地図アプリを片手に路上に立ち尽くした経験はありませんか? 地図があるのに辿り着けない! 気づいたら逆走している! 近くまで来ているはずなのにあとちょっとが遠い目的地……! そんな迷える方向オンチを救う画期的トレーニング、ご用意しました。
監修:ミッツカール代表 北村壮一郎さん
方向オンチにささげるコトバ:「鍛えなはれ さすれば必ず直ります」

海馬を刺激して道順を覚える力を鍛える

道に迷わない人とは、すなわち地図が読める人です。地図から現在地と目的地を把握し、正しい道順を辿ることができるから、迷わない。反対に、方向オンチの人は地図を読むことが苦手なため、勘に頼って最初の一歩を踏み出してしまいます。大きなランドマークを目標に歩くうちに現在地を見失い、「ここはどこ?」状態に陥ってしまうことも。

地図アプリのGPS機能を使えば迷わずに目的地に辿り着ける、という方もいるでしょう。でも、次に同じ場所に行くときにも、やっぱりスマホがないと不安……。それは、アプリ頼みで、道順を記憶しようとする刺激が脳に送られていないから。便利なツールの登場によって、地図を読み、道順を覚える力は鍛えづらくなっているかもしれません。

記憶をつかさどる海馬は、日々蓄積される膨大な情報を「重要な記憶=長期記憶」と、「忘れてもいい記憶=短期記憶」に振り分けます。道順を覚え、迷わずに歩くためには、目的地までの目印を重要情報として脳の長期記憶に入れることが必要です。そこに着目して開発されたのが、日本初の方向オンチ克服法。歩いた道を描き、正確な地図と見比べるというシンプルなトレーニングです。意識するのは、興味があるものに絞って目印にすること。好きなことや過去の大切な記憶にひもづく事柄なら、脳は即座に長期記憶に収納する、という特性を利用します。歩いた時間を思い出しながら描くことも、脳トレに。脳を鍛えて、地図が読める女になりましょう。

STEP1:曲がるときに好きなものを目印に歩く!
イラスト=加納徳博

自宅から最寄り駅まで、駅から得意先までなど、迷わずに到着できる慣れた道でトレーニングをスタート。道を曲がるたびに、手前と奥に目印を設定しながら歩きます。目印にするのは、好きなもの、興味があるもの、過去の記憶に結びつけられるもの。「レトロなカフェ」「ガーデニングがステキなお家」「元カレの名前と同じ表札」など、興味・関心をひく目印ならば、海馬を刺激して即座に長期記憶へ。手前と奥、2カ所の目印を覚えることで、帰るときにも「ここで曲がる!」と、自然に正しい曲がり角を思い出せます。

STEP2:記憶をたどって地図を描く!
イラスト=加納徳博

家に帰ったら、歩いた道を思い出しながら地図を描いてみましょう。ポイントは、覚えているものだけを描く、ということ。たとえば目的地までの経路にいくつ交差点があったか、といったことを正確に描く必要はありません。反対に、歩きながら感じたこと、気づいたことはどんどん描き込みましょう。たとえば「ステーキ屋さんからいい匂い!」「陽気なBGMのショップがあった」など、日記をつけるような感覚で楽しんで描ければ最高です。好き、楽しい、面白い、と感じるものこそが、海馬を刺激します。

STEP3:実際の地図と見比べる!
イラスト=加納徳博

スマホの地図アプリや市販の地図を開いて、自作の地図と見比べてみましょう。間違っていても気にすることはありません。整合性を確認する程度でいいのです。そして、初めて訪ねる取引先、友人と予約したレストランなど、慣れない場所への経路でも1~3を繰り返します。これにより、無機質な地図に現実の道を投影できるようになり、地図を読む力が身についていきます。また、一度通った道はしっかりと脳にインプットされ、次回からは地図に頼らなくても迷わずに到着できるように。こうなれば方向オンチ卒業です!

北村壮一郎
ミッツカール代表。スキューバダイビングインストラクターとして働くなかで、海中でのナビゲーション技術を学ぶ。38歳から方向オンチの改善メソッドの研究に着手。著書に『地図をグルグル回しても全然わからない人の方向オンチ矯正読本』(秀和システム)。