まずは木下編集長から挨拶とプレゼン
14時に開場し、受付を済まされた方からテーブルにご案内。グループディスカッション用に6人ごと、12テーブルが用意されています。テーブルに1人2人と集まるたびに、早くも名刺交換する姿が。参加のきっかけを尋ねると、「他業種の人と知り合いになりたい」「新しい企画にゼロから参加してみたい」など、イベントへの期待を感じる回答が。なかには地方から、わざわざいらした方もいました。
14時30分、会場が参加者の方で埋めつくされたところで、いよいよイベントスタート。まずは木下明子編集長の挨拶とプレゼンから。
「本日は『PRESIDENT WOMAN Salon先行メンバー交流会』にお越しいただき、誠にありがとうございます。プレジデントウーマンサロンは情熱的にしなやかに働く女性リーダーをつくることを主目的としています。本日すでに経営者の方や管理職の方々がたくさん来てくださっていますが、これから皆さんといっしょに新しい時代にふさわしい女性リーダー像を築き、そこに一人でも多くの女性がたどり着けるような社会に向けて、編集部としても貢献できればと思っております」
プレゼンのテーマは2019年3月28日発売号『プレジデント ウーマン プレミア』の特集記事「平成『日本の女性活躍』30年史」。この記事を基に、平成の30年間、日本の女性活躍がどれぐらい進んだか、木下が振り返ります。参加者のお手元には、製作中の記事のカラーコピーが配布されています。
「この記事の取材協力をいただいたのは、男女雇用機会均等法や育児休業法の制定運動に関わった、日本労働組合総連合会の芳野友子副会長です。芳野副会長には平成を3つの時代に分けてお話いただきました。
1つ目の時代は、1992年頃から2004年頃。いわゆる失われた10年と言われる不景気の時代でしたが、男女雇用機会均等法をはじめ、育児休業法、男女共同参画社会基本法などが施行されて、女性活用には追い風が吹いていました。
2つ目は、2005年頃から2014年頃まで。2013年に第二次安倍内閣が発足し、アベノミクスが発動。戦略に女性進出が盛り込まれました。またセクハラなどの禁止事項が増え、女性の地位が向上した時代です。
2015年から直近10年が3つ目の時代。この10年は働く“機会の平等”から“結果の平等”を求められる時代となり、女性を取り巻く状況が見えにくくなってきました。男女平等に雇っても、女性に成長する機会を与えているか、管理職で女性を振り落とすような状況になっていないか、数値化できない問題の洗い出しが、これからの課題になってくると芳野さんはおっしゃっています」
資料で記事を振り返ったあとは、スライドで「世界男女格差指数ランキング」や「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」、『プレジデント ウーマン』創刊号のアンケートなどのデータを見ながら、世界的に日本の女性リーダーはワースト圏内であるものの、子どものいる管理職は仕事、プライベートともに満足度が高いことを解説しました。
プレゼンを基にグループディスカッションスタート
ここからは、いよいよテーブルごとにグループディスカッション。まず自身の職場の女性活躍の様子を振り返り、そのうえで女性リーダーを増やすために、どんなことができるかを具体的に話し合っていただきました。
早速、それぞれのテーブルで自己紹介が始まりました。職場の様子や悩みを話し合うなかで、笑い声や拍手が起こる場面もありました。
約30分経過後、グループごとにまとめた意見を12人の代表の方に発表していただきました。発表を集約すると、ポイントは「男性を巻き込む」「女性の意識を変える」「環境を整備する」の3つ。多くのチームが男女双方の問題として、とらえていたことがわかりました。ポイントごとに出てきた意見を紹介します。
(1)男性を巻き込む
「まず男性評価者に認めさせる。そこをクリアしないとリーダーになれません。男性評価者に認めてもらうには、まず信頼関係を築くこと。こういった女性のためのセミナーに男性評価者を引っ張り出してくることも大切だと思います」(Tさん)
「大事なのは上層部の意識改革です。男性を巻き込みながら、意識を変えていけるように、みんなですすめていくこと。また女性同士が結託して力を示すことと、それと同時に自分の能力を示せれば、何かあったときにチャンスが与えられやすいという話になりました」(Kさん)
「育休や産休の制度を男性が知らずに、女性一人が子育てしているところがあります。男性も情報をとっていく必要があるし、こういう会に入って考え方を変えていかなければいけない。そのためには、男女ともに仕事とプライベートが両立できる、休むことで昇進が遅れない新しいルールが必要なのでは」(Oさん)
(2)女性の意識改革
「管理職は『長時間労働で責任が重くて大変そう』というイメージが、女性管理職の登用を妨げているので、業務の効率化を図り、そのモデルを覆すことが必要。在宅勤務などフレキシブルな働き方も管理職が率先して行うとよいと思います」(Yさん)
「自ら手をあげてチャンスをつかむ、次世代のリーダーにチャンスを与える……、女性自身の意識改革にチャレンジする。チームのメンバーを前に出すサーバントリーダーシップだったり、時短で成果を出す自分なりのリーダーシップだったり、リーダーシップのスタイルに多様性があってもいい。こうした多様性を男性が受けてくれる環境も大切で、いっしょに動いていくことが大事です」(Mさん)
「まずはパートナーとのコミュニケーションが大切。自分たちがどんな生活をしていきたいのか、どういうキャリアを積みたいのか、そのためにどう子育てして、どう協力していけるかを話し合う。目的や優先準備を明確にしてコミュニケーションをとっていくことが、最初にすべきことではないでしょうか」(Nさん)
(3)環境を整備する
「ハードトレーニングを積むことは、必ず女性も経験したほうがいい。育児、出産でそういう時期を逃さないように、サポートプログラムが組織の中にあるといい。そういうなかで自分自身を発揮して、発信力を強化することが今の女性に必要です」(Nさん)
「柔軟な働き方ができる環境が必要。女性はライフステージに応じて長期間働けない時期があるので、雇用形態に関わらず働ける環境がふつうにあると、フリーランスでも社員でも活躍できる。そんな社会になればいいねと話しました」(Iさん)
「なんとかなる精神で常識をぶち壊せ」
さらに会場をわかせたのが「なんとかなる精神で常識をぶち壊せ」と一言であらわしてくれたTさんのテーブル。
「私自身、子持ち新卒で建設業界に飛び込んだけれど、やってみたらなんとかなった。前例がないこともやってみたら、何とかなったという明るいメッセージを広めていけたらいいと思います。実際に、この会社ではその後の男女比率が半々になったんです。また海外の人と交流することで、日本人の凝り固まった常識をぶち壊すことが大切なのではないかという話になりました」(Tさん)
発表終了後は、お茶と洋菓子をつまみながら、しばし歓談タイム。今度はテーブルをこえた名刺交換や連絡先交換、編集長との記念撮影など、会場はいっそう活気あふれるムードに。盛況のうちに、イベントは終了しました。
イベント終了後、参加者の方に感想を伺ってみました。
「みなさんの話を聞いてやる気がでました。バリキャリでなくても、上に立っている人もいるので、そういった働き方を参考にしたい」
「いろいろな年齢、業種、ポジションの方が集まっていたので、自分がふだん過ごしている世界とは違う考えや発想を学びました」
「30年の流れを身をもって感じた。ここで聞いた経験談を会社に持ち帰り、女性部下に伝えたい。こういったセミナーもすすめたい」
どなたもイベントを楽しまれたようで、編集部としてもひと安心。
4月からは月に一度、女性役員との交流会などの「PRESIDENT WOMAN Salon」を開催する予定です。これからもご期待ください。