仕事の疲れを癒す「大人の女のバー案内」。お酒好きのライターがさまざまなバーを彷徨いながら、女性におすすめしたいバーといただいたお酒をご紹介。第5回は、銀座のホテルバーの楽しみ方をお伝えします。

スイーツも、カクテルも。女性にうれしいバーとは

仕事柄、銀座での打ち合わせや発表会が多い。今日も、銀座での取材の帰り道、ふと足を伸ばしたのは、2018年1月に開業したばかりのホテル「ハイアット セントリック 銀座 東京」。並木通りのほぼ中央に位置する、ライフスタイルホテルだ。カルティエやルイ・ヴィトンなどのハイブランドが軒を連ねる通りに面してエントランスがある。ここがホテルの入り口だと知らずにいると、一歩足を踏み入れるのは少々ハードルが高い。こぢんまりとした1Fエントランス内には、コンシェルジュカウンターとエレベータ二基のドア。そして小さな革のベンチがひとつ。

エレベータで3F「NAMIKI667 Bar & Lounge」へと上がる。ドアが開くと目の前には、全長7mのシックな木のカウンターと、周囲にはテーブル席、通りに面したガラス窓の奥にはテラス席が広がる。

「いらっしゃいませ」

若い男性スタッフたちが明るく声をかけてくれる。まるでカフェのような雰囲気で、女性でも気兼ねなく利用できるのがうれしい。ソファ席やハイチェアテーブルなど好きな席を選べるが、今日はバーカウンターをチョイス。

10月といっても、17:00台はまだ薄暮。窓の外の光はほのかに明るい。

「何に致しましょう?」

ヘッドバーテンダーの西村和也さんが声を掛けてくれる。

「お勧めのカクテルは何ですか?」とメニューに目を通す前に尋ねると、このバーのシグネチャーでもある、日本の素材を使ったジャパニーズカクテルをお勧めされる。日本生まれのジン「六(ROKU)」をベースに、甘酒、シソを使ったものと、ラムベースに黒ごまを使ったオリジナルカクテルが人気だという。それならばと、甘さ控えめの「紫蘇スマッシュ」をオーダーする。

グラスを傾けるとさわやかなシソの香りが鼻をかすめる。クラッシュアイスで冷やされたピンク色の液体は、確かなジンの味わいがするが、のどが渇いていたのと飲み口の柔らかさでクイクイとついピッチが上がる。

「紫蘇スマッシュ」。日本生まれのジン「六(ROKU)」に、クランベリージュース、フレッシュライム、シロップ、トッピングに青ジソを添えた、ほのかなピンクが女性らしいさわやかなカクテルだ。1400円(サービス料・税別)

ヘッドバーテンダーとはいえ、西村さんご自身は30歳と若い。聞けば都内の有名ホテルのバーで修行を重ね、NAMIKI667のオープンとともにヘッドバーテンダーを任されたのだと言う。

「このバー&ラウンジのスタッフは、20代が中心。銀座という歴史のある街の良さを生かしながら、もっと気軽に親しんでもらえるバーをめざしているんです」

やさしい笑顔と口調に、西村さんとの会話を楽しみに訪れる女性ファンも多いようだ。

バーテンダーを独り占めするのはタブー。大人女性ならではの気配りとは

お酒の酔いが回るに連れ饒舌になる女性も多い。バーでは、ひとりでベラベラと、しかも大声でしゃべらないのがマナーだ。特に、バーテンダーを独り占めしてしゃべり続けるのは暗黙のタブー。マナー違反の振る舞いに周囲の客が眉をひそめるのを感じ取れないような女性には決してならないようしたい。

「私たちのバーでは、明確なNGは設けていません。お客様から『独り占めしたい』と思っていただけるのは大変光栄なことです。スタッフはプロですから、プロならではの対応で楽しんでいただけるように努めますので、ご安心ください」

バーではひとり静かに飲みたいという客もいる。意識しなくても周囲の気配を感じ取れるような女性になれれば、一人前のバーマスターと言える。

時折、このロケーションの歴史や、店名の「667」の意味を訪ねたりしながら1杯目を飲み終える。

何気なくメニューを眺めていると、17:00~19:00のハッピーアワーメニューに「アペロール スプリッツ」の文字を発見! これまで訪れた数あるバーの中にもこの「アペロール」を置いている店はほんの一握り。日本ではそれほどマイナーなリキュールでもある。

「アペロールがあるなんて、珍しいですね」と西村さんに尋ねると、ヨーロッパからの訪日客が多いこと、さらにヨーロッパで味わい、虜になった日本人客のためにメニューに入れているのだと言う。

久々に飲みたくなり、2杯目は「アペロール スプリッツ」をオーダーする。グラスに広がるさわやかなオレンジ色、スパークリングワインにプラスされるほのかな苦み。懐かしさとともに脳裏にヨーロッパの思い出が蘇る。

「アペロール スプリッツ」ハーブリキュール「アペロール」に、スパークリングワインをプラス。ヨーロッパでは食前・食中酒としてポピュラーなカクテルだ。1200円(サービス料・税別)※ハッピーアワーの17:00~19:00は600円(サービス料・税別)

新聞の活字を模した壁やインテリアを話題に会話も

バーでの会話に悩むという女性も多い。もちろん、バーでは必ずしもバーテンダーや周囲の人と会話しなければいけないことはない。それでも、少し話すことで、よりバーで過ごす時間が楽しくなるのは間違いない。話題に困ったときは、その土地の歴史や目に入る調度品を話題にすればいいだろう。特にこの「NAMIKI667 Bar & Lounge」には、ネタがそこかしこにある。実はハイアット セントリック 銀座 東京が建つのは、新聞社の東京創業の跡地。新聞にちなんで、バー&ラウンジの至る所に活版をイメージした文字や、新聞のカラー印刷の色が散りばめられている。

また、季節に合わせた室内装飾も話題にしやすい。今の季節は、秋の装いとハロウィンにちなんだメニューで迎えてくれる。お酒が苦手な女性なら、カフェのようにスイーツで楽しめる。ハロウィンスイーツ&カクテルは、インスタ映え間違いなしだ。

「オーセンティックバーでは撮影禁止のところもありますが、ここでは、どんどん撮影していただきたい。五感で味わい、インスタなどで、楽しい発見や体験をシェアしたり、楽しかった記憶をとどめてほしいですね」

とはいえ、いきなり携帯を取り出し、パシャパシャ撮影するのは大人としていただけない。「撮影してもいいですか?」とひと言確認するのが、大人のレディのマナーだ。

どんなバーでも、大声を出さない、酔いつぶれない、携帯を使い続けないなど、最低限のマナーを心得ておきたい。周囲の人に迷惑にならない行為はバーに限らず身につけておくのがスマートな大人と言える。

カクテル3杯、締めて4554円(サービス料・税込)。親しみやすい空間で女性でも利用しやすい銀座のバーだった。

「Bloody Needle Eyes」ウォッカとトマトジュースを使用した定番カクテルがハロウィン仕様に! リアルな目玉ゼリーと糸唐辛子で味も視覚も刺激的。1600円(サービス料・税別)※10/18(金)~31(木)17:30~23:30までの期間限定提供。

お酒はもちろん、食事、スイーツ&カフェも楽しめる、ホテル内のバー&ラウンジ。女性ひとりでも利用しやすいのがうれしい。

カウンター:44席/ラウンジシーティング:22席/テラス:12席

「NAMIKI667 Bar & Lounge」

東京都中央区銀座6‐6‐7 ハイアット セントリック 銀座 東京 3F
TEL=03‐6837‐1300
営業時間=11:00~24:00
※17:00~19:00はハッピーアワーを開催。カクテルやビール、グラスワインなどを一律600円で楽しめる。

※飲食代金のほか、サービス料15%と消費税10%が別途かかります。