新年度が近づき「いいタイミング」と家計の見直しを考えている人も多いのではないでしょうか。家計再生コンサルタントの横山光昭さんは、無駄を減らし貯蓄を増やしていくためには「財布」がとても重要といいます。お金の貯まる財布とそうでない財布の違いとは――。

※本稿は横山光昭『キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

カラフルなレザーの財布3つ
※写真はイメージです(写真=iStock.com/VitaliyPestov)

財布やお金に意識を向けることの重要性

あなたは今、自分の財布にいくら入っているかわかりますか?

だいたいの金額を思い浮かべたら、1度、本を閉じて財布を開き、答え合わせをしてみてください。

どうでしたか? だいたい合っていましたか? この質問、講演会などの冒頭で会場の皆さんに問いかけることもあります。1円単位まで正確に把握している人はほとんどいませんが、誤差数百円のレベルで答えられる人は少なくありません。

逆に、「いくらくらいだったかな……」と見当がつかない人もいます。

どちらのタイプがお金の貯まる人かは書くまでもないかもしれません。もちろん、誤差数百円のレベルで財布の中身を把握している人です。

そう聞くと、「やっぱりお金に細かいことが大事なんだな」と思われるかもしれません。あるいは、「ちまちま数えて、みみっちい」と、くさす、財布の中身に無頓着なタイプの人もいることでしょう。

でも、大事なのはお金に細かいことではありません。

財布やお金に意識を向けていることです。

お金が貯まらない人の財布の特徴7つ

お金が貯まらない人は、自分の財布を雑に扱っている傾向があります。

角が擦り切れ、表面に汚れがあり、中身はお金以外のものがいっぱい。レシート、割引券、ポイントカード、クレジットカードなどでパンパンに膨み、いわゆる「ブタ財布」状態になっています。

また、お札も2つ折りで入っていたり、3つ折りで入っていたり、1000円札、5000円札、1万円札が整理されずに混在していて、お札とお札の間にレシートが挟まり、支払いの際にお札を出すとぱらぱら落ちるなんてことも……。

まさに、財布にもお金にも意識が向いていない状態です。

「お金が貯まらない人」の財布には、次のような傾向があります。

・財布がパンパンに膨らんでいる
・お札の入っている方向が上下、表裏バラバラ
・お札がくしゃくしゃになっている
・1回しか行ったことのないお店のポイントカードが何枚も入っている
・クレジットカードが複数枚入っている
・期限切れの割引券など、ゴミ化した紙がそのまま入っている
・レシートが目いっぱい入っている

もし、自分の財布を見直してみて、ひとつでも該当する項目がある場合には、もう少し自分の財布、そして自分のお金に興味を持つようにしましょう。

家計の見直しには財布の小型化が効果的

家計相談のとき、相談者の方がブタ財布状態になっていたら財布を新調するよう勧めています。それも「できれば、小さな財布」にするように提案しています。というのも、財布を小さくすると、物理的に入れられる量が限られてくるからです。

まず、場所を取るクレジットカード、キャッシュカード、ポイントカードの枚数を見直すことになります。

本当に持ち歩く意味があるポイントカードはどれかを絞り込むうち、日頃のムダ遣いに気づくこともあるでしょう。また、レシートを乱雑に突っ込んでおくこともできなくなるので、必然的に1日、2日で財布の外に出すことになります。

そのタイミングで自分の買ったものを振り返り、「ちょっと買いすぎたな……」と思ったら、翌日から「引き締めていこう」と気持ちを切り替えることもできるでしょう。

つまり、財布を新調し、小さくするとお金自体に意識が向くようになるのです。

財布からのお金の出入りに気が向くようになれば、管理をきちんとしようという意識が芽生え、「お金が貯まらない人」から卒業する一歩を踏み出すことになります。

大事なのは財布だけじゃない! スマホの中もスリム化

今、日本では政府主導でキャッシュレス化に向けて、様々なサービスが提供されています。

横山光昭『キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術』(クロスメディア・パブリッシング)
横山光昭『キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術』(クロスメディア・パブリッシング)

50種類以上のキャッシュレス決済アプリが続々と登場し、私たちはいったいどれを使ったらいいのか、いろいろ比較してみないとわからない、という過渡期に入っています。

こうした状況で気をつけたいのは、「お得みたいだから、使わないともったいない」と踊らされ、深く考えずにさまざまなアプリを試してみること。

せっかく財布の中身を片づけて、カード類を減らしたのに、スマホの中に決済アプリが乱立するようでは意味がありません。

その先には、ポイント還元やキャッシュバックを受けることが楽しくなり、買う必要のないものまで買ってしまうなど、サービスを受けることが目的化する落とし穴が待ち受けています。

便利そうだから使うのではなく、自分に必要だから活用する。

この視点を忘れずに、変化と向き合いましょう。