満員電車に苦しむことから解放されるかも!?

大都市では、主要な通勤手段としての役割を鉄道が担っている。厚生労働省の資料によれば、平均的な会社員の年間の出勤日数は232日(有給休暇含む)だそうだ。

毎日片道40分の通勤電車で移動している場合、1年間でおよそ13日間電車に揺られている計算になる。そのように長い時間を費やす通勤電車で、有料着席車両が増えているのをご存じだろうか。

すべての路線ではないが、通勤通学のための有料着席サービス列車(以下「着席列車」)が走っている。代表的なものを挙げれば、東海道線を走る「湘南ライナー」や京浜急行電鉄の「京急ウィング号」などの列車だ。

着席車両の中でも変わり種が東武鉄道東上線の「TJライナー」だろう。普段の通勤列車ではロングシート(横一列の座席)で運転され、座席定員制で走る際にはクロスシート(背もたれを前後に動かすことで向きを変える座席)に変身するマルチスタイルの座席を装備している。このように通勤から着席列車まで多様に使える車両なので、鉄道会社としても無駄がなく経済的だ。

このような座席レイアウトの変更が可能な列車の運用は大阪の近畿日本鉄道から始まったものだが、関東では東上線がいち早く採用した。さらに、京王電鉄も、今後導入を予定している。

ほかにも現在、首都圏では、表のような着席列車が運転されている。本来の着席列車は、着席の権利を買うものであって早く目的地に着くわけではないため、特急よりも安価に乗車することができる。また、私鉄路線などでは、通勤時間帯の特急の停車駅を増やし、通勤ライナーのような役割を持たせ、乗客から好評だ。

 

鉄道社局の、女性に向けた通勤サービスというものは、意外と少ない。よく挙げられるのは、通勤時間帯の女性専用車両などだが、ここでは女性視点から、これらの着席列車におけるトイレ事情を考えたい。女性客が店舗や施設で一番気になるところは、やはりトイレであろう。かく言う私も、飲食店のみならずいろいろな店舗や鉄道の駅などで、チェックをしている。

イラスト=Yooco Tanimoto

表を見るとわかるように、着席列車の中でも、トイレ施設の有無が分かれている。その中でも、特筆すべきは小田急電鉄の特急で、登場時にベビー施設がなかった古い車両にも、リニューアルにより設置が行われた。そのため、すべての列車に、ベビー施設の付いたトイレが設置されている。

自宅近所の保育園に落ちても、通勤途中もしくは勤務先近くに保育園があれば子どもを預けて復帰できる女性もいる。各社局とも、すべての列車にとは言わないが、通勤で使う列車にベビー施設付きトイレがあれば、育児と仕事を両立できる可能性は、計り知れないほど大きくなるはずである。せめて着席列車には、ベビー施設のある車両を導入してもらいたいものだ。