マンモグラフィーでは、見つかりにくいがんも

がんは初期の段階で発見して治療すれば治る時代。国が女性に推奨しているのは、表のような5つのがん検診だ。これらの検診は、住んでいる市区町村か職場で、無料か小額の自己負担で受けられる。

20歳から2年に1回、受けたいのが子宮頸がん検診。前がん病変である高度異形成や上皮内がんの段階で見つかれば、子宮を取らずにすみ、体への負担も少ない。

乳がんについては、2年に1回、40歳以上にマンモグラフィー検査が推奨されている。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群など、乳がんリスクの高い人以外は40歳未満での検診のメリットはないとされる。一方、40代の女性約7万6000人を対象にした臨床試験で、マンモグラフィーに超音波検査を併用すると、早期乳がんの発見率が高まるとわかってきた。

「ただし、死亡率減少効果があるかはわかっていません。超音波検査によって、治療しなくてもいい病変が見つかり、過剰診療が増える恐れも指摘されています。マンモグラフィーで病変が見つかりにくい高濃度乳房の人は、デメリットも理解したうえで、超音波検査の併用を検討してもよいのではないでしょうか」

聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック院長の福田護医師は、そうすすめる。高濃度乳房とは、全体か大部分が乳腺組織であるために、マンモグラフィーの画像が真っ白に写るタイプの乳房のこと。

日本乳癌学会などは、高濃度乳房の通知は時期尚早としているものの、福田医師は「高濃度乳房かどうかは知っておいたほうがよい」と話す。そのうえで、「マンモグラフィーでは見つかりにくいがんもあります。月に1回は自分で乳房を触ってみて、しこりがあったら乳腺外科を受診しましょう」と強調する。

なお、エックス線検査は、医師によって読影力に差が出やすい。日本乳がん検診精度管理中央機構が、「検診マンモグラフィ読影認定医師」を公表しているので、乳がん検診を受ける際には参考にしたい。リスクもあるため国の対策型検診にはなっていないが、大腸がんの内視鏡検査による検診も死亡率減少効果が証明されている。「40歳になったら1度は大腸内視鏡検査を受けてほしい」と、前出の金光医師。大腸内視鏡による検診は、病変が見つかったときに、内視鏡での治療までできる医療機関で受診したい。