転機は「女子大生写真館」だった社外取締役も兼ねる経済キャスターの半生

「女子大生写真館」に出たことでフリーアナウンサーに

経済キャスターを長年務めてきましたが、実は私、数学が苦手なんです。でも、小学生の頃からそろばんを習っていたので、計算や勘定することは得意でした。その延長線で、将来は銀行員か税理士になろうと考えていたので、なんの迷いもなく経済学部に進学しました。

ところが、篠山紀信さんが撮影する「女子大生写真館」という企画に出たことがきっかけでいくつかの事務所から誘いを受け、フリーアナウンサーになりました。

経済キャスター・社外取締役 江連裕子さん

1年休学し、3年かけて大学院を卒業

ただ、フリーで仕事をしていくには、何か特化したものがないと生き残っていけないのではないかと。運動をやっていた人ならスポーツ担当、英語が得意だったら海外取材……と考えたときに思い浮かんだのが、好きな経済だったのです。

経済学部を出ている女性は少ないので、経済専門のキャスターならチャンスがあるんじゃないかなって。そこで、アナウンサーを志すと決めるとすぐに大学院を目指し、大学4年のときには院生と一緒に大学院の授業を受け始めました。入学と同時にTBS系の「ニュースバード」の仕事がスタート。掛け持ちは難しいかなとも思いましたが、1年休学して3年かけて卒業しました。

仕事との両立は想像以上に大変でしたが、経済キャスターになるには、大学院での勉強がどうしても必要と考えていたのです。実体経済はキャスターの仕事で身につけ、学術的なところは大学院できちんと学びたいと思いました。

グルメ杵屋、税務会計コンサルの社外取締役を務める

大学院修了後は税理士としての実務経験も積みたいと、税理士法人に勤務しました。その時のご縁と経験が結びついて、今はグルメ杵屋、財務会計コンサルのエスネットワークスの社外取締役を務めています。

テレビ東京系「Mプラス11」、経済専門チャンネル日経CNBCに加えて、海外取材も担当していた頃。写真はマーケットの本場、憧れのニューヨーク証券取引所でのリポートの様子。長年の夢をかなえたあとも、常に勉強の日々でした。

大学院では財政学を学び、キャスターとして東証に行けば株、税理士法人ではもっと複雑な税法と、その時々で習得しなくてはならないことが山のようにあり、悔しい思いもしました。でも、学校で勉強したことがインタビューに活きることもありますし、経営者にインタビューした経験や知識が社外取締役上の経営に関するガバナンスのチェックに役立っているので、学んできたことがつながって今があるのだと感じています。

女性は自分のキャリアについて悩むことが多いのではないでしょうか。こんなに努力して報われるのかなとか、今の会社にいて同じ仕事を続けていていいのかなとか。でも人生は巡り巡るので、今続けていることがいつかどこかで必ずつながると思います。そう、私の人生もいつも経済に助けられてきました。女性が苦手な経済という軸を武器にしてきたからこそ、いろいろなチャンスに恵まれたのだと思います。

経済は決して難しい分野ではない

これから経済を勉強したい人は、ぜひ経済番組を見てほしいです。おすすめは「Newsモーニングサテライト」「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」「がっちりマンデー!!」など。テレビならパックしたり、ストレッチをしたりしながら見られます。

忙しい平日はテレビを見る時間が取れないかもしれませんが、録画すれば週末にリラックスして見られますよね。経済は決して難しい分野ではないんですよ。意識していなくても生きている以上、全員が経済活動に参加しているんですから。

「この商品はなんで売れているのかな」と気になる

たとえば何か物を買うとすると、それをつくる人がいて、それを売る人がいて、その利益で会社が成り立っていて、そこでお給料をもらってまた買い物ができる。そういう視点で物事を見てみると、面白く思えてきませんか。

私はコンビニに行っても「この商品はなんで売れているのかな、これはどうやったら人が買おうとするのかな」などと、いろいろな物が気になってしまうんです。根っからの経済オタクなんですかね（笑）。

世の中はそうやって全部がつながっています。すべては経済に通じているんです。経済は人生のようなものかもしれません。