いつでも簡単に手に入り、調理方法もバラエティー豊か。豚肉は、栄養豊富で身近なたんぱく源だ。その中でもアメリカン・ポークは、低脂肪、低カロリーが特長。管理栄養士の牧野直子さんと、実際にアメリカン・ポークを育てている生産者に、その魅力などについて聞いた。

アメリカン・ポークは、ビタミン豊富で良質なたんぱく源

──アメリカン・ポークの栄養価や大人の女性へのメリットなどから教えてください。

【牧野】アメリカン・ポークには、良質なたんぱく質が豊富に含まれています。お肌に良い栄養素といえばビタミンCやビタミンB群などがよく挙げられますが、そもそもたんぱく質が欠けていると、こうしたビタミンを摂取してもその効果は十分に発揮されません。また、たんぱく質は筋肉をつくり、保つのに欠かせませんから、不足すると筋肉が落ち、代謝が下がって痩せにくい体にもなってしまいます。

そのたんぱく質をしっかり摂れるのがアメリカン・ポークなのです。さらに、たんぱく質が豊富な食材の中でビタミンB1を多く含んでいるのも魅力。ビタミンB1は水に溶けやすく、汗と一緒に流れてしまうため、摂り溜めができません。だから、こまめに摂取しなくてはならない栄養素になるのですが、ポークを食べることで効率よく摂ることができます。

──たんぱく質とビタミンB1、この2つがポークの重要な栄養素ですね。

牧野直子(まきの・なおこ)
管理栄養士、料理研究家、(有)スタジオ食代表
テレビや雑誌で活躍するほか、料理教室、病院や保健センターなどで、生活習慣病や肥満予防・改善のための食生活指導も行う。著書は『ゆでおき』、『魔法のように効くスープ からだに!暮らしにも!!』など多数。

【牧野】そうです。ビタミンB1は、ご飯やパンなどの糖質をエネルギーに変えるときに必要な栄養素なので、欠けると疲れやすくなってしまいます。だから、ご飯と一緒に摂るのはとても理にかなっているんです。

そしてもう一つ、ポークの脂肪にはオレイン酸がたくさん含まれています。オレイン酸は中性脂肪を抑制する働きがありますし、更年期障害の症状を軽減する働きがあるとされています。

──女性にうれしい効果がたくさんありますね。そのほかにアメリカン・ポークにはどのような特長がありますか。

【牧野】比較的脂質が少なく、赤身が多いので国産と比べて低脂肪、低カロリーという特長があります。いろいろな料理に使いやすい肩ロースやロースはもちろん、ヒレなどは、パン粉焼きにしたり揚げ物にしたりと、油を使った料理でもさっぱり食べられます。オリーブオイルでマリネして焼くのも、ジューシーでお勧めです。バラの薄切りは、野菜を巻いて焼くと、焼き油なしでもおいしいですよ。

──忙しい大人の女性にお勧めの料理方法はありますか?

【牧野】薄切りは火の通りが早いですから、忙しい女性の味方ですね。私のお勧めは、薄切りやかたまりを、時間があるときにゆでておくことです。

アメリカン・ポークはあっさりしてクセがないので、薄切りをゆで置きしておけば、野菜や調味料と和えるだけで一品作れますし、薬味とポン酢をかけるだけでも十分。ゆで汁にはビタミンB1などの栄養素が溶けだしていますから、塩などで味付けしてスープにしてもいいですね。かたまりもゆでておけば保存性が高まり、その都度切り分けていろいろな料理に使えます。

──最後に、栄養バランスの取れた献立づくりのコツを教えてください。

【牧野】難しく考えず、「主食」「主菜」「副菜」の3つをそろえることだけを考えておけば、基本的にバランスのとれた食事になります。「すべて手作りで」と思うと大変ですから、メインとなるポーク料理だけは手作りで、そこにカット野菜や冷凍食品、できあいのお惣菜など組み合わせてもいい。そうしたものを便利に活用し、ぜひ時間を有効に使ってほしいと思います。

自然の恵みと最新の技術を生かして育てたアメリカン・ポークは私たちの誇り

日本のスーパーなどでも簡単に買うことができるアメリカン・ポーク。アメリカの肥沃な穀倉地帯で、生産者自らが栽培した大豆などをたっぷり食べて育てられている。そこで今回、ネブラスカ州の生産者、グウェン・ベックマンさん(写真左)とマイケル・ウィスニースキーさん(写真右)に、アメリカン・ポークへの思いや仕事のやりがいについて聞いた。

──ベックマンさんは農場での仕事に携わってどれくらいになりますか?

【ベックマン】私も夫も、農場育ちなんです。結婚して36年になりますが、ずっと農場を経営しています。現在は夫と息子3人、夫の弟と私で働いています。

──農場での仕事の魅力について教えてください。

グウェン・ベックマン(Gwen Beckman)
ネブラスカ州にある約4200エーカー(約17平方キロメートル)の農場で、豚の飼料となる大豆や、トウモロコシなどを育てるほか、年間約1万3000頭の豚を出荷している。農場の仕事の傍ら、アンテロープ記念病院で看護師としても働いている。

【ベックマン】私は体を動かす仕事が好きですし、何よりも、家族で協力して働くことに幸せを感じています。3人の息子と3人の娘も、小さい時から農場の仕事を手伝ってくれていました。今は赤ちゃんから5歳まで9人の孫がいて、つい最近、10人目が加わることもわかったんですが、孫たちもみんな農場が大好きです。

──お二人は、どのようなことに気を付けて豚を育てていますか。

【ウィスニースキー】何より安全性の確保には気を配っています。外から菌を持ち込まないために、豚舎に入る前には必ずシャワーを浴び、専用の衣服や長靴を履きます。豚が風邪を引いたり、体調を崩したりしないように、最良の環境を維持し、気温や湿度もコンピューターで管理しています。

──豚だけでなく、飼料となる大豆も一緒に育てている生産者の方が多いと聞きました。

マイケル・ウィスニースキー(Michael Wisnieski)
精肉企業で、年間約50万頭に上る豚のリスクマネジメント責任者としてとして働く一方、約5000頭の養豚施設のオーナーでもある。妻はネブラスカ大学病院の准教授(心理学)。10歳の娘と7歳の息子がいる。

【ウィスニースキー】はい。大豆そのものが非常に良質なたんぱく源ですから、飼料には最適なのです。豚たちにも健康な食べ物を食べてほしいとの思いから、私たち生産者は自らが育てた大豆を与えています。私たちは、豚をただ売るためだけに育てているのではありません。自分たち家族、そして何より世界中の消費者の口に入るものなので、安全で健康的に育てたいと考えています。また、大豆を豚に与え、豚のふんを有機肥料として畑で使っているので、環境にもやさしいのです。

【ベックマン】大切に愛情を込めて育てたアメリカン・ポークは、私たち家族の誇りです。さらにそれだけでなく、私たち生産者はコミュニティ、州、国の誇りを背負って仕事をしています。

──ベックマンさんは、農場の仕事の傍ら、長く看護師としても働いていらっしゃるとのことです。

【ベックマン】看護師として27年間、糖尿病の患者さんなどに、食事療法のサポートをしています。脂肪をおさえた、栄養価の高い食事が大事なので、アメリカン・ポークももちろん取り入れています。

私たち生産者は、脂肪分が少なくおいしいアメリカン・ポークを育てることに力を入れています。アメリカン・ポークは、低脂肪、低カロリーで良質なたんぱく質やビタミンが豊富。ヘルシーで栄養価が高く、やわらかくジューシーなのです。

──お好きな料理法について教えてください。

【ベックマン】アメリカン・ポークは万能の食材。野菜やスパイスなど、一緒に料理するものの香りやうまみを、本当によく引き立ててくれるんです。かたまりをオーブンでローストしたり、自家製ベーコンもよく作ります。クリスマスには、ポークチョップのグリルにチェリーソースやラズベリーソースを添えていただきます。

【ウィスニースキー】私はスモークしたポークを細かく裂いて、サンドイッチに入れて食べるのが好きですね。10歳の娘は骨付き肉にかぶりついて食べるのが大好きで、毎年誕生日にはバックリブ(ロース側の骨付き肉)のスモークをリクエストしてきます。7歳の息子は、スモークした肩ロースのかたまりをほぐした、プルドポークが大好物です。

──最後に、日本の消費者へのメッセージをお願いします。

【ウィスニースキー】私たちが育てたアメリカン・ポークは、安全で栄養価も高く、おいしくて、お財布にもやさしい。ぜひ、より多くの日本のみなさんに食べていただきたいです。

【ベックマン】アメリカン・ポークは私たちが誇りを持って大切に育てています。おいしい食べ方がたくさんあるので、いろいろと試していただき、ぜひアメリカン・ポークをご家族のみなさんで楽しんでくださいね。

120℃かんたんロースト ソイパワーサラダ添え

■材料(4人分)
<120℃かんたんロースト>
アメリカン・ポーク(豚肉)ロース(かたまり)500g/塩小さじ2/はちみつ小さじ1
<ソイパワーサラダ>
大豆水煮(市販品)100g/きゅうり(粗切り)1本/トマト(粗切り)1個/バジル(あれば)5枚/レモン汁 2分の1個分/レモンの皮(すりおろし)2分の1個分/塩小さじ3分の2/すし酢大さじ2/オリーブオイル大さじ3/パセリ(みじん切り、あれば)適宜

■作り方
(1)オーブンを120℃に温める。常温に戻したアメリカン・ポークの全体に塩とはちみつをすり込む。
(2)オーブンの天板に水1カップを入れその上に網をのせる。肉を乗せて、60分を目安に120℃でゆっくり火を通す。
(3)オーブンから出したらアルミホイルにくるみ、20分ほど休ませる。
(4)<ソイパワーサラダ>を作る。きゅうり、トマトは粗切り(大豆と同じ大きさ)、バジルは7mm角に切る。すべての材料をボウルに入れて混ぜ合わせる。
(5)(2)の肉を薄切りにし皿に盛り、周りに(4)のソイパワーサラダをたっぷりのせて、最後にパセリのみじん切りを散らす。肉とサラダを混ぜ合わせいただく。

■ポイント
※1 ガスオーブンは火の通りが早いので、調理時間を10分短くする。電気オーブンは庫内の温度が高くなりにくいものがあるので、その場合は10分長くする。
※2 すぐに切ると肉汁が出るので常温になるまで休ませる。

アメリカン・ポークと大豆のカスレ

■材料(4人分)
アメリカン・ポーク(豚肉)肩ロース(かたまり)1kg/玉ねぎ1個/にんじん1本/セロリ1本/にんにく2かけ/ベーコン1枚/オリーブオイル大さじ3/大豆水煮(市販品)100g/トマト缶(ホール)1缶/ローズマリー(あれば) ひとつまみ/タイム(あれば) 少々/赤ワイン2カップ/塩小さじ2/砂糖大さじ1/こしょう小さじ1/バター30g/コンソメスープの素1個/レモンの皮(すりおろし)2分の1個/パルメザンチーズ大さじ3/タイム(お好みで)適量

■作り方
(1)アメリカン・ポークは8等分に切る。
(2)玉ねぎ、にんじん、セロリ、にんにく、ベーコンを粗みじん切りにする。トマトはフォークで潰す。
(3)厚手の大きな鍋にオリーブオイルを熱し、(2)の野菜とベーコンを加えて15分ほど炒める。
(4)(1)の肉、大豆水煮、他の材料を全て加えて混ぜ、柔らかくなるまで2~3時間コトコト煮る。
(5)耐熱器に移し、パルメザンチーズと香り付けでレモンの皮を散らし、250℃のオーブンで10分ほど焼く。彩りにタイムを乗せる。

アメリカン・ポークのレシピが満載。米国食肉輸出連合会ウェブサイトはこちら