る
初対面で「その人がどんな人物か」を判断するとき、あなたはどこに注目するでしょうか? たとえばヘアメイク、歯並び、スーツの着こなしなど、重要視するパートは人それぞれですが、バッグや靴などの持ちものも、意図せずとも判断基準になりますよね。
働く女性として、名刺入れやバッグなど、ビジネスシーンにおいて明らかに「見られている」とわかるモノに関しては、皆おしなべて気を遣っています。ですが、仕事中(主に打ち合わせやプレゼンなど)に必要のないもの、または登場回数がそう多くはないものについては、意外と意識が行き届いていないのが実情です。
それが顕著に出るのが傘。その証拠に、あつらえたようなピシッと決まったスーツスタイルにビニール傘……なんていう、ちぐはぐな組み合わせをよく目にしませんか? しかしながら、それでは打ち合わせ中に獲得した好印象も、エントランスでヨレヨレの傘を出したとたんに急下降という可能性も十分ありえるのです。
それもそのはず、人は体の中心から離れた場所ほど美意識が届きにくくなります。身だしなみひとつとっても、ヘアスタイルやメイクなどにこだわっている人が、実は指先のネイルがはげていたり、靴のお手入れがなおざりだったり、適当な傘を使っていたり、ということも少なくはありません。しかしながら、他人からよく見られているのは、意外と自分では意識しづらいところだったりするのです。
意外と気になる“適当傘”の存在
本格的な梅雨の季節となり、ぜひ見直してほしいのが傘の存在。毎日絶対に使うものではないゆえに、まさに気が回らないアイテムでもあるのですが、実は傘には持つ人の美意識がそのまま反映されます。
「傘なんてなんでもいいや」と思っている人のなかには、雑に扱った古い傘や、ビニール傘を使い捨てしたり、もしくは会社にある誰かの忘れ物を適当に借りたりしている人もいるかもしれません。一方で「傘も印象管理のひとつ」とわきまえている人は、そこにも投資をしてきちんとお手入れしたものを長く愛用していたり。どちらを選ぶかは美意識に加え価値観の問題ですので個人の自由ですが、前者より後者のほうが「きっと仕事もきちんとしてくれるだろう」という想像力をかき立てます。シンプルに言うと、そのほうがビジネスにおいてもずっと得だということ。「たかが傘、されど傘」なのです。
たとえば靴にもオフィスにはレザーパンプス、公園に行くならスニーカーの日があっていいように、傘にもTPOは存在します。ビニール傘自体が悪いのではなく、スーツを着ているときにはやはり、その立ち姿と品格にふさわしい一本が必要なのです。
由緒正しい老舗の傘をビジネスの味方に
責任のある役職につく人も多いPW世代なら、ぜひ一度、前原光榮商店を訪れてはいかがでしょうか。昭和23年に創業し、今年で72年目を迎えるこの老舗洋傘メーカーは、家族数世代で愛用しているファンを多く持ち、皇室御用達としても有名。ひとつひとつの傘すべてを熟練した日本の職人が手作業で製造し、その素材と美しいシルエットたるや、まさに日常の芸術品といっても過言ではありません。
そうやって大切につくられた傘の背景を知ったうえで選んだお気に入りは、凛としたスーツ姿の知性と品格を高め、佇まいをエレガントに見せてくれる影の立役者となってくれます。外回りやクライアント訪問が憂鬱になりがちな雨の日にも、持つ人に自信を与え、いつだってあなたの背中をそっと押してくれるはず。特別な存在であるその1本は、大人の上級感を醸し出すだけでなく、あなたの仕事ぶりさえアピールしてくれることでしょう。
さらに前原光榮商店では、ショールームに持ち込めばたいていの傘はメンテナンスが可能なので、使うごとに味の出る、あなたの長年の相棒として活躍してくれるはず。こうした名品に触れ、自身の持ち物の細部にまで気を使える人と「傘なんてなんでもいい」といって使い捨てする人とでは、見た目の時点で大きく差をつけたとしてもなんら不思議ではありません。
管理職ともなれば、傘もひとつのビジネスアイテム。避けては通れないこの季節、上質なこだわりを持つお気に入りの1本とともに、見た目はもちろんキャリアもさらなるバージョンアップをめざしたいものです。
今月の名品
前原光榮商店の長傘
※価格はすべて税抜きです。