高収入を得るには早期計画が必須
表は、厚生労働省の調査をもとに作成した2016年の女性の高収入職業ランキング。前年と比べて目に付くのは、航空機操縦士がトップになったこと(前年4位)、航空機客室乗務員が大きく順位を上げたこと(前年22位)。それ以外は、例年上位に入るおなじみの顔ぶれです。
「代表格はいわゆる『士業』。弁護士、税理士、公認会計士などの専門性の高い資格職業です。字は違いますが、医師や歯科医師などの『師業』も、年収の高さが知られています。いずれも高度な知識が求められます」と転職サービス「DODA」編集長の大浦征也さん。
多くの場合、学生時代の進路選択時から方向性を決め、勉強を重ねていく必要があります。高い年収を得るには、早期計画が必須なのです。
インセンティブで稼げる業界もある
とはいえ、社会人になってから医師や弁護士を目指すのは大変です。そこで注目したいのが、民間企業の中でも比較的高収入が望める職種。専門性やスキルを磨き、より稼げる仕事を目指す手もあります。転職サービス「DODA」の調査で、女性の平均年収が高かったのは――。
「金融系専門職が上位ですが、これは高度な専門性が必要なうえに、そもそも業界全体として給与水準が高いという事情があります。スペシャリティーが求められる技術系も総じて高収入。IT業界をはじめ、化学業界や製薬業界でも、研究開発や治験、品質管理などで女性技術者が活躍しています」(大浦さん)
営業系は、対人スキルと薬品の専門知識を要するMRがランクイン。
「ほかにも、証券会社や保険会社、ハウスメーカーや不動産などの営業職がインセンティブで稼げます」
ただ、気になるのは男女の収入差。同じ職種でも100万~300万円ほど男性の年収が多いです。これは女性の管理職比率が男性より低いことが一因でしょう。大浦さんも「稼ぎたい人は、上の役職を目指しましょう」と助言しています。
給与だけでなく働く環境も大切
では、女性が「転職したい!」と思っている企業を見てみましょう。
表は、「DODA」の調査に年収データ(男女混合。一部は非公表)を加えたもの。年収はどこも高めですが、共通するのは、企業風土や労働環境が優れていることです。
1位のグーグルは、就業時間の20%は業務以外のことを自由にできるなど、ユニークな制度が特徴。楽天やApple Japanも、IT業界ならではの活気あふれる雰囲気にあこがれる人が多いようです。
トヨタ自動車は、「積極的に改革や提案を行える企業風土」が人気。
オリエンタルランドは、明確な企業理念やエンターテインメントに徹する姿勢が、サービス業を志す女性に強く支持されています。
電通とリクルートには、「優秀な社員が多そう」という羨望(せんぼう)の声が。
女性活用のパイオニアとして知られる資生堂、「なでしこ銘柄」にも選ばれた全日本空輸(ANA)、社員食堂で有名なタニタは、女性に共感される企業理念が注目の的。
こうした魅力が社員のやる気を高め、好業績を生み出し、高給につながっているのでしょう。
業界ごとに微妙に違う、「稼ぐ女」の特徴
ネット系●自分の成長のために突き進む
性別に関係なく活躍できるベンチャーやネット系企業に多い知的体育会系女子。成長意欲が高く、負けず嫌いで、仕事には全力で取り組むが、背伸びしている分、頑張っている自分を誰かにほめてもらいたくなる。
消費財/ 食品系●仕事ができて女子力も高い
食品や化粧品などブランド力のある人気企業に採用されるだけあって、仕事への意欲も実力も備わっているが、「ガツガツ」感は表に出さない。女子力が高く、真っ向から競わずにスマートに乗り切っていくタイプが多い。
メーカー系●地に足をつけてしっかり働く
自動車メーカーなどのザ・日本企業に多い安定志向女子。一つの会社で長く働くことを希望し、地道に努力して力をつけていく。共に働く仲間を思い、仕事を通じて社会の役に立ちたいと考えている。
金融系●仕事も私生活も貪欲に
「大きな仕事をしたい」という野心を持ち、全国転勤をものともしない強さと柔軟性がある。他業界に比べて年収が高いので、質の良い高価なものを身に着けたり、高級旅館に泊まりに行くなど、プライベートも充実。
商社系●世界のどこでも生きていける
社会的に影響力のある仕事を長く続けたいと思っており、収入へのこだわりも強い。帰国子女や留学経験者など海外経験のある人が多く、異文化への抵抗は少ない。学生時代は新興国にボランティアに行くなど、行動力もある。
コンサル系●賢さからみなぎる自信と余裕
自他共に認める優秀な人。自分に自信があるので、ムダな謙遜はしない。頭の回転が速く、論理的。ディベートも得意なので、感情的に言い争ったりせず、淡々と正論を繰り出していつの間にか相手を黙らせてしまう。
▼あなたにも当てはまる?「稼ぐ女」6タイプ
「稼ぐ女」と一口に言っても、さまざまなタイプが存在します。「あくまでも個人的な印象」ですが、プレジデントウーマン編集部が取材を通して実感した「業界別・高収入女性の特徴」は――。
ネット系は、成長意欲の高さと、猛烈に働くパワー。全力投球するあまり「休日は寝て過ごす」人も。
消費財/食品系は、女子力の高さ。有能なのにそれを表に出さず、男性を立てるのが上手です。
メーカー系は、地道な努力をいとわない粘り強さ。待遇のよい重厚長大系の企業に多く見られます。
金融系は、よい意味で野心家。総合職として複数支店を渡り歩いてキャリアアップします。ただし営業職はノルマがきついので、疲弊して他業界へ転職するケースもあります。
商社系は、語学堪能で社交的。幼少時に海外で暮らした人が多く、異文化への適応能力は抜群です。
コンサル系は、激務に耐える体力と、高い知性を兼ね備えたスーパーウーマン。臆することなく「ノー」が言えるタイプです。
「自分に似てる」「共感できる」と思ったら、あなたにも「稼ぐ女」の資質が備わっているかも……?
転職サービス 「DODA」編集長。2002年、株式会社インテリジェンスに入社し、一貫して人材紹介事業に従事。法人営業を経て、キャリアアドバイザーとなり、エンジニアから営業・販売、管理部門まで1万人を超える転職希望者を支援。DODAキャリアアドバイザーの総責任者、法人営業部隊も含めた地域拠点の総責任者等を歴任し、2017年4月より現職。