上りつめるまでに、何度も悔しい思いをしてきた

ここまで上りつめるまでに、何度も悔しい思いをしてきました。同じような提案をしても男性の意見が聞き入れられたり、自分より能力の低い男性が上手にアピールして先に昇進したり。さらに3人の娘を出産・子育てしていなかったら、10年早くCEOになれていたかもしれません。

サビーナ・ベッリさん
サビーナ・ベッリさん

でも、どの経験も後悔はしていません。男女の不平等は日本だけでなく、ヨーロッパでもいまだに女性が仕事で野心的な面を見せると否定的な意見を言う人は多くいます。経済的理由や家業などで働くことが半ば義務であれば称賛されるのに、女性が働くことを「選ぶ」ようになった途端に異議を唱える人が出てくるのです。本来の「選択の自由」と矛盾しています。女性も自分の道を選び、自分の人生を決めることが認められなければいけません。

私から、働く女性の皆さんへのアドバイスは、感受性を生かしつつも、決して感情的にはならないこと。ビジネスでは、事実や数字をベースにして議論を進めなくては相手から真剣に受け取めてもらえません。

そして、絶対に自分の可能性を諦めず、自信を持つこと。小さなことでも自信を持って、自分の言葉で伝えることを恐れないでください。

自分を信じる力があれば、女性は一気に飛び立てる

ポメラートでは、イタリアのファッション起業家であるキアラ・フェラーニと共に「Pomellato Sisterhood Initiative」キャンペーンを通じて、若い女性たちに、自分の信念に基づいて行動できる自信を持つようにとメッセージを発信しています。

1967年にイタリア・ミラノで誕生した「ポメラート」。2019年7月、東京・銀座に旗艦店「ポメラートブティック銀座店」がオープン。華やかなポメラートの世界を堪能できる。www.pomellato.com ブティック銀座店 03-3289-1967
1967年にイタリア・ミラノで誕生した「ポメラート」。2019年7月、東京・銀座に旗艦店「ポメラートブティック銀座店」がオープン。華やかなポメラートの世界を堪能できる。www.pomellato.com ブティック銀座店 03-3289-1967

女性が管理職になることを阻む「glass ceiling(ガラスの天井)」があるとよくいわれますが、実は同時に下には「sticky floor(床への張りつき)」も。さまざまな解釈がありますが、私は女性の言い訳の1つになってしまっていることに危惧を覚えます。見えない天井で昇進しづらくなっていることを言い訳にする自分自身の自信のなさに実は足を取られている。女性自身が被害者意識にとらわれてしまうのです。あなたが望めば、きっと上に行ける。でも、管理職としてやっていくには、もちろん何らかの犠牲や負担は出てきます。その責任を取る覚悟はできていますか? それを人のせいにしていませんか?

ガラスの天井と床への張りつきの両方と同時に闘うのは不可能。まず自分自身としっかり向き合い、足元を固めて飛び立つ準備をしてからジャンプしてガラスを壊さなきゃ。女性は常に固定観念や伝統を打ち壊してクリエイティブに新しいものを生み出してきました。自信を持てばあなたもきっと飛び立てるはずです。