1日でも早く入社できる人ほど印象がいい
転職活動中、面接の場で必ず確認されるのが、“入社時期”。なんとなく答えておいて、内定をもらってから真剣に考えればいいと思っていると、内定はどんどん遠退いてしまいます。そもそも、入社時期については転職者側と企業側との間にズレがあることが多いのです。
転職をするなら年度初めの4月や、下半期が始まる10月の頭がよいのではないかと思いませんか? 組織改編や決算時期などを考えると、区切りがよいタイミングで入社するのが企業側にとっても好都合のようにも思えます。また、優秀で引く手数多な人ほど、今の仕事に区切りがつくまで入社を待ってもらえるのではないかと考えてしまうかもしれません。しかし、答えはNO。企業側からすると、入社は早ければ早いほうがよいのです。
企業側が求人を出して人材を探しているのは、それはつまり人手が足りていないということ。募集の理由は退職および異動者の補充、事業拡大などさまざまですが、早め早めで採用活動を行うことは、ほとんどありません。1日でも早く入社できる人ほど企業側の印象はよくなることは確か。逆にどんなに魅力的な人材でも、「入社は3~4カ月後くらいになりそうです」などとのんびりしたことを言っていると、「それなら他を探そうか」となってしまいます。
面接で入社時期を聞かれたときの最良の回答
では、面接で入社時期を聞かれた際、どう答えるのがよいのでしょうか。離職せずに転職活動をしている場合、引き継ぎのことなどを考えると明言はしづらいかもしれませんが、僕は「内定をいただいてから1カ月後には入社したい」と回答するのがベストだと思っています。一般的に内定から入社までのリミットは45日だといわれています。企業側からすれば、内定を辞退されてしまうのが一番困る。できるだけ早く、そして確実に入社してくれる人のほうがリスクは少なくなるわけです。だから、入社が2カ月以上先になるとすると「遅すぎる」という印象を持たれてしまいます。
転職者の中にはすでに離職をしていて、中には「明日から来てほしい」という要望にも対応できる人もいるかもしれません。そのようなライバルに勝つには、「すぐにでも入社したいと思っている」という姿勢をはっきりと示すことがとても重要になってきます。
会社が辞めさせてくれないトラブル増加中
とはいえ、今勤めている会社に何も話をしていない場合、約束した期日までに本当に退職できるのか不安になりますよね。会社の規模が大きかったり、重要なポストに就いていたりすると、引き継ぎや退職の手続きにも時間がかかってしまいそうです。さらに、優秀であればあるほど、慰留される可能性も大いにあるでしょう。「退職するにしてもあと半年待ってほしい」とか好条件を提示されて、引き延ばしに合うことが十分に考えられます。
また、今は社会全体が人手不足なので、どこの会社も自社の人材を他社に取られたくないと躍起になっています。「退職を希望する日の1~2カ月以上前に申し出るように」という就業規則を定めている会社が多いにも関わらず、最近では「退職を申し入れても会社が辞めされてくれない」というトラブルも増えているようです。
しかし、憲法では「職業選択の自由」が保障されているように、辞める権利も強く保護されています。正社員の場合、法律上では遅くとも2週間前までに申し出をすれば退職ができるのです。付け加えると、それは企業側が合意しない時の話。極端なことを言えば、企業側が合意さえすれば、今日にだって会社を辞めることはできるのです。転職はあくまでも個人の自由。転職を決めたのであれば、強い決意を持って退職の手続きを進めていきましょう。
円満退職のコツ
2週間前までに申し出れば会社を辞めることはできますが、円満退職のためには、やはりできる限りは今現在勤めている会社のルールを守るようにした方がよいでしょう。退職希望日の1カ月前までには、退職の意思を会社に伝えてください。上司に話をする時に注意しなくてはならないのが、相談ではなくあくまでも報告をするということ。相談というスタンスだと、上司に引き止めの機会を与えてしまいます。上司の仕事を増やさないためにも、何を言われても意思は変わらないということを最初に伝えておくべきです。また、不平や不満を言わず、退職はあくまでも個人的な理由であって上司の責任ではないという配慮を欠かさないことが、スムーズな退職へとつながります。
それでも、いろいろな事情で思うように退職の手続きが進まない可能性もあります。転職先と今の会社との間に挟まれ、身動きが取れなくなってしまうこともあるかもしれません。そんな時は7:3を基準に行動してください。円満退職のためには今の会社のことも無視するわけにはいきませんが、優先させるのはあくまでも転職先。すべての引き継ぎを1カ月以内に終え、内定から45日以内には転職先に移れるように努力しましょう。