「発する言葉」にちょこっと数字を足してみよう

ポジティブな人は、いつも「発言」が前向きです。一方、ネガティブな人は悲観的なことを言ったり他人への文句を言ったりします。そんな人でも、自分の気持ちを抑えて発言を前向きにしてみると、周囲から「イイね」と評価されるし、信頼もされる。そんな周囲の反応を見て、さらにポジティブな考え方をするようになります。つまり、「発する言葉」を変えることで人は変わるのです。

ところで、日本経済新聞の記事などを見ると、10~20文字に1回は数字が登場していませんか。これは言い換えれば、ビジネスパーソンの会話の数秒に1回は必ず数字が入っているはずだということです。あなたの日常会話に、数字はどれくらいの頻度で入っているでしょうか。

ビジネスの世界ではグローバルという言葉が飛び交うようになりました。英語はもちろん重要でしょう。しかし、世界共通の言語である「数字」での会話も極めて重要です。英語を学びたければ英語で会話してみるのが効果的ですよね。それと同じように、会話に数字を入れてみるのはどうでしょう。これなら、できそうな気がしませんか?

数字で会話をする。私はこれを「数会話」という造語にして提唱し、研修やセミナーなどビジネスパーソンの教育現場でのトレーニングに使っています。

▼英会話のように「数会話」を始めてみては?

たとえばあなたの仕事の「頑張った」点を数字で表現してみてください。営業であれば「外回りを頑張った!」ではなく、下のアドバイスのように、商談の数やかかった時間、成約の可能性などを、ざっくりでいいので数値化してみるのです。「そんなざっくりした数字でいいの?」と思うかもしれませんが、入り口としてはそれでOKです。最初は無理やりでも結構ですので、数会話を始めてください。

〈会話に数字を入れてみると……〉
「今日はたくさん商談ができましたし、次はどれかが成約できそうです!」

「今日は3件の商談をこなしました。成約の確率はざっくり90%、50%、10%。次は10%のところを90%まで上げるのが目標です」

言うまでもなく、数字の入ったコミュニケーションは具体的でわかりやすいもの。相手の「なるほど」という反応を見て、さらに数字で表現することに前向きになれるでしょう。自発的に数字を使って伝えようとするようになったら、あなたの苦手意識は9割克服できたも同然です。また、いずれナチュラルに口から出たその数字で、あなたの仕事が評価される決め手になる瞬間がきっとあるはずです。それを「やった♪」と思えたら、あなたは数字を味方にできたということです。

大切なことなので最後にもう一度言います。「発する言葉」を変えたとき人は変わるのです。

▼ビジネス数学の専門家・深沢真太郎先生のアドバイス
どれくらい頑張ったかをざっくりと数値化してみる。使う言葉を変えれば自然に数字力はついてくる!
深沢真太郎
ビジネス数学の専門家。BMコンサルティング株式会社代表取締役、多摩大学非常勤講師。『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など著書多数。人生のテーマは「数字が苦手な人を0(ゼロ)にする」。