食卓やリビングでの在宅勤務で、肩は凝る、お尻は痛い、集中できない、という悩みを抱えていませんか? 短期間なら我慢できるかもしれませんが、今後もしばらく在宅勤務は断続的に続きそうです。いつもの食卓を、少しでも快適なテレワークスペースに変えるには、どうすればよいのでしょうか? インテリアコーディネーターのMAKOさんに聞きました。
在宅勤務中、背中の痛みに苦しむフリーランサーの若い女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/eternalcreative)

最初に考えるべきは椅子

大幅な模様替えをしなくても、食卓でのテレワークを快適にすることは可能です。

「ワーナー シューメーカーチェア」さまざまな大きさのものが選べる(写真提供=ロイヤルファニチャーコレクション)
「ワーナー シューメーカーチェア」さまざまな大きさのものが選べる(写真提供=ロイヤルファニチャーコレクション)

最初に考えたいのは椅子です。とはいえ、食卓にかさばるオフィスチェアを置くのは、インテリアを考えると避けたいところ。食卓用の椅子の中にも、長時間座って疲れないものがたくさんあるので、ダイニングの雰囲気に合わせて、違和感のないデザインのものを1つ追加してみてはいかがでしょうか。

「シューメーカーチェア」は、牛の乳しぼり用に作られた椅子を、靴職人が座り心地をよくするために座面をお尻の形に合わせて削ってできたことから、こう呼ばれているそうです。椅子は、確かに背もたれがあった方がリラックスするにはいいですが、しっかりと腰を支えてくれるつくりになっていれば、長時間でも疲れません。デザインもシンプルなので、既存のダイニングチェアに追加しても、それほど邪魔にならないでしょう。

グッズの投入で座る姿勢を整える

椅子を買わなくても、今使っている椅子に「勝野式座るだけで骨盤キュッとクッション」のようなクッションを置くのもよいでしょう。骨盤を支えて猫背を防ぐので、長時間座っていても疲れにくくなります。

座った姿勢を補正する「勝野式 座るだけで骨盤キュッとクッション」(写真提供=メイダイ)
座った姿勢を補正する「勝野式 座るだけで骨盤キュッとクッション」(写真提供=メイダイ)

こうした骨盤を支えるタイプのクッションのほか、背もたれがある椅子であれば、腰や背中を支えるタイプの「ランバーサポート」と呼ばれるクッションもたくさん出ています。椅子の形状や自分の体の疲れる部分などに応じて選んでください。

さらに、椅子の座面や足の高さを、クッションやタオルなどを使って調節すると、肩こりや腰痛を緩和することができます。

まず、座ってパソコンのキーボードに手を置いたときにひじの角度が90度になるようにします。クッションやタオルなどを椅子の座面に置いたり、パソコンの下に本を置くなどして、高さを調節しましょう。足の裏は、全体が床にぺたんとつくくらいの高さに。海外製の椅子は座面が高いものが多いので、つかない場合はフットレストを置くか、クッションやタオルなどで調節します。ひじの角度と足の裏の2点を意識して高さを変えるだけで、作業中の姿勢が良くなるので、かなり疲れにくくなるはずです。

「パソコンスタンド」で猫背を防ぐ

ラップトップのパソコンは、画面が目線の下の方にあり、キーボードも小さいので、どうしても背中を丸めてのぞき込みながら作業をすることになります。頭の重さを首で支えるので、首に負担がかかりますし、肩が内側に入って猫背になり、肩こりや腰痛につながります。

ノートパソコンスタンド「MOFT」(写真提供=Made by Moft)
ノートパソコンスタンド「MOFT」(写真提供=Made by Moft)

これを防ぐのに役立つのがノートパソコンスタンドです。パソコンの高さを持ち上げたり角度を変えたりすることで、視線が上がり、姿勢が改善できます。製品によって、対応するパソコンの大きさや、調節できる角度が違うので、自分のパソコンに合ったものを選びましょう。いろいろな種類のものが出ていますが、中でも「MOFT」は、軽くてデザインもシンプル。角度は2段階で調節できます。使わないときは、折り紙のようにぺたんと畳めて場所を取りません。

ノートパソコンスタンドは、「Zoom(ズーム)」などのオンライン会議の顔映りにも影響します。パソコンのカメラは、何もしないとあごの下くらいの高さなので、相手を見下ろすような角度で映ってしまいますし、あごの方が大きく映るので太って見えます。ノートパソコンスタンドを使ったり、パソコンの下に本を置くなどして、カメラの高さと目線をそろえた方が、映りがよくなるのでおすすめです。

Zoom会議で顔色を良く見せる

リビングの照明は、手元で細かい作業をするのに適した明るさになっていないことがあります。明るさが足りず見えにくいと、肩こりや頭痛にもつながります。コンパクトにたためて持ち運びに便利なものや、充電式で電源コードがいらないタイプのデスクライトもたくさん出ているので、1つあると便利です。

アングルポイズ「Original 1227 Desk」と「Original 1227 Floor Stand」(写真提供=リンインクープ)
アングルポイズ「Original 1227 Desk」と「Original 1227 Floor Stand」(写真提供=リンインクープ)

また、普段作業をしている時は問題ない明るさでも、パソコンのカメラを通したZoomの画面では、顔が実際より暗く、青みがかって映ることが多いようです。天井の照明が画面に入らないように、パソコンのカメラの位置を調節したり天井の照明を消したりしたうえで、デスクライトで顔を前から照らすようにするだけで随分印象が変わるので、試してみてください。

もし、デスクが白っぽい壁に向かって配置されている場合は、デスクライトで壁を照らし、その反射で顔を明るく照らすようにすると、光が柔らかくなってまぶしくないですし、より自然な感じになります。ちなみに、白い服を着ると、レフ板効果でさらに顔色の映りがよくなります。

アングルポイズの「Original 1227」は、デスクライトですが、別売りのフロアスタンディングポールにつなげるとフロアライトにもなります。首が自由に動くので、手元を明るくしたり、Zoom会議で自分の顔色が一番よく見える角度で照らしたりという調節がしやすいでしょう。リビングや寝室で、壁を照らして間接照明としても活用できるので、テレワーク以外の時にも便利に使えます。

ぱっと始めてぱっと片付け

「キャスター付きキッチンワゴン」(写真提供=リホーム)
「キャスター付きキッチンワゴン」(写真提供=リホーム)

仕事専用のスペースがないと、その都度仕事に必要なパソコンや資料などを運び、広げて使ってはまた片付け、という作業の繰り返しになります。この手間をできるだけ減らすために、仕事関係の道具を「お仕事セット」としてひとまとめにしまっておける、キャスター付きのキッチンワゴンなどがあると便利です。

パソコンや資料のほかにも、パソコンに使う延長コードやケーブル、筆記用具などの文房具などもまとめておきます。1カ所にまとめておくだけでも作業効率が随分変わります。キャスター付きの収納ボックスでもいいでしょう。私は、リビングのインテリアにもマッチする、大きめのバスケットに、仕事関連のものを放り込んでいます。「お仕事セット」の中身やインテリアなどに合わせて、選んでください。

せっかくだから、気分がアガるグッズで

BRID(ブリッド)「CABLE PLUG_02&USB PORT_02」(写真提供=メルクロス)
BRID(ブリッド)「CABLE PLUG_02&USB PORT_02」(写真提供=メルクロス)

自分の好きなインテリアでまとめたリビングや食卓に、武骨な事務用品や電源ケーブルなどを持ち込むのはちょっと残念です。これらは、隠せるといいのですが、見えてしまうなら、できるだけかわいいもの、見ていて楽しくなるデザインのものを選ぶと良いと思います。

BRIDのケーブルプラグは、おしゃれで便利なので、私も使っています。USBポートがついているもののほかにも、オン/オフの切り替えスイッチがついているものなど、いろいろな種類があります。

事務用品やパソコンの周辺機器なども、探してみると、おしゃれなもの、かわいいもの、スタイリッシュなものなど、デザイン性に富んだものがたくさんあります。オフィスで使うのではなく、自宅で使うとなると、選び方のポイントも変わってくるでしょう。好みのものを探してみるのも、楽しいと思います。