瀬戸内国際芸術祭
目が覚めるような青くどこまでも続く穏やかな海とともに、歴史や文化を育んできた瀬戸内の街や島々。新幹線で東京から岡山までは最速3時間9分で到着する。サイクリングが人気のこのエリアには、サイクルスペースのある観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」も走る。
今年は3年に1度の瀬戸内国際芸術祭の開催年。「海の復権」をテーマに瀬戸内海の12の島と高松港、宇野港周辺を舞台に、その地域の特徴にインスパイアされたアーティストの作品やイベントが展開されている。島への移動は、主にフェリー。あくせくせず、ゆったりと波に身を任せ、海風を感じ、地元の人々と交流しながら、アートの世界に浸って回りたい。今回の新作は、島に暮らす人にも来場者にも楽しめるお店を考えた「島の中の小さなお店」プロジェクト(女木島(めぎじま))や、古い漁船と家具を組み合わせた作品などで航海を計画するシャン・ヤン氏の「辿り着く向こう岸」(小豆島(しょうどしま))などだ。年々増える作品に、島めぐりもなおさら楽しい。
春(ふれあう春)4/26(金)~5/26(日)
夏(あつまる夏)7/19(金)~8/25(日)
秋(ひろがる秋)9/28(土)~11/4(月)
倉敷美観地区
瀬戸内の魅力は、個性あふれ、それぞれのストーリーを持った街めぐりにもある。今回訪れた岡山の倉敷は、江戸時代には幕府の直轄地「天領」であり、物資の集積地として栄えた街。
特に美観地区は、白壁にグレーの瓦屋根の蔵が並ぶ中心地に川が流れ、江戸時代にタイムスリップしたかのような美しい景観。おしゃれなショップや飲食店が上手に融合したエリアだ。日本最初の西洋美術館である「大原美術館」や、大原家の歴史を現代アート風に展示した「語らい座 大原本邸」で、景観と一体となったアートを楽しみ、土地に伝わってきた手ぬぐいやだるまの絵付けなどを体験し、特産のフルーツをふんだんに使ったパフェに舌鼓をうつ。一人でも友人や家族と一緒でも、それぞれの楽しみ方ができる柔らかな時間が流れている。
せっかく瀬戸内海に来たのだから、本州と四国、そして島々を結ぶ瀬戸大橋を上からも下からも眺めてみよう。本州側、倉敷市の児島地域にある鷲羽山(わしゅうざん)に登ると、瀬戸大橋を上から見下ろすことができて圧巻だ。さらに、児島観光港から出ている観光船に乗ると、巨大な橋の下を、船でくぐりながらじっくりと見ることができる。島の人々の暮らしや、橋ができるまでの逸話を聞けば、一夜ではなし得なかった深い歴史に思いをはせるだろう。
自然と共存してきた文化、歴史をアートやあたたかな地元の人々との交流を通して感じられる瀬戸内に、ぜひ足を運んでみては。
だるま絵付け体験
手ぬぐいカスタマイズ
おみやげに♪
※掲載の価格は、すべて税込みです。
Text=岩辺みどり Photograph=工藤朋子