資産を築いている女性は、いつ、どのように金融知識を身につけているのか。資産3000万円超という3人の女性に、それぞれの「勉強法」について聞きました――。

※本稿は、「プレジデントウーマン」(2018年8月号)の掲載記事を再編集したものです。

CASE1
一般的な金融関連講座に積極的に参加。苦手分野を選んで受講している。
▼Keityさん(仮名)46歳
仕事内容:金融業/事務
年収:800万円
資産(不動産を除く):3300万円
投資歴:15年
資産運用&投資内容:定期預金、外貨預金、投資信託、確定拠出年金、組合出資
家族構成:既婚・子どもあり

子供の頃はお年玉などを金融機関に一定期間入れておくと、お金が倍になって返ってきました。しかし金利が下がると、定期預金だけでは貯蓄額は増えず……。その経験が資産運用や投資を始めるきっかけになったように思います。

大学やカルチャーセンターなどで社会人向けに行われる金融関連講座や講演会に参加して投資について学びました。今までで最も役に立ったと感じたのは、日本証券業協会主催の「はじめての資産運用講座」。

全国各地で投資未経験者・初心者向けに資産運用や証券投資に関するセミナーを開催しているので、気軽に参加できますよ。今でもわからないこと、知らないことが多いのですが、経済の循環(景気と金利・為替・国債の相関関係)が理解できました。

また、生活設計にまつわる金融経済情報を掲載している「知るぽると」の講演会もおすすめ。自分の苦手分野や金融知識のレベルに合った講座、中立的な立場のセミナーを選ぶとよいと思います。

投資は、いつどのぐらいの金額が必要か、ライフイベントをもとに計画を立てることが大切。一定の金額を貯蓄できてから余裕資金(長期的運用可能額)を投資に回すと、安定して資産を増やすことができます。自分自身のリスク許容度を理解し、最初は無理をしないことも大事です。

Q:有益情報を得るために心がけていることは?


A:金融関連のセミナーやイベント情報を見逃さない

普段はニュースやネットで日経平均株価や為替をチェックする程度ですが、定期的に情報誌や新聞などのイベント欄にも目を通すようにしています。金融関連のセミナーや講演のリリースを見逃さないようにするためです。セミナーのテキストや金融商品のガイドブックは、たまに見返して勉強し直す際に役立ちます。
CASE2
証券会社のパンフレットをもとに独学。銘柄の特徴を調べ、ポートフォリオを考えた。
▼K.Kさん(仮名)31歳
仕事内容:卸売業/経理
年収:380万円
資産(不動産を除く):3000万円
投資歴:2年
資産運用&投資内容:定期預金、投資信託、個人向け国債
家族構成:既婚・子どもなし

定期預金だけはずっと続けてきたのですが、結婚後、将来のために本格的に貯蓄したいと考えるようになりました。投資の知識もほとんどなかったので、初心者でも始めやすいと聞いた個人向け国債とNISAをやってみることにしたのです。

まずはインターネットで証券会社を調べ、興味を持ったいくつかに資料を請求しました。そのときに取り寄せた楽天証券のNISAに関するパンフレットが、一番役立ったように思います。そのパンフレットで各銘柄の特徴を調べ、ポートフォリオを考えるという作業を繰り返しました。そのうちに選び方のポイントがわかり、自分の決断に自信が持てるようになりました。

愛読しているのは楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で連載されている経済評論家・山崎元さんの「ホンネの投資教室」。はじめは損失を出すのが怖かったのですが、山崎さんの記事を読み、長期運用した後のトータルが大事だと考えられるように。一時の損失で一喜一憂してはいけないと気付くことができた点は、大きな進歩でした。

今は家計簿アプリ「Moneytree」を使って夫婦の月の支出を把握し、そのうえで貯金や投資額を決めています。投資は1つに絞らず、少しずつでもいろいろな方法で運用することをおすすめします。

Q:有益情報を得るために心がけていることは?


A:スマホアプリで株価や金融ニュースを常にチェックする

トレーディングアプリ「iSPEED」を使っています。「iSPEED」は自分が保有している投資信託の最新評価額をすぐにチェックできるだけでなく、買い付けも簡単。また、最新の投資情報や金融ニュースも確認できてとても便利です。ニュースを見る際は、今後の景気や株価にどう影響していくのかを考えています。
CASE3
「草食投資隊」のセミナーに参加して開眼。長期投資のコツや投資の社会的意義を学んだ。
▼天野かおりさん(仮名)45歳
仕事内容:金融業/営業
年収:560万円
資産(不動産を除く):3400万円
投資歴:12年
資産運用&投資内容:定期預金、国内株式、保険、投資信託、確定拠出年金、個人向け国債
家族構成:未婚

もともとは元本保証の定期預金しかしていなかったのですが、12年前、勤務先の郵便局で投資信託を取り扱うことになり、勉強のために自分もやってみようと思ったんです。

最初の頃は社内の自主勉強会に参加したり、マネー情報誌や本を読んだりして勉強していました。しかし、独学では限界を感じ、MBA取得のために大学院へ。

元・証券会社のファンドマネジャーの方が講師をしていた資産運用の授業を受けたことがきっかけで、投資について自分なりの考えや見通しを持てるようになりました。

また、ほぼ同じ時期に「草食投資隊」のセミナーに参加したことが大きかったですね。コモンズ投信の渋澤会長、レオス・キャピタルワークスの藤野社長、セゾン投信の中野社長のお話に触れ、長期投資のコツや投資の社会的意義について深く理解することができました。投資の勉強をこれから始めたいという人には、強くおすすめします。

今でもこの3社のフェイスブックはフォローし、定期的にセミナーにも参加しています。このほかには、経済コラムニストの大江英樹さんのセミナーがお気に入り。それらの場所で知り合った方々とは積極的に交流し、情報交換をするようにしています。

経済全般を勉強するなら前述の大江さん、確定拠出年金であれば大江加代さんや竹川美奈子さんのセミナーがわかりやすいです。個人的にはコモンズ投信の糸島孝俊さんのセミナーが一番面白いと思います。非常に熱意をもって、かつロジカルにプレゼンしてくださいます。

最近では投資信託もワンコインで買えるので、少額からでいいのでまずは毎月積み立てしてみてください。上がろうが下がろうが一定額を積み立てること。長期運用を目標にすれば価格変動は気になりません。わからないとか、怖いとか言わずに、やってみることが勉強になります。ただし、自分が理解できないと思うものはやらないことですね。

Q:有益情報を得るために心がけていることは?


A:日経新聞を読み、自分の頭で考える

仕事帰りなどにお気に入りのカフェで日経新聞やセミナーのレジュメ、投資家さんのブログ、ネットの記事を読みながら投資に関する情報を整理する時間をつくっています。日経新聞は全部を熟読できなくても、気になるところは目を通しておくことが大事。ネット上にはありとあらゆる情報があるので、それらをすべてうのみにせず、新聞と照らし合わせながら何が正しくて、正しくないのかを自分の頭で考えるようにしています。