多くの1億円プレイヤーたちと交流のある米国公認会計士の午堂登紀雄さんは、彼らに共通する習慣や思考パターンがあるといいます。連載第1回目はとくにお金の使い方について紹介。私たちも実践できるティップスがたくさんあります。

お金を使う軸を持っている

私は、投資コンサルティングなどの活動をするなかで、急激に成長していく年収1億円クラスの人たちと交流する機会が多いのですが、お会いするたび感嘆するのは、彼らの思考習慣、行動習慣の「非常識」さです。彼らには、お金持ちとなった理由があり、お金持ちであり続ける理由があります。そこで、そんな彼らに共通する習慣や思考パターンご紹介します。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/apichon_tee)

お金持ちは、何にお金を重点配分するかを知っています。それは、何にお金を使うべきか、何にはお金は使わないかの線引きが明確だという意味です。だから、財布の中にたくさんのお金があっても、預金がたくさんあっても、つい使ってしまうということはありません。

ではどういう軸を持っているかというと、もちろん人によって違うのですが、たとえば「人との関係を強化する」という軸があります。出会いをつくり、信頼関係を深めるため、飲食費に多く使う。人を招いて酒食をもてなすという行為は、多くのお金持ちに共通した傾向です。

資格より経験を広げることを重視する

あるいは自己投資。それは資格を取得するといった勉強よりも、経験を広げるための投資です。人に会うとか物事を直接自分の目で見て確認するため、お金持ちは概して移動距離が長い傾向があります。ある知人は自分の娘を海外のボーディングスクールに通わせるため、視察と称して1カ月の間にシンガポール、マレーシア、オーストラリア、イギリス、ベルギー、デンマークに飛び回っていました。

また、読書好きな人も多く見られます。自分にはない価値観・経験・知識を読書によって得て、自己内省に活用します。

そんな新しい価値観・経験・挑戦の獲得を通じて、様々なひらめき、チャンスが寄ってきます。

お金持ちになれない人の残念な習慣とは

逆に、お金持ちになれない人のなかには、ちょっとお金が貯まると、とたんに新車を買ったり家を建てたりする人がいますが、こういう人はすぐにお金がなくなります。なぜなら、自分のお金をどこに重点配分するかの軸がないからです。

軸がないので、お金が入ってくると気が大きくなって、何ごとにもまんべんなく贅沢をしようとします。そうして急速にお金がなくなる、ということが起こりやすくなります。一発当てた人でも、急に羽振りがよくなった人は、たいてい長続きしないものです。

また、軸がなければ、節約もやはりまんべんなく全方位に、というふうになりがちです。食費も衣服代も自己投資も関係なく削ろうとします。本も買うのではなく図書館で借ります。旅行や外食を控え、家と会社の往復だけ、という生活になりやすいのもこのタイプ。

だからなかなか人間関係も広がらず、自分にはない価値観の吸収や、新しいことへの挑戦といった経験値も高まりません。それは結果として収入増やチャンスの獲得から遠ざかる可能性があります。

価値を認めないものには1円も払わない

お金持ちはひとつの出費に対し、自分にとってどれほどの意味があるか、それを買って使い倒せるかどうか、コストとリターンのバランスは納得できるか、無意識のうちに考え判断しています。だからお金持ちは自分が価値を認めないものには1円たりとも払いません。

たとえば、人前に出る機会が多ければ、オーダーメードでスーツをつくるなど服装にお金をかける。そうでなければ、とてもお金持ちとは思えない地味な格好です。

名刺や封筒のクオリティが重要であれば、そこにお金をかける。そうでなければ名刺は100枚で1,000円くらいの安いものにして、封筒も問屋街でまとめて買った茶封筒にする、というふうに徹底しているのです。

これは私生活でも同じく、たとえばスマホを買う場合、それはいったい自分にどういうリターンをもたらしてくれるかを考えてみる。仮にスマホの使い方をノウハウとして売っている人は、生産性を左右するスマホの性能は重要なので、新型スマホに買い換えることは必要経費です。それがのちに収益をもたらしてくれるからです。

しかしそうしたものがなければ、新しいスマホに買い換えても使い勝手は快適にはなりますが、それで生活がどこかバージョンアップするわけではありません。だったらいまのスマホで十分という判断です。

納得できるまで価格交渉する徹底ぶり

また、彼らは物事の価値を比較する目を持っています。金額に見合った価値があるかどうかを見極めます。価値と価格が見合わないと感じたら、自分が納得できる金額まで交渉します。

そんな金持ちの振る舞いを見た一般人は、「金持ちはケチ」と感じてしまうというわけです。

お金が貯まらない人は、そんな価値基準を持っていないので、欲しいから買う、安いから買う、ついでだから買う、かわいいから買う、という行動を取りがちです。

だから使い倒せるかどうかもわからない健康器具を、深夜のテレビショッピングで衝動買いします。必要なものが入っているかどうかわからない福袋を、正月のデパートに行列をつくって買います。

お金持ちでなくても実践できること

そこで財布を開くとき、注文ボタンを押すとき、「それはいったい、自分にどういうリターンをもたらしてくれるか」という発想で買い物をするようにしてみましょう。

ただの自己満足か、それとも「自分を成長させてくれる出費」なのか。自分が楽しければいいのか、それとも「人とのつながりを広げ、深めてくれる出費」なのか。

そういうリターン思考でお金を使うようにすると、「欲しいモノ」への欲求が薄れ、「必要なモノ」にお金を使うようになります。