歴史マニア・武将好き女子に人気の高い「関ケ原の戦い」。その天下分け目の合戦の舞台となったのが、日本の真ん中に位置する岐阜県・関ケ原だ。岐阜で、日本の歴史の分岐点を体感する旅を!

日本史上にもっとも深く刻まれた1日を体感!

1600(慶長5)年9月15日。近世日本への分岐点となる戦いがあった。誰もが知っている「関ケ原の戦い」がそれだ。

今回、日本の歴史を体感しようと訪れたのは、岐阜県・関ケ原町。岐阜県は日本列島の真ん中に位置し、富山、長野、愛知、滋賀、石川、福井、三重の各県に隣接。「日本のへそ」とも呼ばれ、さまざまな日本の文化の東西分岐点としても知られている。

岐阜県の中でも、とくに関ケ原は「壬申の乱」「関ケ原の戦い」と、日本の重要な歴史に彩られた町でもあり、歴史好きならぜひ一度は訪れたい町だ。

東京から新幹線(名古屋経由)とJR東海道線を乗り継ぎ約3時間。関ヶ原駅を降り立つと、戦国ムードを盛り立てる案内標識や武将たちの看板が目に飛び込んでくる。

決戦の地を探訪する際、荷物が多いとかなり苦労する。そんなときは、駅前の観光交流館にあるコインロッカーへ預けるのが正解。ロッカー扉には、武将たちの家紋が描かれているだけでなく、兵力関係でロッカーの大きさが違うのもおもしろく、どれを使おうかと迷ってしまうほど。

また、関ケ原は、10万を超える兵が集結した「古戦場」の跡地であるから、徒歩で巡ると移動だけで2~3時間は必要。観光交流館には、レンタサイクルがあるので、利用するのがオススメだ。

「関ケ原駅前観光交流館」

レンタサイクル●電動/1000円(半日:4時間)、2000円(1日)

普通/500円(半日:4時間)、1000円(1日)
営業時間/9:00~17:00
定休日/4~10月は無休、11~3月は火曜日(祝日の場合は翌水曜休)※12月29日~1月3日は休館

石田三成、徳川家康、小早川秀秋、島津義弘、大谷吉継、福島正則、黒田長政の7武将にちなんだウオーキングコースもある。好きなガイドブックを手にして出発しよう。

特に女性に人気の武将は、ロン毛の兜が特徴の石田三成のよう。

イラスト化されたキャラクターはかなりのイケメン! これが本当の姿であれば、いつの時代でもすぐにフォーリンラブだ(笑)。

こうしたイケメン化された武将たちが、武将好き、歴史好き女子の急増を後押ししているのだろう。

関ケ原観光Web http://www.kanko-sekigahara.jp/

合戦背景を復習して回ると、より感情移入できる

では、まず歴史をおさらいしよう。

戦国の世を平定した豊臣秀吉の死後、天下を狙う徳川家康率いる「東軍」と、豊臣家に忠誠を誓う石田三成率いる「西軍」の戦いが、「関ケ原の戦い」。新時代への幕開けとなった戦いだ。

では、なぜ関ケ原だったのか?

関ケ原の「関」とは、通行人を取り締まる「関所」を意味する。関ケ原には、古くから関所が置かれ、中山道などの街道の分岐点であり、交通の要衝。この関ケ原を押さえることは、戦略的にもとても意味があったよう。

関ケ原は周囲を小高い山々に囲まれ、仮に石田三成率いる西軍がこの一帯を制圧すれば、徳川家康率いる東軍は、京都や大坂へ進軍できなくなるからだ。

地理的にも軍勢の数でも有利だったはずの「西軍」なのに、なぜたった6時間あまりで「東軍」に敗れることになったのか……。

その背景を知るためにも、最初に訪れたいのが、「関ケ原町歴史民俗資料館」(現在、隣地に5階建ての「岐阜関ケ原古戦場記念館」を建設中で、2020年夏に完成予定)。

1Fには、教科書でも目にしたことのある、「関ケ原合戦図屏風」が展示されている。各武将率いる軍勢の動きが臨場感あふれる詳細な絵により、手に取るようにわかる。

じっくりと「関ケ原の戦い」の背景を学んだあとは、2Fへ。関ケ原とともに、世界三大古戦場といわれる、ナポレオン最後の戦いの地、ベルギーの「ワーテルロー」、アメリカの南北戦争の最大激戦地「ゲティスバーグ」にゆかりの展示も見られるから、合戦好きはぜひ見学を。

「関ケ原町歴史民俗資料館」

入館料:大人350円
http://www.rekimin-sekigahara.jp/

資料館の目の前には、「徳川家康最後陣地」が広がる。

合戦当日の午前11時頃、家康は三成が陣取る笹尾山からわずか数百メートルのこの場所に陣を移し、心理的に三成を揺さぶったという。

攻略アプリ、甲冑体験で、さらに歴史を追体験しよう

こうした関ケ原の戦いを追体験できるように、完全攻略アプリも準備されている。

この戦いで活躍した7武将の陣跡27史跡では、当時を追体験する360°画像と、ガンダムのアムロ・レイの声でおなじみの声優・古屋徹氏がナレーションで戦況を解説してくれるから、臨場感もたっぷりで、より古戦場巡りを楽しくしてくれる(7武将の陣跡でのみ解説)。

また、のどかな田園風景が広がる古戦場跡には、各陣営ののぼり旗が立てられているので、遠くからでもどこにどの陣営がいたのかわかるようになっている。

7武将のコースは、もっとも長いもので約11km。自転車でも数時間はかかると覚悟しよう。

上が、家康の最後陣地。下が、決戦地。三成の陣地・笹尾山から眺める。

石田三成の陣跡は北国街道も押さえられる、標高198mの笹尾山にある。三成は、関ケ原を一望できるこの山に布陣。当初は善戦していたものの、次第に東軍に押し込まれ、眼前に陣地を移動させた家康の最後陣地を目にした気持ちはいかばかりかと、山の上から決戦地を見下ろしながら思いを馳せる。

笹尾山を下りたところには、「関ケ原笹尾山交流館」がある。ここでは戦国グッズや名産品の販売、観光案内のほか、甲冑着用体験もできる。最大3時間着用可能で、そのまま史跡巡りにも出かけられるというから、コスプレイヤーにはオススメ。仲間で各武将の甲冑を身につけて、合戦気分を楽しむのもいいだろう(写真は、プレミア甲冑着用)。甲冑体験をした人には、好きな武将の缶バッジを1個プレゼントしてくれる。

また、週末のみ館内で営業しているカフェでは、家紋を描いてくれる「家紋ラテ」も味わえる。

東京芸術大学修了後、東京から移住した店主が町おこしの一環としてコーヒースタンドをオープン。コーヒーは、関ケ原オリジナルブレンドで、家紋を入れてくれる「家紋ラテ」(300円)「宇治抹茶ラテ」(500円)が人気(いずれもホット・アイスあり)。※ラテアートは、戦国武将の家紋(19種)のほか、石田三成、徳川家康の顔アートもあり。

「関ケ原笹尾山交流館」

甲冑体験●プレミア甲冑:5000円(税別)※甲冑のグレードにより1000円(税別)から体験可
営業時間/9:30~17:00(平日は10:00~)
定休日/火曜日(祝日の場合は、翌水曜休み)※夏期は無休期間あり。12月29日~1月3日は休館
TEL/0584-48-1600
「関ケ原Coffee Stand」
営業日/土日祝
営業時間/9:30~17:00

駅前の観光交流館、笹尾山交流館などには、お土産品も充実している。合戦の勝敗を左右した小早川秀秋の裏切りにちなんだ、「裏切りスナック」「裏切りサイダー」や、武将の家紋をあしらったせんべいやハチミツ、文房具などが揃っている。関ケ原の記念にぜひ手に入れて帰りたい。