情報があふれているなか、どう取捨選択し、自分のものにすればよいか。そんな悩みにこたえるべく、“負けなし”の賢者が実践する方法を紹介。

当たり前のことを続けた人にチャンスがくる

株式投資スクール講師 藤川里絵さん

「9年間損益なし」を看板にしている私ですが、大事にしているのは「負けない」こと。借金をしたり、レバレッジをかけたりして1年で何億円というのではなく、コツコツと運用して月収の20%を狙う。これなら大事故に遭うこともありませんし、それを10年、20年、30年と続けていたら、資産が10倍になっても不思議ではありません。

株式投資にはセンスや才能が必要と思われがちですが、投資で利益を出している人は情報をきちんとつかんでいる人です。しかも、ただ情報を集めて終わりではなく、メモをとるなり、一次情報に当たるなりして必ず自分なりに精査する。自分のフィルターを通して、情報を分析しています。

情報収集のコツは、特別な何かをするのではなく、日常の中で習慣化していくのがいちばん。資産を築いている人は、特別なことをしているわけではなく、例えばイチロー元選手のように、当たり前のことをコツコツと継続しています。でも当たり前のことを続けることは、誰にでもできることではありません。だからこそコツコツ続けた人のところにチャンスがくるのでしょうね。

▼毎日、毎月、毎年……お金の情報を集めるなら

ちょっと意識を変えるだけで、いつでもどこでも経済情報は手に入ります。習慣にしてしまえばラクチン♪

朝も夜もテレビをつけるなら、経済ニュース

株を始めた当初から、ずっと続けて見ているのが、テレビ東京系列の「ワールドビジネスサテライト」と「Newsモーニングサテライト」。きちんと座ってではなく、家事などをしながら見ています。毎日見ることでリアルタイムで世界経済全体の動きがわかりますし、経済用語にもなじみが出てきます。月額500円(税別)払って、インターネットでいつでも見られる「テレビ東京ビジネスオンデマンド」に加入すれば、すき間時間にもチェックできて便利です。何かを学ぶというより、ワイドショーを見るならこっち、という気軽さでぜひ。

“ニッケイ”は新聞と電子版、両方見る

日本経済新聞で情報を得るなら、紙版と電子版の両方がおすすめ。電子版だけだと、興味のある記事しか読まないので、どうしても情報が偏りがち。一方、紙版なら大事なものは大きく、そうでないものは小さく扱われるので、興味のないものもすべて自然と目に入ってきます。投資で大切なのは好奇心ですから、自分で選ばない情報をとることは大切です。一方、電子版は記事をストックしておくことができたり、経済用語の解説といった機能もあるので、両方使いこなせると◎。

日中は、ラジオNIKKEIを聞き流そう

私がここ最近、毎日聞いているのが「ラジオNIKKEI第1」。今の相場をずっと流していて、それについてアナリストや記者など専門家があれこれ意見を交わしています。この専門家の方たちも個性があって、なかなか面白い。顔が見えないだけに、キャラクターに愛着がわいてくるんです(笑)。相場が終わったら、その日に上がった銘柄とその理由などの振り返りをしてくれるので、一日の動きが自然と把握できます。気になるニュースは、メモしたりその場で調べたり、自分なりに深めています。

株に関係ないツイッターで、流行りものをチェック!

SNSはツイッターがメインですが、私がチェックしているのは、いわゆるカリスマ投資家ではなく、むしろ株に関係ない人の情報。どこそこの店がおいしいとか、このゲームが楽しいとか、流行りものを知ることが多いですね。その中でよく見る店があれば、ネットで調べたり、実際に足を運んでみたりします。もし持っている銘柄で「店員のサービスが悪い」「味が落ちた」など、ネガティブなつぶやきが多くなったら、その銘柄は売りますし、新たに買おうとも思いません。市井の人の意見は、かなり参考にしています。

『会社四季報』は、続けて読むから意味がある!

投資家必読の書である『会社四季報』は、ぜひ定期購読を。1冊だけ読んで「この会社がいい」と思っても、その号で初めていいのか、前号から引き続いていいのかがわかりません。続けて読むことで、株の上げ下げといった変化がわかりますし、その業界の浮き沈みも感じられます。まずチェックすべきは、チャートと業績欄。記事欄も読み物として面白い。発売日前日に送られてくるのも、定期購読の利点です。私は到着した当日に、ひと通り目を通して、翌日に何銘柄か買うのが習慣になっています。

IRフェスタやIRフェアに、足を運んでみる

個別株投資をするなら、年に数回、大規模に催される「東証IRフェスタ」や「日経IR・個人投資家フェア」に行ってみてはいかがでしょう。申し込みさえすれば、招待状は誰でももらえます。ふだん、ほとんどふれることのないBtoBの会社が出展しているので、見たことのないものを見られますし、自分の知らない業界のことをIR担当者に直接質問できます。あらかじめ出展している会社をチェックし、興味のあるものを、ある程度ピックアップして回ると効率的です。行くだけでもらえる、いろいろなお土産も楽しみ。