資料づくりの先端を行くプロたちは、どんなデバイスで、どんなツールを使っているの? 日進月歩で進化するビジネスツールを活用した今どきの資料づくりを、3人の女性から伝授していただきました!

マルチデバイスを使いこなすプレゼンの魔術師
●教えてくれる人:日本マイクロソフト Officeマーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 中川智景さん

(左)プレゼン資料は直前までチームメンバーで共同編集。ワイヤレスディスプレイを活用して、タブレット片手にプレゼンすることが可能となる。(右)日本マイクロソフト Officeマーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 中川智景さん

▼いつでもどこでもプレゼンできます、私。

クラウド(OneDrive for Business)に保存すれば、スマホやタブレットで出張先でもPCなしでプレゼンテーションや編集ができる。ワイヤレスディスプレイを活用し、プロジェクタと接続することで、いつでもどこでもプレゼンできる環境のでき上がり。

Office新作発表会など、大舞台でプレゼンを行い、社内でもプレゼンのプロフェッショナルとして活躍する中川智景さん。人前でプレゼンをするようになったのは、現在のマーケティング部門に配属された4年前のことだ。

配属当初は失敗の連続。上司や先輩から叱咤されながら、うまいプレゼンをお手本に何度も練習した。

「資料作成において気をつけていることは、文字を入れすぎない、ビジュアル重視、1スライド1トピック、使う色は3色まで、テーマカラーを決めること」と中川さん。仕事柄、大勢の聴衆の前で発表することが多いため、できるだけシンプルな内容で、多くの人に伝わるようなプレゼンを心がけているという。無意味なアニメーションも入れない。

プレゼンで大切なのは、一貫したストーリー。プレゼンのどこを切り取っても一続きの流れになることを徹底しているため、持ち時間が変更されたとき、スライドをいくつかスキップしても違和感がない。ストーリーを意識すると、フォントを揃えたり、ラインや幅を均等にするというような気配りも、一貫性を保つために重要な意味を持ってくる。

中川さんは完全に暗記するまでプレゼンを練習する。本番で緊張しないようにするためだ。プレゼンのプロとは、準備のプロでもあるのだ。

iPad Proで魅了する議事録のエンターテイナー
●教えてくれる人:ファシリテーター 谷 益美さん

(左)ファシリテーター 谷 益美さん(右)「書き心地が全然違うんです」という谷さんのこだわりは、エレコムの「ペーパーライクフィルム(反射防止)」。

▼写真、イラストが満載! 会議風景が画面に広がる

「私のファシリテーションスタイルはホワイトボードを使いながらの会議進行。加えて、最近はiPadを取り入れています」

ファシリテーターの谷益美さんがデスク上に並べたのは、iPad Proと専用のApplePencil。さまざまな会議でファシリテーターとして活躍する谷さんにとって、これらのアイテムは会議のクオリティーを上げるための必需品だ。

ホワイトボード上で参加者のアイデアや意見を引き出し議論を進め、結論への方向性が見えた頃、iPadでホワイトボードを撮影。iPad内のノートアプリに取り込み、Apple Pencilとアプリ機能を駆使しながら新たに展開させる。「少人数ならばiPad上で会議も進められ、終わる頃には議事録も完成しています。ポイントはイラストなどを挿入することです」

完成した議事録は、会議ごとにデータ化する。谷さんが活用するのはノートアプリの「GoodNotes4」、スキャナーアプリの「Scanner Pro」、お絵かきアプリの「Procreate」。会議と同時進行で作成されたとは思えない完成度の高い議事録は、参加者のみならず、その場にいなかった人にも一目瞭然で伝わる内容だ。

緻密なレイアウトで勝負するインフォグラフィックの達人
●教えてくれる人:メディア・シェイカーズ ZUNNY編集部 周東淑子さん

(左)メディア・シェイカーズ ZUNNY編集部 周東淑子さん(右)綿密に描かれたラフ(写真上)をもとにデザイナーがページを作成(写真下)。スマホでどう見えるかが最も重要。色合い、読者の目の動線を意識する。

▼伝わるまで「削る」。磨き上げられた情報たち

「大切なことは、『誰にどんなメッセージを伝えたいか』を明確にすること。限られたサイズのなか、情報をいかに簡潔にまとめ、わかりやすく届けるかを常に考えています」

情報を図(インフォグラフィック)に落とし込み、発信するウェブサイト「ZUNNY(ズーニー)」編集部の周東淑子さんは、情報を徹底的に削りより明確なメッセージを届けるプロだ。

情報やデータ、知識を視覚的に表現するインフォグラフィックは、専門用語を使わないことはもちろん、見る人が文字を読まずとも、ひと目でその内容を理解できなくてはならない。そのため、図をつくるときのポイントは、イラストやグラフ、吹き出し、色のすべてに意味を持たせることだと周東さんは話す。

作成したラフは同僚やデザイナーとも共有し、要点が伝わるかどうかを確認する。「イラストや色をたくさん盛り込めばわかりやすくなると思いがちですが、無意味なものは見る人を混乱させるだけ」。また、表したいデータの種類によって、どんな図表を選ぶかを意識するだけでも伝え方が格段にアップするという。

1つの図をつくるために、企画から公開まで3週間を費やす。情報をそぎ落とす技術は、どんな資料にも応用できるだろう。

綿密に描かれたラフ(写真上)をもとにデザイナーがページを作成(写真下)。スマホでどう見えるかが最も重要。色合い、読者の目の動線を意識する。