話し上手、PR上手、段取り上手で、イザというときの対応もバッチリ! 仕事ができる印象のある広報の皆さんが日々心がけていることとは? どの部署でも活かせる知恵満載です。

試乗会での説明は1回2媒体限定! 情熱が伝わる工夫を
●マツダ 広報本部 国内広報部 国内商品グループ 新田 梢さん

(左)マツダ 広報本部 国内広報部 国内商品グループ 新田 梢さん(右)試乗会の時間割や動線は周到に考え、きめ細かいメディア対応を心がける。

メディア向けに、試乗会を企画することが多いのですが、マツダとしてはエンジニアのこだわりや情熱をお伝えすることも含めてブランド戦略だと思っているので、そこを伝えるためにはどうすればいいのか試行錯誤しながら取り組んでいます。

例えば、新しい技術やそれに込めた思いを伝えるときに、スクール形式で50人に向かってお話ししてもなかなか伝わりません。なので、一度の説明は、最高でも2媒体。ライターさん、編集さん、カメラマンさんも入れて、最大6人までという少人数でコミュニケーションをとっています。午前の部、午後の部でそれぞれ最大6媒体を招き、試乗やプレゼンテーションなど2媒体ずつ1組になって回っていただきます。各担当のエンジニアは1日に何度も同じ内容を説明することになるのですが、そうすることで媒体の皆さまに腹落ちしてもらい、深い記事になるということを伝えて、「頑張ってください!」と励まします(笑)。また、エンジニアに製品を語ってもらうことで、後から指名で取材依頼を受けることにもつながります。

招待する媒体数にはじまり、各時間帯ごとのスケジュールや、試乗から早く戻ってきた媒体さんへの対応、暗くなる前までに撮影を終えられる時間配分など、あらゆる項目についてシミュレーションをしながら試乗会がうまく成り立つかどうかを広報部内で何度も何度も考えます。

写真にもこだわる媒体さんには撮影時間を長くとったり、撮影に時間を使わないジャーナリストの方にはたくさん乗っていただける時間をとったり、相手にあわせてスケジュールを組んでいます。準備はなかなか大変ですが、効果は大きいです。

とにかく前倒し。200パーセントの準備で本番に臨む
●コカ・コーライーストジャパン コーポレート・コミュニケーション本部 広報部 部長 尾縣香名子さん

(左)コカ・コーライーストジャパン コーポレート・コミュニケーション本部 広報部 部長 尾縣香名子さん (右)スケジューラーをスマホと同期させ、何かあればすぐ予定を書き込めるようにしている。

事前に150パーセント、200パーセントの準備をするということが、何より大事だと思います。例えば、IR情報のメディア対応などは、IR担当部署と同じ内容を理解しておく必要があるので、準備には非常に時間をかけますし、とにかく早くから準備をしようとメンバーに口を酸っぱくして言っています。ずいぶん早い段階からスケジュールにレビューミーティングの予定なども入れ、各段階ごとで進捗(しんちょく)を確認し合って本番を迎えます。

当社の場合、マネジメント用に資料をブリーフィングしようと思うと、英語の資料が必要になります。日本語で資料を作成して、それをチェックして、さらに英訳して、その英訳もチェックする。それらの日数も計算して段取りができているかということに、気を使っていますね。

私はスケジューラーに細かすぎるぐらい予定を入れるタイプなんです。このタイミングで「誰々に電話」「通訳を手配」のような細かな予定まで書き込んでいるので、メンバーにいつも笑われます(笑)。でも、部下もスケジューラーを見て私の予定を把握してくれているので、「この日に上司にメールを打とうとしているから、それまでに資料を作って送っておかなければ」といった配慮をしてくれたりもします。

制限エリアでの取材、イベントはミスが許されない
●全日本空輸 広報部 スーパーバイザー 横井鉄也さん

(左)制限区域は規制がいっぱい。「反射ベスト」も必需品。(右)全日本空輸 広報部 スーパーバイザー 横井鉄也さん

航空会社ならではというと、飛行機の下など、空港で取材・撮影する機会も多いのですが、そうした「制限エリア」で撮影するとなると航空局との調整が必要になります。その場合、申請期限が決まっているため、スケジュールの調整が難しい。エリアによって期限は異なるのですが、飛行機に近づけば近づくほどハードルが高くなります。セキュリティーレベルも高いので、持ち込み物の詳細なチェックも必要になり、申請にとても時間がかかります。また、雨天でも傘がさせないエリアもあり、雨が降ればぬれるしかありません。それは事前にメディアの方にも伝えておきます。航空専門誌などによる、こうした空港での撮影はチームで月に2、3回は行っているでしょうか。

広報として取材時に気をつけているポイントは、数字や名称です。社員がインタビューを受けているときも、数字や名称が出たときは反応し、違っている場合はすぐに訂正を入れます。社長が取材対応する場合であっても、決算内容や戦略、機材の数といった数字はあらかじめ相互確認しますが、取材中に詳細な数字を確認されることもあるので、すぐ答えられるように用意しておきます。

新田 梢
マツダ 広報本部 国内広報部 国内商品グループ。1982年生まれ。大学卒業後、マツダに入社。広島本社で広報のキャリアをスタート。3年間広報に携わった後、当時新設されたCSR・環境部の立ち上げメンバーに。2年後に東京へ異動。企業広報を経て現在は商品広報を担当。
尾縣香名子
コカ・コーライーストジャパン コーポレート・コミュニケーション本部 広報部 部長。1973年生まれ。総合商社にて7年間貿易アシスタントとして活躍。2002年より日本コカ・コーラにて役員秘書、社内広報、社外広報を歴任。13年、コカ・コーライーストジャパンに入社、新広報組織を立ち上げる。
横井鉄也
1983年生まれ。2007年入社。客室乗務員として3年間活躍後、広報部にてテレビや雑誌、ウェブを担当するメディアチームに配属。最近ゴルフに行く機会が多いが、なかなかスコアが伸びないのが悩み。