投資の基本は知りつつあえて無視。リスクを恐れずに積極的な投資で楽しみながらリターンを狙う。そんなお金大好き女子がひそかに実践している資産運用法を教えてもらいました。

長期視点の運用だから、投資のセオリーは無視

――お金大好き女子を代表して4人の方に集まっていただきました。まずは、みなさんがどんな投資をしているのか、教えていただけますか。

毎日500円、ワンコイン投資!●吉田さん(30代後半・金融業界)
不動産投資で毎月数万円のおこづかい●水沢さん(30代前半・IT業界)
株の利益で自宅をキャッシュ購入●新井さん(40代・フリーランス)
ブラジルレアルの失敗を豪ドルで挽回●八木さん(30代前半・金融業界)

【吉田】投資をするときって、株式と債券を組み合わせたり、国内と海外に分散したりするのがセオリーですが、私は一切、無視していますね。ほとんどがアクティブファンドですし、投資対象は新興国の株式が中心。新興国よりもさらに発展途上のフロンティア地域にも投資しています。私の場合、長期で見ているので目先の値上がりには興味がありません。人口ピラミッドを考えると、平均年齢が若い新興国のほうが20年、30年後の成長は大きいと思っています。基本は積み立てで、毎日500円とか、ワンコインでも投資ができるようになっているので便利です。

【水沢】私は投資を始めてまだ2年ほどです。2015年に転職して給料が下がったので危機感から始めました。iDeCoはすべて海外資産ですね。6割が先進国で4割が新興国。NISAでは主に株式を買っています。気になる会社の株式を買って、成長を見守るタイプの投資ですね。業種でいえばIT、化粧品、食品が多い感じ。すでに18年分のNISA枠は使い切ってしまったので、これからは課税口座を利用するしかないですね。仮想通貨にもチャレンジしましたが、コインチェックの事件で値下がりして塩漬けになっています。余裕資金で買っていますし、10年くらい経てば価格が戻ると思っているので、あまり気にしていませんけど。

【新井】私が投資を始めたのは2000年代初めです。ネット証券が出始めてパソコンで簡単に取引ができるようになったころです。フリーランスになったばかりで、たくさん仕事をいただけるのがうれしくて24時間休みなく仕事をしていました。それで収入が増えた分を株式投資に回していきました。当時はITバブルの真っただ中で相場が良かったこともありますが、お金がどんどん増えていきました。それがいまでも成功体験として記憶に残っています。そのお金でマイホームをキャッシュで買ってしまったので、残高がゼロになりましたけど、その後も仕事を頑張って株式投資を実践しています。ほかにはiDeCoで株式ファンドを中心に買っています。フリーランスなので毎月6万8000円の非課税枠を存分に生かしています。

【八木】私は投資信託が中心で、主に低格付けで利回りの高い債券に投資するハイイールド債券ファンドやREIT(不動産投資信託)、最近はインドファンドにも投資しています。

応援したい会社が見つかると、楽しくなる

――投資は楽しいですか?

【水沢】私は女子会で情報交換をするのがめちゃくちゃ楽しいですね。損をしたときもネタにして盛り上がれば、“また頑張ろう”って気持ちになりますし。

写真=iStock.com/Deagreez

【新井】私は応援団の気持ちで投資できる会社が見つかったときにうれしくなるかな。たとえば、工作機械関連の事業を展開しているファナックもその1つです。15年に株価が急上昇したのですが、その後、一気に下落しました。しかし、株主総会に行って経営者の話を聞いて、有望な会社であることは確認していましたので売られすぎだと感じました。なので応援団の気分になって、下がるたびに買いましたね。私はFX(外国為替証拠金取引)には投資をしていません。“なぜ株式なんだろう”と考えると、その先に人が見えるからだと思います。ちなみにファナックはその後、1単元(100株)300万円ぐらいまで上がったので、すべて売却しましたけど。

【吉田】私はちょっとムッツリですけど……。

【八木】ムッツリ?

【吉田】価格が動くのを毎日見てニヤニヤしているんですよ。

【八木】たくさん持っているとチェックするのも大変じゃないですか?

【吉田】「マネーフォワード」というアプリで家計管理しているので、証券口座もビットコインもソーシャルレンディングも一元管理できるんです。自分の資産が増えたのか減ったのかがデイリーでわかるので“フフ、増えている”とか思ってニヤニヤ。さらに何が増えているのかを確認してニヤニヤ。ニヤニヤポイントがたくさんあるんです。

【水沢】えー(笑)。

【八木】私なんて残高を見てちょっと増えていたら「今日は飲んじゃおう」とか、目先のことばかり考えちゃうなあ。

――なかなか投資にチャレンジできない人も多いのですが、どうしたらいいですか。

【吉田】投資は楽しいですから、とにかく口座を開いて、何でもいいから買ってみることです。面倒くさいと感じている人は複利計算をしてみるといいですよ。

【水沢】複利計算?

【吉田】私なんて、元本2000万円を年利5%で運用したら、いくらになって、老後はこんな生活ができる、とか妄想していますよ。

【水沢】それって、楽しいですか。

【吉田】めちゃくちゃ楽しいですよ! 複利計算してみると、時間が大事であることがわかるはずです。運用期間が長いほど、複利の威力が発揮されますから。一日も早く投資を始めることこそ大事です。複利の力って、天才物理学者のアインシュタインが「人類最大の発明」と言ったといわれているほどですし。

【水沢】私のおすすめは、お金の話ができる友達をつくることですね。みんな黙っていますけど、お金が好きな人は意外に多いですよ。

【新井】友達がなかなかできないときは、インスタグラムなどでお金の話題を発信している人をフォローしたり、質問してみたりするのもいいかもしれませんね。面倒がらずに答えてくれる人の中には友達になってくれる人もいます。お得な情報を見つけたら自分からも発信すると、それでつながりができたりします。

【八木】私の場合は、毎月分配型の投資信託で分配金が入ってくるのが好きですけど、女性には株主優待が好きな人も多い。興味のあるものから始めてみるといいと思いますよ。

テレビ番組を録画して、マーケットをチェック

――みなさんはどうやって情報収集をしていますか?

【新井】私はテレビ派ですね。テレビ東京で朝はモーサテ(Newsモーニングサテライト)、夜はWBS(ワールドビジネスサテライト)を録画して見ていますね。

【八木】それ、私も同じ。

【新井】ヨガをしながら見ていますけど、同じネタでも番組によって少し切り口が違ったりして面白いですね。アナリストがその人なりの解釈をするのも参考になります。

【水沢】好きなアナリストは?

【新井】マネックス証券の大槻奈那さんは好きですね。企業経営者のツイッターもフォローしていますよ。テスラのイーロン・マスクとか。

【吉田】私は仕事で金融関連の人に会うことがあるので、そのたびにその人が書いている本や出ている媒体をすべてチェックします。それが自然と勉強になっているかな。

【水沢】すごーい。

【吉田】会う前に知っておかないと失礼だし、それを話題に出せないと“負け”だと思うから。

【八木】その意味では、私はすごくアナログだなあ。日本経済新聞にも電子版とかありますけど、どうしても紙で読みたいんですよね。電子版って自分の選んだ記事しか目に入らないでしょ。紙なら自分が興味のない情報も目に入ってくる。その感覚がいいんですよね。広告を見て、一棟売りのマンションが増えてくると「そろそろREITは売りかな」なんて考えたり。そういう見方ができるから紙が好きですね。

【水沢】不動産といえば、18年、投資用のマンションを買ったんですよ。ワンルームマンションで毎月数万円のおこづかいが得られていますが、その分はローンの返済が終わるまで積み立てておくつもりです。

ボーナスを2倍に増やすのも、夢ではない

――今回は「ボーナスを倍増させよう」という企画なのですが、どんな方法が考えられますか。

【吉田】どのくらいの期間で2倍にするかによりますけど、10年なら年利7.2%で達成できますね。

【水沢】ソーシャルレンディングなら年利8%を超えるものも結構あるから、十分に可能性はありますね。

【八木】私はレバレッジ投信を利用しています。これは値動きが日経平均株価の2倍の動きになるような商品で、予測が当たれば大きなリターンが得られます。その分、リスクも大きくなりますけど。

【吉田】しっかり分散投資をしつつ、たとえば年利5%程度で運用できれば14.4年で2倍にできますね。

【八木】老後資金が目的なら、そのくらいの期間でも問題なさそう。

――ありがとうございました。

▼ホントは何がベスト? プロからのアドバイス
横山利香●ファイナンシャルプランナー
新興国投資

新興国は成長力が高いという意味で投資対象として有望ですが、投資する時期は見極めが必要。いまは新興国から投資マネーが流出しています。米国が金利を引き上げているので、「米国である程度の金利が得られるなら、そのほうがいい」と考える人が増えているからです。通貨が売られているときに新興国へ投資をするのはおすすめできません。新興国へ投資するなら、金融危機などが落ち着いて世界経済が回復していくというタイミングがいいですね。

仮想通貨

仮想通貨は一時期よりもずいぶん価格が下がりましたが、まだ注目度が高い状態は収まっていません。こんなときはババ抜きタイムですから、買った途端に一気に下がってしまう可能性があります。交換業者も淘汰(とうた)が進んでいます。金融庁の行政処分で撤退する業者が相次いだ一方でネット証券などが新たに参入しています。FXが登場したときも根付くまでには時間がかかりました。安心して投資できる環境が整うにはもう少し時間が必要です。

株主総会

株主になったら株主総会への参加も勉強になります。優秀な経営者は話も上手なので、株主総会で話を聞くと引き込まれます。ファンになってしまい、売却タイミングの判断を誤らないことが大切です。

不動産投資

データを見ると不動産価格はまだ上昇しているようにも見えますが(図参照)、私の実感では2017年にピークを迎え、いまは下がってきています。シェアハウス投資の運営会社が破綻して投資用不動産向けの融資が厳しくなっていることも価格を押し下げる要因です。不動産投資を始める環境としては悪くないと考えられます。ただし、借り手がいなければ収入は得られません。空室リスクを下げるためには、都心の一等地でワンルームよりも30平方メートル程度の1LDKがおすすめでしょう。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングは投資型クラウドファンディングともいわれ、応援したい企業や事業に小口から投資できる仕組みです。社会貢献ができたり、利回りが高いものがあることから注目を集めていますが、目利きは必要。高い利回りは、それだけリスクが高いことを意味します。企業を見極める力は株式投資の銘柄選びで経験を積むことで身に付けることができるのでチャレンジしてみることをおすすめします。余裕資金で投資することも忘れずに。

レバレッジ投信

ブル・ベア投信とも呼ばれ、少ない資金で何倍もの投資成果が得られる可能性のある商品です。相場が上昇するとき(ブル型)だけでなく、相場が下がるときに利益が得られるタイプ(ベア型)もあります。相場が継続的に上昇または下降するとき(トレンド相場)は利益が得やすいのですが、相場が上がったり下がったりを繰り返すとき(レンジ相場)では利益が得にくくなるという特徴があります。販売手数料や信託報酬の高い商品が多いので要注意。

横山利香(よこやま・りか)
ファイナンシャルプランナー
株式投資をはじめ、外貨投資や投資信託、不動産投資など資産運用をテーマに、取材・執筆・講演活動などをおこなっている。