コロナによるテレワークを機に、本格的にテレワークの導入を検討している企業が増えています。これまではとりあえず食卓やリビングのテーブルで在宅勤務をしていたとしても、そろそろ“書斎スペース”を作ろうと考え始めた人もいるのではないでしょうか。快適に仕事に集中できる環境を作るにはどうすればいいのか、インテリアコーディネーターのMAKOさんに聞きました。
コロナウイルスのパンデミック中、在宅勤務をする女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Maryviolet)

デスクは小さくてもOK

いきなり専用の部屋を持つのは難しくても、小さな“書斎スペース”を作ることはできるかもしれません。食卓での在宅勤務は、短期間なら我慢できるかもしれませんが、やはり専用スペースの方が仕事の効率も上がりますし、疲労感も減ります。

ディノス「幅1cm刻みのサイズオーダーデスク」(写真提供=ディノス・セシール)
ディノス「幅1cm刻みのサイズオーダーデスク」(写真提供=ディノス・セシール)

「書斎」というとどうしても、大きな事務用デスクにかさばるオフィスチェアをイメージしてしまいますが、最近の事務作業はラップトップパソコンと携帯電話で済むことが多いので、実はそれほど大きな作業スペースは必要ありません。スペースが許せば、奥行き60センチくらいのデスクが置けるといいですが、難しければ奥行き40センチ、幅1メートル程度の机があれば十分です。ネットで「奥行き浅い デスク」と検索すると、たくさん出てきます。例えばディノスでは、幅1センチ刻みでデスクのサイズをオーダーできるので、狭いスペースでも有効に活用できます。

書斎スペースは台所が目に入らない場所に

場所の選び方ですが、できれば部屋の壁面に向かって机を置くとよいでしょう。壁面に向かって置けない場合は、テレビや台所が見えない向きに置くか、観葉植物や本棚などで目隠しをするのがお勧めです。

自宅で仕事をしていて一番集中力をそいでしまうのが、テレビや家事です。仕事中にふと顔を上げた時に、家族の誰かが見ているテレビが見えると、つい一緒に見てしまいますし、洗い物の食器が目に入ったりすると、どうしても気になって家事をしてしまったりしがちです。「仕事とそれ以外」というオンオフのメリハリをつけるためにも、できるだけ仕事中に「オフ」のものが目に入らないようにします。

椅子はキャスター付きじゃなくてもOK

「イームズプラスチックシェルチェア ワイヤーベース」(写真提供=ハーマンミラー)
「イームズプラスチックシェルチェア ワイヤーベース」(写真提供=ハーマンミラー)

前回ご紹介した通り、椅子選びはとても重要です。本格的なオフィスチェアは、良いものだと数十万円しますし、キャスター付きなのでかさばり、幅55~60センチくらいは取ってしまいます。キャスター付きでなくても作業しやすいものはたくさんあり、幅45~50センチ前後のコンパクトなものもあります。

また、リビングやダイニングに書斎スペースを作るのであれば、事務用のオフィスチェアを置くのは違和感があるでしょう。イームズの「シェルチェア」は、デザイン性も高く、かさばらず、ダイニングチェアにも使えます。長時間座っていても疲れにくいのでおすすめです。

Zoom会議の背景隠しにも使えるパーテーション

いくら小さな書斎スペースでも、できればスペースを区切る仕切りとなるパーテーションなどを置きましょう。大きめの観葉植物や棚を間仕切り代わりにしたり、カーテンを吊り下げることでスペースを区切ることもできます。薄手のカーテンであれば、天井に画びょうやマスキングテープでとめられますし、柱があれば突っ張り棒を使ってもいいでしょう。

布を外すと物干しにもなる、ディノス「物干しになるパーテーション 3連」(写真提供=ディノス・セシール)
布を外すと物干しにもなる、ディノス「物干しになるパーテーション 3連」(写真提供=ディノス・セシール)

壁に向かって仕事をしていても、背後に仕切りがあるだけで、集中しやすさが格段に変わります。また、Zoom会議をするときの背景隠しにもなり便利です。

パーテーションなどの仕切りは、ほかの家族に「今は集中して作業をしているところ」「会議中だから邪魔しないで」などの状況を知ってもらうためにも役立ちます。紙に書いて貼りだしてもいいかもしれません。お子さんが小さい場合は、(わが家でもそうですが)「今からお母さんは会議だから、話しかけないでね」と、伝えても、なかなか理解できなかったり、すぐに忘れてしまったりします。パーテーションが、「仕事中」というわかりやすい合図になります。

実は、オフィス用のスチールやプラスチックのパーテーションはよくあるのですが、リビングに置けるデザインのものはそれほど種類が多くありません。しかし、布製のものであれば、自分の好きな布に張り替えてもいいですし、オフィス用のものでも、手軽に貼れるシール式の壁紙の中から、好きなデザインのものを選んでアレンジすれば、リビングのインテリアに合うように変えられます。

香りや灯りで気分を切り替える

気分の切り替えには、灯りや香りを活用するのもお勧めです。集中したい時には、青みがかった白色の灯り(昼光色と呼ばれます)や、ローズマリー、ペパーミントやグレープフルーツなどのさわやかなアロマが効果的です。リラックスしたい時には、オレンジがかった色の灯り(電球色)や、ラベンダー、ネロリなどのアロマがお勧めです。

RIVERS「サーモジャグ キート」(写真提供=リバーズ)
RIVERS「サーモジャグ キート」(写真提供=リバーズ)

不用意に集中力を途切れさせない工夫も必要です。お茶やコーヒーを入れるのは、普段の仕事であれば気分転換になっていいのですが、在宅勤務中は避けたほうが仕事がはかどるというタイプの人もいると思います。お茶を入れに台所に行くと、つい気になって家事をやってしまうからです。そういう場合は、保温ポットにお茶を入れて手元に置いておくなど、できるだけ台所などの家事スペースに行かないようにするとよいでしょう。

“ながらエクササイズ”のグッズを取り入れる

「バウンドクッション」(写真提供=東急スポーツオアシス)
「バウンドクッション」(写真提供=東急スポーツオアシス)

「コロナ太り」という言葉もよく耳にするようになりましたが、仕事をしながら簡単にエクササイズできるグッズもたくさんあります。オフィスチェア替わりに、体幹を鍛えられるバランスボールを使う人も増えているようです。最近は、シックな革のカバーがついたものや、背もたれ付きの椅子型のものも出ています。

私は、中にバネが入った「バウンドクッション」を使っています。座りながらつま先やかかとで踏み込むことで、太ももやお尻、ふくらはぎなどの筋肉を鍛えることができます。寝転がって使うと、背中やお腹などのストレッチもできます。

テレワークは、一時的な措置ということにはならなさそうです。今後も在宅勤務は増えそうですから、家でもできるだけ快適に仕事ができるよう、少しずつ環境を整えてはいかがでしょうか。