「数字を見ただけで拒否反応」という文系ウーマン必読! 数字を使いこなし、会話の質を上げるための必勝テクを伝授します。使うほどにデキる感が漂い出す、5つのフレーズをお試しあれ。

「東京ドーム○個分です」というフレーズをバカにするな

ビジネスで使う数字は、学生時代の数学の成績とは無関係です。計算が苦手でも問題ありません。計算は電卓にまかせれば、速くて正確! 大人に必要なのは、コミュニケーションを円滑にし、物事をわかりやすく伝えるための数字です。事実を正確に表すのに、数字はとても便利。何より、数字を使いこなすと、途端にデキる感が上がるというおまけもついてきます。「人気のイベントで、人がいっぱいでした!」と言うより、「チケットは2日で完売、当日は1万人が来場しました」と言ったほうが断然賢そうに見えるはず。

モデル=岡本ハナ

数字がスッと出てこないという人は、好きなテーマで遊び感覚のレッスンをしてみましょう。「即日完売のブラウス再入荷」というポップから、「全国100の店舗に50枚ずつ納品されていたとしたら、初回分は5000枚ね」と連想するようなゲームです。こんなふうに考えるクセをつけておくと、ビジネスシーンでもサラリと数字が出てくるように。「なるほどね!」という反応がみられたら大成功。数字を使いこなし、デキるオーラを身につけた証拠です。

1 自分ごとに置き換える!
イコールな数字で興味倍増

ひとつの数字を別の数字に置き換えて伝え直すのは、デキる感を漂わせるための最も簡単で、効果的なテクニックのひとつです。広大な敷地面積に対してよく用いられる「東京ドーム○個分です」というフレーズもこの手法の代表例。割り算だけだから簡単です。デキると思わせる最大のポイントは、聞く人がピン!とくる指標を使うこと。「ウチの会社でいうと、1カ月分の売上に相当します」「わが社の顧客の10%にあたります」など、聞く人が自分ごとにできる物差しで言い換えましょう。漠然とした数字が一気に身近になり、話が盛り上がります。

例文
・「売上1億ということは、ウチの会社の人件費でいうと20人分ですね」
・「このプロジェクトの予算、ウチの部の月間売上の2倍ですね!」
2 面倒なツッコミを回避!
実数と割合を組み合わせる

ビジネスで使う数字は2種類。時間数や価格を表すリアルな数字=実数と、利益率や成長率などを表す数字=割合です。数字に強い雰囲気を演出するなら、この2種を組み合わせて使うのがおすすめ。たとえば「不良品発生率が0.04%から0.03%に改善した」と言うだけでは、減ったことしかわかりません。ここに「具体的には不良品100個の削減です」と付け加えれば、成果がグンとわかりやすくなります。実数と割合を組み合わせるだけで、隙のないスマートな伝え方にランクアップ! 聞き手の理解も深まります。

ダメ例文
・A子「顧客満足度90%でーす! ジャーン!」
・B上司「90%って、母数何人のデータなのよ?」
添削!
・A子「購入者1000人に対するアンケートで、900人が満足と回答。満足度90%です!」
・B上司「エクセレント!」
3 未来のことも建設的に話せる!
「いったん○○○と置いてみましょう」で、議論が急進展!

目標値や予算が決まっていないのに、企画を考えなければならないというとき、「この段階で話したってムダじゃないですか」と文句を言うのはイマイチなビジネスパーソン。デキる感を演出するなら、そんな場でこそ口火を切るキラーフレーズを繰り出して。活躍するのは、「仮の数値を設定する」というワザ。「いったん1万個としてみましょう」「いったん50万部と想定しましょう」。このひと言を発するだけで、モヤモヤした空気が打ち払われ、不確定要素があっても有意義な議論が可能になるから不思議です。

会議にて
・B上司「来期のマーケティングプランを提出しないといけないんだが、まだ予算が決まってないんだよなー」
・A子「では、いったん予算1億円と置いてみましょう。時間に余裕があったら2億円のパターンも作っておけば、予算確定後の調整も簡単かと」
・メンバー「よし、この際、1億、2億の2パターン考えちゃいましょう!」
4 当てずっぽう感が激減!
ポジティブ&ネガティブ方式で、納得感が高まる

「来月の売上予測」「来期の予算達成率」など、ビジネスでは未来の数字を求められるシーンも少なくありません。未来のことは誰にもわからないけれど、雰囲気で答えると「本当に?」とツッコミがくる……。そんなときに使えるのが、好条件がそろった場合、悪条件が重なった場合の2つの数字を試算する方法です。中間を予測値として設定すれば、根拠のある数字として受け取られます。また、最低ラインの数字を出すことで、対策を打つことも可能に。曖昧なようで、実は情報としての厚みが増す伝え方です。

会議にて
・B上司「来月の売上予測、どのくらい?」
・A子「ポジティブシナリオだと500万円、ネガティブだと300万円と予測します。ですので、400万円くらいを予測値として押さえるのが妥当と考えます」
・B上司「OK!(300万円だと予算ショート、今から対策を考えておこう……)」
女子会にて
・A子「ダイエット中なんだけど、ポジティブシナリオだと3カ月後には5kg減、忙しくてサボっちゃうと現状維持かな」
・C子「ってことは、2~3kg減は期待できそうね!」
5 資料なしでも頭に入る!
トータルスコア100で、わかりやすさアップ!

100は、「満点」「完全」をイメージさせる数字です。「トータルスコア100のうち80」と聞けば、脳裏には自然と円グラフが出てくるはず。製品の性能や市場でのシェアなどが話題になったとき、「トータルスコア100」という指標を使って説明することで、たとえ資料がなくても感覚的にスッと理解できるわけです。部下とのコミュニケーションにも、「100」は有効。「パーフェクトな仕事を100としたら、今日の商談は?」。現時点での最高点を100と仮定して現状を数値化することで、主体的な行動を促すことができるのです。

後輩指導にて
・A子「初プレゼン、おつかれさま。トータルスコア100とすると、今日のプレゼンはいくつくらいだった?」
・新人「えっと……70くらいですかね。資料を少なくして、もっと簡潔に話せればよかったかも」
・A子「じゃあ、次回は残りの30のところを意識していこう!」
深沢真太郎(ふかさわ・しんたろう)
ビジネス数学の専門家
人材教育コンサルタント、理学修士、BMコンサルティング株式会社代表取締役。予備校講師、外資系企業での管理職などを経て、ビジネス数学を提唱する研修講師に。著書多数。http://www.business-mathematics.com