会社に制度がなくても加入可能

確定拠出年金とは、毎月、資金を積み立て、60歳以降に年金や退職金として受け取るという、老後資金づくりのための制度です。

多くの企業には退職金や企業年金の制度があり、すでに「企業型確定拠出年金」を採用している企業も。また会社に制度がない人や公務員、フリーランスの人などは、「個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)」に加入することができます。

▼iDeCoの仕組みとメリット
(1)資金を拠出

拠出した資金が全額、所得から控除されるので、所得税、住民税が安くなる。毎月2万円を拠出し、所得税率20%、住民税10%なら、7万2000円の節税に。

(2)自分で選んだ商品で運用(投資信託、保険、預金など)

普通の運用では利益に20.315%課税されるが、iDeCoでは非課税。全額が運用されるので、複利効果で増やしやすい。

(3)60歳以降、一時金や年金として受取

年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となる。

企業型では会社が決めた額、個人型では本人が決めた額を、毎月積み立て(拠出という)。預金商品、保険商品、投資信託など、複数のマネー商品が用意されており、どの商品で運用するかを本人が選びます。

個人型では、拠出額は月額5000円からで、表のとおり、職業などによって上限額が異なります。また企業型に加入している人でも、企業によっては、従業員が給料の一部をプラスして拠出することもできます。

確定拠出年金で得た利益は非課税

一番のメリットは、節税効果があること。拠出した資金は所得から差し引かれ、その分、所得税や住民税が軽くなります。所得税の税率は所得によって異なりますが、税率20%(課税所得330万円超695万円以下)の人が毎月2万円拠出すると、所得税と住民税(10%と仮定)で計7万2000円もの節税に。実質的には17万円弱の負担で、24万円を老後資金に回せるわけです。

また預金や投資で得た利益には税金がかかりますが、確定拠出年金で得た利益は非課税です。税金分を引かれずに運用を続けられるので、効率よく増やせる可能性があります。

たとえば毎月2万円を年3%で30年間複利運用した場合、運用益に課税されれば受取額は1048万円ですが、非課税なら1160万円となり、112万円も多い計算です。

さらに、受け取る際にもメリットあり。一括で受け取る場合も、年金として受け取る場合も、控除が受けられ、税負担が軽減されます。

長い老後に備えて少しずつでも「早く」はじめる

知っておきたいのは、確定拠出年金で積み立てた資金は、原則として60歳までは引き出せないこと。ちょっと怖いような気もしますが、実はそれも大きなメリットといえます。

人生はお金がかかることばかり。これは老後資金、と鍵をかけておかないと、ついほかの目的に使ってしまい、気がついた時には老後資金の準備が間に合わない、ということになりがちだからです。

年金に詳しい社会保険労務士の井戸美枝さんは、「税制上のメリットがあるのは、自助努力で老後資金をつくってという、国からのメッセージでもあります。女性は平均寿命が長いですし、結婚しても夫より長く生きておひとりさまになる可能性大。少しずつでも、とにかく早く、老後に目的を絞った積み立てをはじめることが大切です」と言います。

「積立」と「長期」を味方に投資信託で運用する

金融機関が「運営管理機関」となって確定拠出年金を扱っており、個人型に加入する場合は自身でいずれかを選び、申し込みます。インターネットで「イデコガイド」と検索すると、取扱金融機関などの情報が確認できます。

転職、休職、独立などの際にも、企業型から個人型に切り替えるなどして制度の利用を続けられます。

積立額は年に1回変更できますし、出産、育児などで家計に余裕がないときは一時的に積み立てを休むことも可能。いろいろな転機がある女性にとって、続けやすいというのはとても大事なポイントです。

個人型では、加入時に一律2777円の手数料が必要。以降は口座管理手数料がかかり、金額は運営管理機関によって異なります。年間5000円以上の例が多いですが、資産額が10万円以上なら無料(楽天証券)、同50万円以上なら無料(SBI証券)などの例もあります(別途、事務委託先などへの手数料はかかる)。

運用する商品については、「投資信託がいいでしょう」(井戸さん)。

確定拠出年金で毎月少しずつ買っていくと、高いときにたくさん買ってしまう失敗を避けやすく、長く続けることでじっくり増える期待ももちやすくなります。大きく増えれば、運用益が非課税になるメリットも生きてきます。「日本株と外国株のインデックスファンドを組み合わせるのがおすすめです。安全性を重視するなら、バランス型ファンドを候補にしましょう」と井戸さん。

有利な制度を使いこなすのも、お金を増やす大切なポイントです。

 
▼コストも意識、口座管理手数料をチェック
加入中にかかる口座管理手数料。一般的に拠出額にかかわらず一律のため、拠出額が少ないほど割高になります。とはいえ、最低額の月額5000円(年間6万円)の拠出で、所得税率10%の人でも、住民税(10%)と合わせて節税効果は1万2000円。金融機関をしっかり選べば、コストが節税額を上回ることはなさそうです。
井戸美枝
社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー、複雑なお金にかかわる動きをかんたんに読み解く経済エッセイストとして講演、執筆、テレビ・ラジオ出演などで活躍。著書も多く、『ズボラな人のための確定拠出年金入門』(プレジデント社)も好評。