自分の夢に向けて、資金づくりをスタート

HITO.CO社長 青柳仁子(あおやぎ・ひとこ)さん

青柳仁子さんは筑波大学在学中に、ODA(政府開発援助)などに興味を持ち、アジアへバックパッカーの旅に出た。そのとき、タイの貧困層の過酷な生活を目の当たりにし、途上国へ地道な支援をするボランティア団体をつくりたいと夢を抱く。

20年以上続ける毎朝のエクササイズでスタイルを維持。

「そのためには資金や人脈などが不可欠。将来は起業し自分で現実的なものにしたいと考えたんです」

30歳で起業することを目標とし、大学院卒業後に経営を学ぶため、大手経営コンサルティング会社へ就職。新入社員に課せられたファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得は、後に起業する際の大きな財産に。29歳で大手外資系生命保険会社にヘッドハントされ、営業職に就くと短期間で営業トップとなり、社長杯入賞の実績を上げた。

「夢や起業までの道のりを考えると、人と同じことをしていてもダメだし、スピード感が必要です」

そして31歳で、資産運用などの経営コンサルティング業務を柱にした「HITO.CO」を設立する。

「知識がないまま投資をし、深刻な損失を出しているお客さまが多くいらして。日本は経済大国でも投資教育をせず、お金の話は“品がない”という風潮。しかも女性は男性より学ぶ場が少ない現状があったのです」

経済的な安心がゆらぐ日本で、こうした現状を放置していいのか。そこで青柳さんは、“親が心配したほどの勉強好き(笑)”という自身の性格を活かし「投資について、私が学んだことを初心者の方でもわかりやすく教えられたら」と奮起。4年後に「投資スクール ブルーストーンアカデミー」の開講を実現した。

「投資はハイリターンなものに目が行きがちですが、それが失敗のもと。私のスクールでは25年先までのライフプランを作り、人生の目標や夢を明確にします。すると、どんな投資が自分に合うのかもわかるんです」

投資のルールを基礎から学べ、約1カ月で実践力が身に付くカリキュラム。“数字が苦手な女性も理解できるよう”に心掛けた授業や教材は、幅広い年代の女性に支持されている。

すぐに学べる短期講習がスクールの目玉に

開講以来1600人以上の生徒に投資法を教えた。

(写真上)専門的な解説だけでなく、数字が苦手な女性のために「大根1本○○円が……」などわかりやすくする工夫も。(同下)会社設立時に生徒のために手作りした講座用テキスト。「モノに執着しませんが、これは私の原点です」

「ここまで来られたのも生徒さんはもちろん、経営パートナーの仲村さんがいてくれたからこそ」と、青柳さんが語る事務局の仲村寿子さんは、投資とは無縁の飲食業界出身者。共通の友人の紹介で知り合い、起業の価値観が合致。リーマンショックも協力し乗り越えた2人の会話からは、多彩な企画が誕生した。2018年は、前年に始まった3日間で学べる短期講習が大人気に。

「また月1回、“お茶会”風の勉強会を開き、私やベテラン生徒さんに直接相談できる場を設けています。投資のコミュニティーでお金について話せる仲間づくりをしていけたら」

そして投資を教え次世代につないでほしいという。投資の技術は“財産”だと。青柳さんにとっての起業は、将来ボランティア団体を設立するための土台づくりの通過点。だが、投資を教えれば教えるほどその重要性にも気づいた。夢の実現のための資産形成と、目前の業務へ情熱を注ぐ、それが今の青柳さんの“使命”だ。

【座右の銘】
「為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」(上杉鷹山)
【好きな映画】
『ドリームガールズ』/ビヨンセほか主演
【プライベートの野望】
ハワイと鎌倉に別荘購入。
【尊敬する人】
オードリー・ヘプバーン。
女優としてはもちろん、ボランティア活動に捧げた晩年の人生も尊敬する。