以前は転職情報サイトを通じての転職が主流でしたが、その後は転職エージェントやスカウトを利用する人が増え、最近ではSNSが使われることも。転職の方法は時代と共に日々変わり続けていますが、ベンチャーやスタートアップ企業の採用支援を中心に活躍するキープレイヤーズ代表の高野秀敏さんは、「今後はもっと動画を活用するべきだ」と言います――。
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動画の驚くべき訴求力の高さ

昨年の夏、参議院議員選挙で議席を獲得した「NHKから国民を守る党」は、国民に大きなインパクトを与えました。僕は、彼ら「N国」が無党派層を中心に支持を集めて躍進できたのは、YouTubeやTwitterなどのSNSをうまく活用したからだと思っています。実は僕も数カ月前からYouTubeを始めました。YouTubeチャンネルを開設して転職のノウハウをお話しているのですが、動画の訴求性の高さには驚きを隠せません。人の心を動かすには、動画は非常に効果的なのだなと実感させられています。

元来、人は動くものに目が奪われやすい性質を持っているそうです。つまり、「動き」を伴ってメッセージを伝える動画は、人々の目を引く有力な手段。また、人は動きだけでなくビジュアルにも素早く反応すると言われています。同じ内容のことでも、文字よりも画像の方が何倍も伝わりやすいのです。動画には、「動き」に加えて「音」などのさまざまな要素が含まれているため、文字や画像よりも遥かに多くの情報を瞬時に届けることができます。

さらに動画の最も良い点は、感情的なつながりを生むということ。テレビで出演者が笑顔で楽しそうにしているのを見ると、ついついこちら側も自然と笑みがこぼれてしまうでしょう? このように、人は他人の行動を自分の行動のように認識し、共感するという性質も持っているのです。この感情的な繋つながりは、親近感や説得力をもたらします。

誰でもできる「YouTube自己アピール」

これからの時代、積極的に動画を利用するべきです。以前、TwitterやFacebookなどのSNSを使った転職活動についてお話ししたことがありますが、YouTubeなどを活用して自己アピールをするというのは一つの手です。

単に志望動機や自己アピールを述べる様子を撮影して、#転職希望 #自己アピールなどのハッシュタグをつけたツイートに動画を貼り付けるだけでも、十分にインパクトがあると思います。人は感情を動かされるとその内容と感情を脳に記憶する性質も持っているので、動画で目を引き付けることができれば間違いなく採用者側に強い印象を残すことができます。

動画編集能力は価値が高い

転職活動に動画を取り入れるのは、確かにチャレンジではあるかもしれません。転職を希望していることが現在の会社に知られるとまずいという人がほとんどでしょうから、動画やSNSの利用を躊躇ちゅうちょしてしまうのではないかと思います。でも、発信する動画は転職にまつわることでなくても良いのです。内容は今の仕事のことでも趣味のことでも何でもOK。

SNSに何かを投稿する際は、積極的に動画を張り付けるようにしましょう。あなたが動画に興味を持っていることや動画編集スキルがあること、SNSのリテラシーが高いことを見た人にさりげなく伝えることができるからです。

今やどこの企業も効果的なマーケティングには動画が欠かせないことを理解しているので、動画に関する知識や技術を持っている人材は今後ニーズが高まっていきます。もしAdobeなどの編集ソフトを使ってYouTubeに投稿できるくらいの動画編集のスキルがあるのなら、その分野での転職を目指すのもいいかもしれません。

直接の転職にはつながらなくても、副業で声がかかることも大いにあると思います。特にIT系の企業やベンチャー企業などは、動画に馴染なじみがあり、動画編集に興味を持っている人材を求めているので、自分のSNSがそういった企業の目に留まればいろいろな可能性が広がっていくでしょう。

面接対策にもなる

また、動画を撮ること自体、面接対策としても効果的です。面接のシーンを想定して、自己PRや志望動機を話すところを自分で撮影してみましょう。動画にすることで自分を客観的に見ることができるので、思わぬ癖や改善点が見つかるかもしれません。

スマホを壁などに簡単に取り付けたり、遠隔操作したりできるグッズもたくさん出回っています。それらを準備すれば、すぐにでも動画撮影を始めることができますよ。