節約に一生懸命になるあまり、返ってお金に嫌われてしまうという皮肉なことが起きることも。ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんが、いますぐやめたいお金の習慣を紹介します。

※本稿はAll Aboutモヤフォー研究所『すててもやめてもうまくいく』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/metamorworks)

お金に嫌われる習慣にさよなら

節約は何のためにしていますか?

「自分の好きなものを買うため」「家族で年に一回は旅行をするため」「子どもにやりたいことをさせてあげるため」など、節約って本来は、楽しい・嬉しいを得るために始めたはずですよね。それなのに、いつの間にか「とにかく節約しなきゃ」と、節約すること自体が目的となっていないでしょうか?

実はこうした「節約、節約」と、安さばかりを追い求める行動は、お金に嫌われてしまう行動です。例えば

1.常に底値をチェックして買い物
2.クーポンがないところでは買わない
3.衝動買いはしないと自分に課している

1円でも安くなるように、使わないようにと損得勘定ばかり考える人はお金に嫌われてしまいます。誰だってお金に好かれたいですよね。そのために、今当てはまる行動をしていたならば迷わず捨てて、お金に好かれる行動を身につけていきましょう。

節約対象は2パターンにしぼる

お金に好かれるには、先ほどの行動を全て逆にし、こういう行動をしてみてください。

1.最安値を比較して買うことをやめる

最安値を比較しだすと、物を選ぶ際には「安いかどうか」が重要視され、自分が本当に欲しいものを見失うことになります。

つまり、自分の価値観が失われる危険性があるのです。

店舗での買い物でもそうですが、ネットでの買い物でも、「送料込みでどちらが安いだろう」と10円20円の差を比較しつづけたりして、時間が過ぎ去るのはなんとももったいない。

育児もがんばっているワーママにとって、10分20分の時間も貴重ですよね。

ただし、比較を全くしない、というわけではないのです。「あれもこれも比較」はやめて、「比較して節約するものはあらかじめ決めておく」という方法をおすすめします。

その判断基準は「買う頻度の高い物」「金額が大きな物」の2点。

例えば、毎日牛乳を1本飲む家庭であれば、同じ銘柄の牛乳が158円と198円で売っている場合、安いほうを選ぶと、1年で差額40円×365日=1万4600円という大きな金額の節約になります。

ところが買う頻度が月1回の柔軟剤は、100円安く買えるものを選んだとしても100円×12回=1200円の節約にしかなりません。

それなら、安い店をはしごする時間や体力を他にまわそう、と考えることもできます。まずは自分の家庭の購入頻度が高い物を節約対象にしましょう。

大きな買い物に潜む落とし穴

次に、年に一回の買い物だとしても、大きな金額の買い物の場合は節約を考えてみることをおすすめします。大きい額の買い物をする際に陥るのが、「10万円も12万円も変わらないというような感覚になってしまうこと」。

感覚が麻痺してしまうので、店員さんのアドバイスに乗せられて高いほうを買ってしまうことになりがち……。でも10万円と12万円では、当然ですが2万円の差で、それを日々の節約で埋めていくのは結構大変です。よく考えて判断しましょう。

欲しいものに出合ったら迷わずに買う

2.クーポンに振り回された買い物をしない

最近は紙のクーポンだけでなく、スマホ画面を見せると割引になるなど、何かしらクーポンサービスをしている店も増えてきました。ただし、「クーポンがあるからここで買うか」ではなく、「たまたま行きたかったお店、買いたかったものにクーポンがあって嬉しい」くらいの気持ちでいることが大切です。クーポンありきの買い物になると、結果的には満足のいく買い物にならずにストレスが溜まるからです。クーポンはあくまで「あればラッキー」という存在に。ポジティブな発想はお金に好かれる人を作ります。

3.「衝動買いはダメ」をやめる

「え? 本当に?」と思われた方。本当です。節約するには「衝動買いをやめる」は必須だと言われます。確かに欲しいものを手あたり次第に衝動買いしてしまっては、お金はなくなってしまいます。そのような衝動買いはおすすめしません。ここでいう衝動買いとは、「欲しいものに出合った際には迷わずに買う」という満足度の非常に高い買い物方法です。

いい判断をするためには、欲しいものをリストアップしておくことが必要。欲しいものリストが出来ると、お金を使う優先順位がおのずと決まっていくんです。大事なものから買うようになるため、同じお金を使うとしても満足感が高まりストレスが軽減します。

All Aboutモヤフォー研究所『すててもやめてもうまくいく』(WAVE出版)

結果的に余計な買い物を防ぐことにもなって節約になる好循環が生まれるわけです。

衝動買いで自己嫌悪に陥るとしたら、本当は欲しくないのについ買ってしまった時。

たとえ「衝動買いをしてしまった」と思っても、それが自分の本当に欲しいものだとわかっていれば「欲しかったんだから、まあいいか」と嬉しい気持ちになるもの。

自分の価値観がはっきりしていると、お金をプラス方向に動かしていくことができますよ。

欲しい物リスト作りは、節約にも満足度の高い買い物にも、大いに役に立ってくれるでしょう。

リストを見るとその人の価値観がわかるので、夫婦で見せ合うと、お互いをより理解していく機会となります。このリストが夫婦間のお金の話題をポジティブなものにするきっかになれば嬉しいです。

お金に好かれる人の行動の根底にあるのは「自分の価値観に沿った選択をして楽しく過ごす」というマインドです。「安いから」「サービスがあるから」に惑わされず、自分が何に価値を見出しているのかを大切にしましょう。

自分の価値観に沿って楽しく生きていける人が、お金に好かれる人なのです。