貯蓄を使って、29歳でマイホームを購入
現在50歳の山本純子さん(仮名)。23歳のときに研究職として就職してから、年間160万円~170万円を貯めつづけ、28歳で個人貯蓄1000万円を達成しました。結婚は26歳のとき。しかし結婚してからも、貯蓄のペースは下がりませんでした。
「結婚後は、夫と自分の給与を合算し、生活費50万円を引いて、残った分を2人で等分してお小遣いにしています。先月は7万2000円ずつでした。でも私はほとんど使わないので毎月6万円は貯蓄に回ります」(山本さん)
貯蓄を使って、29歳でマイホームを購入。35歳のときに子どもの病気で退職を余儀なくされましたが、山本さんは、その際の退職金で住宅ローンを完済。その後、パートタイムとして元の職場に復帰。以前にくらべ給与は下がったものの、夫婦合算の家計管理のため貯蓄ペースは大きく落ちなかったといいます。40歳で再び正社員になり、貯蓄ペースはさらにアップ。41歳のときに個人貯蓄は2000万円の大台を突破しました。そのとき株式投資を開始。約800万円で購入した銘柄は、現在2倍以上に上昇しているそうです。
「不安解消タイプ」は要注意
十分な資産を築いている山本さんですが、本人は控えめで、「実は、東日本大震災で株価が低かった時期に買った銘柄だったんです。人の不幸に便乗したようで心苦しい」といいます。
山本さんのように「20代で1000万円」といった資産を築いている人であれば、「さぞかし幸福で暮らしぶりもよいはず」と思われるかもしれません。しかし多くの富裕層にお金のアドバイスをしているファイナンシャルプランナーの藤川太さんはこういいます。
「お金を貯めている人には、2つのパターンがあります。『老後の不安を解消するために貯めている人』と『気づくと貯まっている人』です」
注意が必要なのは、前者の不安解消タイプ。このタイプの人は、どれだけ貯めても安心できず、たとえキャッシュで3000万円を持っていても、旅行や贅沢は一際できず、一生不安と闘いつづけることになります。これではちょっと寂しい気がしますよね。
一方、「気づくと貯まっている」という人は、心にも暮らしにもゆとりがあることが多いそうです。藤川さんは、それには以下の3つの理由があるといいます。
(1)支出の管理ができている
(無駄な支出がないから、どんどん貯まる)
(2)他人と比較しない
(自分は自分だから、どんな暮らしでも不幸だとは感じない)
(3)我慢しない
(欲しいモノを我慢しているわけではない)
「家計を任せてもらえれば、5年で1000万円にする」
「プレジデントウーマン」(2018年3月号)では、山本さんのほかにも、1000万円以上貯めている9人の読者に取材しています。
このうち38歳の大塚梨佳子さんは、32歳で資産1000万円を達成しています。24歳で就職したときの貯蓄はゼロ。しかし入社式で、社長から「当社に入った諸君は、まず年間100万円を貯めなさい」と言われて奮起。それからは着実にお金を貯め、34歳のときに会社の最寄り駅から2駅目にマンションを購入。その後、夫をこのマンションに迎える形で新婚生活をスタートさせました。
夫には「年間100万円貯める」というポリシーを伝え、「私に家計を任せてもらえれば、5年で1000万円にする」と宣言。個人貯蓄とは別に、夫婦で年間200万円を貯めていくことにしました。そのコツは「先取り貯蓄」。給料から貯蓄分を先取りし、残ったお金で生活を回すという方法です。計画は順調に進んでおり、今年の年末には「5年で1000万円」を迎える予定といいます。
暮らしに「不安」「不満」を感じている人がいない
また32歳の小川順子さんは、23歳で私立高校の教師として就職してから、わずか4年後の27歳で貯蓄1000万円を達成しています。財形貯蓄の金額はで年間280万円。小川さんの趣味は懸賞やモニターへの応募。
「懸賞やモニターに応募するのが楽しくて、おかげでクーポンや生活用品も手に入り、生活費が抑えられているんです」(小川さん)
資産形成のコツについて、小川さんは「お金のかかる趣味がないので、自然と貯まります」といいます。さきほどの3条件にあるように「我慢しないこと」が生活習慣になっているのです。
彼女たちに共通するのは、今の暮らしに「不安」「不満」を感じている人がいないことです。「お金を貯めなければ」と考えていると、不安はいつまでも解消しません。それではどうすれば不安が消えるのか。誌面ではいろいろなコツも紹介しています。ぜひご覧ください。