あなたの名前と顔が、印象に残らない理由
新年度を迎え、新しい環境に身を置く人、そしてそれを受け入れる人――。
「はじめまして」の機会が増えるこのシーズンは、無意識でもできてしまいそうな「いつものこと」を改めて見直すチャンスともいえます。
そこで今回お届けするのは、初対面のときに役立つ、大人のエレガンス・マナーです。ルール、という意味でのビジネスマナーなら入社してすぐに先輩や上司に習いますよね。管理職である皆さんはもちろん、すでに会得済みのことと思いますが、もう一段階上の、上質な働き方をしたいなら一度立ち止まって、ご自身の“ビジネス所作”を見直しましょう。同じことをしていても、好印象の人、あまり印象の良くない人、そして記憶にすら残らない人がいるのには、実は細かいけれど大きな理由があったんです。それは仕事を始めるうえで絶対に欠かせない、ある行動をする際の「目線」と、「意識の向きどころ」に原因があります。
名刺交換の時に忘れがちなアレ
ビジネスシーンで最初のコミュニケーションといえば、まずは名刺交換ですよね。受け渡しは両手でとか、差し出すときは相手より位置を低くとか、大抵の人はいわゆる儀礼的なマナーはバッチリ。もちろんそれが基本にできてこそのことなのですが、皆さん、ひとつ忘れていることがあります。それは、名刺交換をしたときに、相手の目を見ていない人のなんて多いこと! 皆さん手元に気をとられすぎて、本来の「挨拶を交わす」という目的を忘れがち。ひどい人は目線をずっと下げたままでなにやらブツブツ、名刺と会話しているようにも見えてしまうほど。
名刺交換は、まずは初めのご挨拶として、相手の顔と名前を一致させるべきためのもの。相手の顔をジーッと凝視する必要はないのです。けれど一度はきちんとアイコンタクトをとってこれから一緒に仕事をする立場の者同士、目線とともに「よろしくお願いします」という気持ちを届けましょう。
相手は敵ではありません。お互いがお互いの仕事、つまり社会に貢献するため、そして自身の使命を全うするために、協力し合う相手だということを忘れないこと。そんな相手への敬意は目に見えずとも伝わりますし、心を込めることで名刺とともに仕事への意気込みも交換することができます。
心のこもった名刺交換は、仕事の成果に繋がる
折れた名刺を渡さない、いただいた名刺は大切に扱う……これは当然のこと。基本ができたうえで、挨拶に“心を乗せる”ことを決して忘れずに。ここを意識するかしないかで、言動は寸分も違わないとしても、仕事の進行や結果に必ず差が生まれます。
管理職という立場上、何百回、何千回と繰り返してきた行為だからこそ、今一度自身のやり方を見直してみましょう。大人のエレガンス・マナーは細部に宿るものなのです。
会社員として勤務した後、女性誌の編集者を経て執筆家に。
現在ブログ「ANNE MAGAZINE」にて、
大人の女性に必要なファッション情報を発信するほか、
パーソナルスタイリングやセミナー等も開催。Facebook